ひなたの隠し事
「なっ、なっなっ……! なにを言ってる……のだ!」
ミーシェルは動揺していた。
あたふたして口の八重歯が見える。
「だってミーシェルってネームプレートはじめてわたしがUnreallyでひなたちゃんと会ったときと同じだしわたしのこと知ってる素振りだよね? それにその声何万回も聞いてるから声でわかるよ!」
すべてが合致した。その結論が一番わかりやすくしっくりくる。
「そ、そんなのたまたまの偶然かもしれない……のだ! 貴様の友人がたまたまミーに似ていただけ……」
ミーシェルは反論しようとしたが、途中で言葉を止める。
「いや……大事な友に隠し事は無用……なのだ。ミーの正体を貴様に教えよう……」
ミーシェルは空中でメニュー画面を操作する仕草をする。
するとミーシェルの体は光出す。
アバターチェンジのエフェクトだった。
光が消えるとそこには金髪の長い髪の少女がいた。
「ってことでミーシェルの正体はあたしだよつむぎ」
そう、アンリミテッドファンタジアのトップランカー、ミーシェルの正体はつむぎの幼馴染み雨宮ひなただった。
咲夜もそのリアルとの見た目がほとんど変わらないことで気付いたのか驚いている。
「やっぱりひなたちゃんだったんだね!」
ぱあっと明るい笑顔をつむぎは見せる。
「バレちゃったなら仕方ない。あっちが本来のあたしのUnreallyの姿。つむぎに見せてたのは初期に使ってたアバターなんだ」
ひなたは説明する。
これまでの経緯を。
ひなたは中学生三年生、バスケ部での部活動が終わった後Unreallyに出会った。
そこでアンリミテッドファンタジアにハマり毎日ぶっ続けでやるようになる。そのため寝不足な日も多く、朝HR前に机で寝ていたりしたのはそのためだそうだ。
「で、今に至るわけ」
「でもどうして今まで隠してたの?」
「だってはずいじゃん! あの姿は気に入ってるけど、あの姿じゃないときに自分の痛々しい発言をみると死にそうになるから……」
顔を赤くしてひなたは言う。
「でもひなたちゃんがそういうの好きなのは知ってるよ? 昔はよくひなたちゃんの勇者ごっこ付き合ってたし」
「その話はいいから!」
ひなたは叫ぶ。ひなたにとっては思い出したくない黒歴史なのかもしれない。
小さい頃はひなたはマントをつけて「あたしは勇者ひなた!」という風に言って勇者ごっこをしていた。つむぎがお供の僧侶役として付き合わされていたのを思い出す。
「まぁとりあえずこの話はまた今度ちゃんとね」
するとひなたは咲夜の方を見る。
「咲夜ちゃんだっけ? ごめんねこっちだけリアルの話で盛り上がってて」
「いや別に……大丈夫だよ。雨宮さん……」
「へっ?」
咲夜のその声はリアルのトーン近かった。
咲夜の発言にひなたは変な声を上げる。
一切ひなたの名字を言ってないのにひなたの名字を咲夜が知っているからだ。
「どゆこと……?」
「えっとね、咲夜ちゃんは同じクラスのさやちゃんなんだ」
「ああ、そっかー黒葛さんかー納得納得……」
納得したひなたは頷き沈黙ができる。
「ってえええええええ! 黒葛さんが咲夜ちゃん!? どいうこと?」
「ええとね……」
つむぎは経緯を話す。
つむぎと咲夜がリアルで出会い同級生だと知りそこから親友になるまでを。
「そっかぁ……二人が親友ねぇ」
ひなたはしみじみとつむぎの話を聞いた。
「つむぎも成長したなぁよしよし!」
「ちょっと!? ひなたちゃん!」
ひなたはつむぎの頭を撫でる。
いつも思うが、ひなたは自分のことを犬かなにかだと勘違いしてないだろうかとつむぎは思う。
「まぁいいや。この姿はあたしの仮の姿……故に長居はできない……」
ひなたは距離を置き数歩歩く。
そして光輝きミーシェルへとアバターをチェンジした。そしてこちらをみて紫の髪に赤いマントを広げる。
「改めて名乗ろう! 我が名はミーシェル! 天魔竜族の末裔なり! 天使の慈愛と魔族の闇の力そして竜の誇り高き偉大さを交えた最強の種族……なのだ!」
「あー確かに、これは見返したら恥ずかしくなるね」
「やかましいわ! ミーはこれでいい……のだ。これこそがミーがミーであるべき姿……なのだ」
ミーシェルの発言を弄る咲夜。ひなたの姿のときと違っていつも通りの咲夜だった。
するとメニューにフレンド申請が来る。
「と、いうことで貴様らにはミーとフレンドになることを認める……のだ」
右目をウインクさせながらミーシェルは言う。
つむぎは考える暇もなくフレンド申請を許可する。
「よろしくねミーシェルちゃん!」
こうしてつむぎたちはひなたことミーシェルとフレンドになることになった。




