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アンリアルライブフェス!1日目

 Unreally、アンリアルドリーマーにとって集大成を見せる祭典。それが夏のアンリアルライブフェス。


 あるものは好きなものを作って販売し、あるものはファンとの交流を大事にし、またあるものはライブで多くの人の感情を揺さぶる。


 そんな夢のようなお祭りの一日目が開催されようとしていた。





 一般入場が開始される十分前。午前8時50分。

 

 つむぎは自身の出展、販売ブースに咲夜と共にいた。Uフェスのエリア入場は制限が掛かっており、一般参加者は開始まで入場制限がかかっている。


 フェス参加者側は事前に展示物の確認や準備などがあるため前日から入ることが出来た。

 周りにはつむぎたち以外の参加者のブースがありそれぞれ気合いを入れた飾り付けがされている。


 つむぎのブースには様々な衣装が展示されていた。洋服だけでなく小物やアクセサリなども増えている。つい作るのが楽しくていつのまにかまた増えていたのだ。



「あわわ、き、緊張してきたよっ!」


「つむぎ落ち着いて」


 

 咲夜は緊張し震えているつむぎを落ち着かせようとしている。咲夜のフェスの参加は本来三日目。

 今日はつむぎのブースで売り子として参加することにしていた。



「ちゃんと売れるかなぁ」



 つむぎは今になって不安が大きくなっていた。

 果たして自分の作った衣装を買ってくれる人はいるのだろうかと。



「大丈夫だよつむぎ。つむぎはUドリーマーでしょ? つむぎのファンを信じて。つむぎには応援してくれる人がいるんだ」



 咲夜はつむぎに優しく語りかける。その声はつむぎの気持ちをだいぶ楽にさせてくれる。



「うん、そうだね。きっとなんとかなる! よーし目指せ完売! ……ってアンリアルだから複製で無限に販売できるし完売とかないんだよね」


 

 えへへと笑うつむぎ。

 実際のところ売り上げの目標は考えてない。

 目標があるというならば自分の衣装を手にとってくれた人が笑顔になってくれることだ。



『まもなくアンリアルライブフェス一日目が開始されます』


 

 アナウンスが聞こえる。こころの声だ。

 このイベントはこころが主催でやっているイベントだ。


 アナウンスのあとドン! ドン! と打ち上げ花火がパステルピンクの空に上がる。


 それが開始の合図だった。恐らくこころのチャンネルでは生配信が開始されこころが様々なブースを見て回る様子が配信されるだろう。

 

 つむぎは去年それを見ていたので知っている。


 今回は参加者側だ。配信をみる余裕はない。

 その分自分の目でこのUフェスを体験するのだ。



 一般参加者がぞろぞろと入ってきた。その数は流石イベントというだけありUnreally上では見たことのない人数があちらこちらへと移動し見ていく。


 ここのブースにも人は来てくれるだろうか。

 そんな不安を抱いているとすぐに人がやってきた。赤い髪をした少女だった。



「つむぎちゃん! 咲夜ちゃんもいる!? よかった一番乗り出来て!」


「あっ! あなたは前にあったファンの子!?」


 

 それは前に交流会に行く途中、自身の名前も名乗らずつむぎと咲夜のファンとだけ言って写真を撮り去って行った少女だった。



「告知動画のつむぎちゃんの作った衣装、凄い可愛かったので買いに来ちゃいました」



 少女はそう言ってつむぎのブースを見て回る。

 少女は楽しそうにつむぎの作った衣装を一つ一つ手触りを確認するように見ていった。



「こんなにたくさん素敵なものを作れるなんてつむぎちゃんいつか本物のデザイナーになれますよ! もし本当にデザイナーを目指してるなら自分応援します!」


「えへへ、そうかな……ありがと!」


「とりあえず全部一つずつ下さい!」


「えぇ全部!? いいのそんなに!?」



 少女の発言に思わず驚くつむぎ。販売している種類はそれなりの数がある。いくら支払いはUnreallyの通貨で一個700ユノ程度とはいえ、全種類となるとそこそこの額だ。


 ちょっと作り過ぎたことに罪悪感を覚える。

  


「推しの夢や目標を応援をするのがファンの自分の役目です! これくらい貢がせてください!」



 メニュー画面に通知がくる。

 すると所持金が8500ユノ増えていた。

 彼女が買ったのだろう。Unreallyでの買い物はレジを通したりかごに入れる必要もない。


 つむぎたちは商品を紹介したりファンと交流するためにいたのが主な理由だ。

 実際には持ち場を離れていても自動で売買がされる。

 


「そっか。それじゃあせめてあなたの名前を教えてほしいな?」



 少女の熱意に押され納得するつむぎ。だがせめて少女の名前が知りたい。ネームプレートを確認した方が早いがそれは味気ない気がした。



「自分は紅あかねです!」


「紅あかね、動画のコメントでみたことある名前だ……」


「わたしも……そっかあかねちゃんだったんだ! いつも応援ありがとね!」



 つむぎたちは彼女の名前を知っていた。

 初期の頃から動画に毎回のようにコメントをくれる子だった。その励まされるような応援コメントを見て動画投稿のモチベーションが上がることも何度もある。


 ずっとこうして応援してくれてた子が直接会いに来てくれてると思うと感傷深いものがあった。

 


「いやー自分はただ一般視聴者として見ているだけで充分幸せなんで名前なんて覚えてくれなくてもいいんですよっ//」



 あかねは照れ臭そうに言った。

 あかねを見ているとUnreallyに来る前の自分を思い出すつむぎ。



「それじゃあ引き続きがんばってください! 三日目の咲夜ちゃんのライブも見に行きますので!」



 あかねはそう言って手を振りその場を去って行った。



 ◇


「はぁ……やっと終わったねぇ咲夜ちゃん。お疲れぇ」


「つむぎもお疲れ」



 一日目の開催が終わり二人は缶ジュースを片手に体を休めていた。予想以上にくたくただ。



 ブースは思った以上に賑わった。

 

 つむぎのファンはもちろんのこと、ブース巡りをして通りかかった人もつむぎの衣装を見て気に入り買ってくれる人もおり大盛況。

 この衣装のいいところを紹介したり、こんな組み合わせがいいなどを教えたりしてつむぎは大忙しだった。


 買ってすぐその衣装に着替えてくれた人もいて嬉しい。



「咲夜ちゃん今日はほんとにありがとうね。本番明後日なのに」


「いいよ、私の方にもユノは何割か貰えるから小遣い稼ぎにちょうどよかった」



 咲夜も接客などで活躍してくれた。売り子として参加してくれた咲夜にも売ったお金の何割かが入るように事前に設定してあった。

 そのため金銭問題の件での相談は既に済んである。



「それでどうだったつむぎ? このUフェスをやり遂げてさ」


「うん、最初はちょっとした思い付きでやったことだけどやってよかったって思えるよ!」



 自分の作ったものを見て誰かが喜んでくれる。

 それを実際に目の辺りにしたつむぎはとても幸せだった。



「これからもUドリーマーやりつつたまに作っていきたいな!」


 

 にっこりと笑顔でつむぎは言う。


 デザイナー。それは小さい頃の夢。

 自分で服を作って誰かを喜ばせたい。

 その夢はアンリアルで叶えられた。     


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