アンリアルライブフェス!3日目
アンリアルライブフェス、最後の三日目はライブが開催された。
何万人も入ることができるライブ会場は三ヶ所用意されており出演者はその三ヶ所の内のいずれかに出演する。
ライブの生配信も決まってて会場にいなくても安心してアーカイブが見れるそうだ。
つむぎとしき、ねねこの三人は咲夜が出演するA会場に観客としていた。
ライブは既にはじまっており、様々なUドリーマーがライブをしていく。
ライブではサイリウムを振り賑わいがあり盛り上がっていた。
「もうすぐ咲夜ちゃんの番だね」
「そうね、どんなライブをしてくれるのかしら」
つむぎとねねこが話す。
このライブに参加する出演者はほとんとが音楽、歌に自信のあるUドリーマーだ。
そんな中で咲夜はライブをすることになる。
咲夜の演奏や歌はここでライブしているUドリーマーに比毛をとらない。むしろ頭一つ抜けている。ずっと歌を聞いてきたつむぎは確信していた。
◇
咲夜は自分の出番の10分前。ギターを持ち、眺めて様々なことを考えていた。
この数ヵ月。咲夜の人生は大きく変わっていた。
もともとUnreallyは一人で現実逃避をしにのんびりするのにやっていたもの。その延長線上でUドリーマーになり自分の曲を自分のために残そうとしていた。
なのにつむぎがやってきてなにもかもが変わった。
Unreallyでの日常が変わって、自分のための音楽が誰かに聞いて貰いたいと素直に思えるようになった。
そして現実世界での自分を肯定してくれて親友 が出来た。
だからこの新曲は咲夜にとって新しいはじまりの歌。聴いてくれるみんなと、つむぎに捧げる遠回しな歌。
そう胸に刻み、咲夜は自分の出番を待つ。
◇
『はいありがとうございまーしたー』
『では次の出演者の紹介です。次の出演者は小太刀咲夜ちゃんです!』
もふあにのスゥとこころが司会をしていた。ちょうど咲夜の前の人のライブが終わりついに咲夜の出番がやってきたのだ。
「つ、ついにさ、咲夜ちゃんだよ!」
「なんでつむぎが緊張してるのー?」
しきが苦笑いしながらつむぎに言った。
つむぎは事前に用意した黒いサイリウムを二本持ち強く握りしめた。
ちなみにしきとねねこ用に一本ずつ二人にも黒のサイリウムを持たせている。
するとライブのステージに咲夜が登場した。
「こんにちは……小太刀咲夜です」
咲夜は少し緊張しているような声で言った。
やはりこの大舞台。咲夜にとってははじめてのことなので仕方ないだろう。
『咲夜ちゃんはロックな曲をメインに歌ってるUドリーマーだよね!』
司会のこころが咲夜に話しかける。
「はい、自分のチャンネルでは歌をメインに。友達のチャンネルでコラボを時々。……今日は私の音楽をみんなに聞いてもらいたくて参加することにしました」
『なるほどなるほどー。では聴かせてくーださーい』
スゥが言った後、咲夜の表情は変わり真剣な目付きになる。それで演奏をするモードに切り替わったのだとわかった。
「では聴いてください、小太刀咲夜で───」
曲名を言い演奏がはじまる。
つむぎはその演奏と歌にすぐに虜になってしまう。
用意していたサイリウムを振ることを忘れるくらい夢中になって聴いていた。
◇
「お疲れ咲夜ちゃん!」
「つむぎ……」
咲夜の出番が終わりしばらく経った後、つむぎは咲夜の楽屋へときていた。
三日目の参加者にはそれぞれ楽屋が用意されていた。
咲夜はそこでペットボトルの水を飲んでいた。
「新曲凄い良かったよ! わたし見入ってせっかく黒いサイリウム用意したのに振るの忘れてたよ」
あはは、と笑うつむぎ。
「そっか、それくらい良かったなら嬉しいよ」
咲夜はそんなつむぎを見て優しく微笑む。
「変わったね咲夜ちゃん」
「そうかな?」
「咲夜ちゃんの伝えたい想い、わたしには伝わったよ」
「そっか……」
咲夜はゆっくりと腰を下ろし椅子に座った。
つむぎは咲夜の新曲を脳内で再生し振り返る。
歌詞の内容は居なくなってしまった大切な人を想う歌。一緒にいたときはそれが当たり前だと思っていたのに失ってからそれが愛だと気づく。
そんな後悔とそれから前向きに生きようとする切ない歌。
でも心がこもっていて優しい歌だった。
つむぎは予想外の曲だと思っていた。
咲夜の曲は今まで誰かに対しての想いを寄せた歌などではなかった。孤独感や虚無感、寂しいけど強がっているようなそんな感じの歌詞ばかりだ。
だけど今回の曲は切ないけど、ここまで前向きに誰かを想う歌ははじめてだ。
「もし変わったなら……それはつむぎのおかげだよ」
「わたしの?」
「つむぎが私に変わろうとするチャンスをくれたんだ。だから感謝してるよ……ありがとう」
「へっ? こ、こちらこそどういたしまして//」
いきなり感謝され恥ずかしくなるつむぎ。
思わず背を向ける。
「あっ! そういえばもうすぐUフォースのライブがはじまるんだってさ! わたし先に行ってるね」
つむぎは逃げるように楽屋を去っていった。




