夢のテーマパーク
「わあぁ…遊園地だ!」
ひなたが案内した場所は遊園地だった。
観覧車やジェットコースターといったものから空を飛んでいるものまでいろいろなアトラクションが賑わっている。
中心らしきところにはお城も建っているようだ。
「ししっ、ここはワンダーパーク。このワンダーランドプラネットでも一番人気のテーマパークだよん」
「ワンダーランドプラネット?」
謎の用語につむぎははてなを浮かべる。
「あぁえっとねぇ。まーUnreallyにはプラネット、惑星がたくさんあってそれぞれテーマがあるんだ。でこの星は不思議な世界をテーマに作られた星なの」
「へぇ」
他にもいろいろな面白い惑星があるから探索してみると楽しいよとひなたはいいつむぎの手を引っ張りどこかへ連れていく。
「最初はここへ行こ行こ」
ひなたはあるひとつの建物内にあるアトラクションに連れていく。
看板に竜宮城コースターと書かれている。竜宮城に行くアトラクションなのだろうか。
建物に入ると建物内は砂浜で巨大な亀が波打ち際にいた。
『さぁ、わたしの背中に乗ってください』
亀がいう。亀の背中には二列に席が用意してありこれがアトラクションだということを実感する。
つむぎたちは席に座る。さっきまでいたのは遊園地のはずだったのに今は海にいるから不思議だ。
『それでは竜宮城へいきましょう!』
そして亀は前進し、海深くへと潜っていく。水が冷たく感じる。本物の水だ。
「息がっ……あれ、できてる?」
海の奥深くに入っても息ができていた。いつのまにか水の冷たさも気にならなくなっている。
「わぁ綺麗……!」
海の中は綺麗な魚がたくさん泳いでいた。
ぶりやまぐろ、いわしなどよく食べられている魚からクマノミやナンヨウハギなど色鮮やかな魚までさまざまだ。
見飽きないほどいろんな種類が泳いでいる。
すると珊瑚からちょこんと一匹の魚が現れる。タコだ。
タコはこっちに来てつむぎの方に近寄る。一本の足をつむぎの前に差し出す。握手をしたいのだろうか。
つむぎは右手で握手をする。
「ぐへぇ……」
するとその瞬間タコは思いっきりつむぎの顔面に墨を吹きかけた。視界が真っ暗になる。
「つむぎ大丈夫!?」
「う、うん。なんとか……」
心配するひなたに首を大きく振り墨を払ったつむぎが言う。
タコはしてやったりといった顔で逃げていった。
そんなことをやっていると竜宮城らしきところへやってきた。タツノオトシゴの兵が門を開け中へどうぞと言ってくる。
中には魚たちと人魚、そしてお姫様らしき人が出迎えてくれた。
『よくぞいらしてくれました、私はここの姫、乙姫です。私たちのおもてなしをご堪能ください』
すると魚たちは楽器を演奏し始め、人魚たちは踊り出した。
美しい躍りと演奏をつむぎたちは楽しんだ。
◇
「竜宮城楽しかったね! ひなたちゃん!」
「そうだねぇ、つむぎがタコに墨かけられてたところはあたし的に是非、写真に納めておきたかったよ」
「それは忘れてよぉ!」
アトラクションを乗り終えた二人はいつものようにじゃれあっていた。
リアルで遊んでいるのとそう変わりはなかった。変わっているのは見た目だけで。
「じゃ、つぎどこ行きたいつむぎ?」
「そうだねぇ……あ、あれは!」
次のアトラクションを決めるのに見渡していたつむぎ。
するとあるものを発見する。
「魔法少女キララマジカル……!」
魔法少女らしきふたりが描かれた大きな看板がそこにはあった。
看板にはキララマジカル マジカルコースターと書かれていた。
どうやらジェットコースターらしい。
「へぇ、つむぎキラマジ好きなんだ」
「当然だよ! だってキララマジカルはトップアンリアルドリーマー、ティンクルスターの声優さんが演じてる作品なんだよ! そこから知って見てるけど可愛くて熱くて感動して凄い好きなアニメなんだ!」
「あ、うん……」
つむぎのあまりの熱量に若干引いているひなた。
それに気づかず目をキラ光らせるつむぎ。
魔法少女キララマジカルは今ニチアサでやっているアニメだ。
元は1クールの深夜アニメだったが、一部地域で再放送のニチアサに子供たちからも人気が爆発し4月から一年単位でやる国民的アニメに成長した。
その声優を勤めるのがアンリアルドリーマー、ティンクルスターだ。
実力派 新人声優をアンリアルドリーマーとして起用しアンリアルアイドルとして活動している三人ユニット。
チャンネル登録者はこころに次いでUドリーマー二位の800万人である。
もともとアニメも好きだったつむぎのためキララマジカルがあることを知り大興奮だった。
「これ乗ろ!これ乗ろ!」
「はいはいわかったからおちつきなさいな」
テンションが高いつむぎをなだめるひなた。
そんなこんなで二人はコースターの席につく。
コースターだがレールはなかった。その代わり羽がついてる為空を飛ぶ乗り物なんだろう。
『ワンダーパークにいるみんなこんにちは! キララルビーだよ』
『キララサファイア、今日は一緒にこのワンダーパークの空のパトロールをしよう!』
「キララルビーにキララサファイアだぁ!」
そこにはピンク髪のキララルビー、水色の髪のキララサファイアがアニメと変わらない姿で現れた。
まるで本当にアニメの世界に来たようだった。
『それじゃあレッツゴー!』
二人の魔法少女が空を飛ぶそれと同時に乗り物も中へ浮き飛んでいく。
はじめはただ普通の速度でワンダーパークの空を飛んでいた。
しかし突如紫の雲が現れそこから巨大な紫色の鳥が現れる。
『デビデビ!』
『あれはデーモン、悪さをする悪魔』
サファイアが説明する。
デーモンはキララマジカルに登場する敵の一部だ。デーモンなどの悪の敵を倒すのが魔法少女の役目だ。
『ワンダーパークの平和はわたしたちが守るよ! 行くよサファイア!』
『了解』
するとルビーはステッキを、サファイアは剣を召喚させ戦闘態勢に入る。
『デビィッ!』
『危ないっ!』
「うわああぁ!」
デーモンが放った翼でできた闇のエネルギー砲を魔法少女たちが避ける。
その避けるのにあわせて左右に大きく揺れそしてスピードもアップしていく。
デーモンは次々とエネルギー砲を放っていく。
まるでシューティングゲームのようだ。
ドゴー!
『きゃあぁぁ!』
『ルビー! みんな!』
華麗に避けていた二人だがルビーがエネルギー砲に当たり乗り物も一緒に吹っ飛んでいく。
「あわわわわわ!」
子供向けとは思えない絶叫アトラクションにさっきから叫び声を上げてしまうつむぎ。
ここでも年齢や身長制限はあるのだろうかと疑問にも思う。
『大丈夫、ルビー?』
『うん、なんとか。でも早くデーモンを倒さないと。こうなったらみんなの応援で必殺技を放とう!』
『了解、みんなサイリウムを振って私たちに力を』
なんとか空中で止まったコースターはそのまま停止して魔法少女たちの会話を聞く。
すると突如サイリウムが現れた。
つむぎは迷うことなくサイリウムを持ち叫ぶ。
「頑張れーキララマジカルー! ほらひなたちゃんも一緒に!」
「えっ!? あたしも!? が、がんばえー…」
巻き沿いを喰らったひなた。
大きくサイリウムを振るつむぎとは裏腹に小さく振るひなた。
内心恥ずかしいのは目に見えて分かったが、今のつむぎにはそんなの関係なかった。
するとまわりが光のオーラで纏われた。
『デビィッ!』
攻撃してくるデーモンだがサイリウムを振ることによって出たオーラが攻撃を弾く。
『ありがとう! みんなの応援で力がみなぎるよ!』
『いくよ私たちの必殺技』
攻撃準備ができた二人はそれぞれの武器に力を込める。そして武器が光輝き必殺技を放つ。
『マジカルレッドスプラッシュ!』
『マジカルブルーブレイド!』
『デビデビビィッ……』
二人が放った光の光線にデーモンはやられ目を×にして消滅していく。
『みんなのおかげで無事デーモンをやっつけることができたよ!』
『これで君も立派な魔法少女の一員だよ』
こうして無事パトロールを終えることができた。
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