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たとえゲームでも

「そう言えばさ、王都には来たけどこれからの目的って何? ストーリーはないの?」


 王都を散策していたつむぎは咲夜に言う。

 手には屋台で売ってたハンバーガーのようなものを持っていた。



「この世界のストーリーは自由だよ。一応人々を脅かす魔物を倒すのが勇者の使命だけどね」



 同じくハンバーガーを片手に一口食べ咲夜は言う。


「ここにいるNPCが自由に生きているようにプレイヤーも自由に生きていいんだ。だから自分だけのクエストが発生したり、逆にクエストを依頼することだってできる」


「へぇ、やっぱりUnreallyらしいねそこらへん」


「そうだね。他のVRゲームはもっと制限がかかっててゲームらしくなってるけど、このアンリミテッドファンタジアはUnreallyらしさをそのままゲームに反映させてあるからね」



 ぺろりと咲夜は先にハンバーガーを食べ終える。つむぎもそのあとしばらくして食べ終えた。



「それじゃあ外に出てまたフィールド探索しよ!」



 つむぎはローブを風に揺さぶらせながら咲夜に笑顔で言った。




 しばらく歩き王都へと出ようとしたとき。



「行かせてよ! このままじゃお母さんが死んじゃうの!」


「ダメだ! 小さい子に外は危険だ!」



 兵士が外に出ようとしていた小さい女の子を取り押さえていた。



「あの、どうしたんですか?」


 

 つむぎが尋ねる。




「あのね! お母さんが病気で大変なの! だから街の東、ファヴールの森の奥にある聖なる雫がほしいの! それがあればどんな万病も治るんだよ」


「だからあぶないと言ってるだろう! あそこは並の冒険者でも苦戦するんだ! お嬢ちゃんがいっていい場所じゃない!」


 少女が涙目になりながら言う。

 だが少女の身を心配して兵士はどなる。


 すると画面にある表記がされた。



 クエスト発生

 

 クエスト名:聖なる雫を求めて


 クエスト内容

 ファヴールの森の奥に行き、聖なる雫をくんでくる。


 クエスト推奨レベル:レベル20




 どうやらこれはクエストのようだ。



「あの──」



 つむぎが少女に話しかけようとしたとき、咲夜がつむぎの肩を取る。



「つむぎ、推奨レベル見たでしょ? つむぎにはまだ早いよ」



 咲夜はクエストを断ろうとしていた。

 確かにレベルは全然足りてない。

 

 しかし……



「でも、この世界の人たちも生きてるんだよね? データ上とはいえ。ならわたしたちが助けるべきだよ。困ってる人がいて自分には無理だから助けないなんてしたくないよ!」


 

 それは幼馴染みひなたの受け売りの言葉だった。


 彼女は太陽のようにまぶしくてみんなを助ける。そんな彼女は常に万能と言うわけじゃなくて、その分努力もしてきた。


 そんな彼女につむぎは憧れている。


 自分もそんな風になりたい。


 それが今だとつむぎは思った。



「まったく……仕方ないなつむぎは……。好きにしたらいいよ」


 

 つむぎの誠意をみて咲夜はやれやれと微笑む。



「ねぇお嬢ちゃん! わたしたちが代わりに取ってきてあげるよ!」



 つむぎは女の子の目線を合わせ言った。


 

 クエストが受理されました! 



 ◇



「やっと着いた!」


 

 外へ出て東へ、ファヴールの森へとやってきたつむぎたち。


 ここまで来るのにそれなりに時間が掛かった。

 その分レベルも上がり10レベルを越えている。

 

 まだまだ推奨レベルには遠いがそれでも着実に強くなっている。外に出る前ありったけのお金でポーションを買ったため回復も十分だ。



「ここからが本番だよ」


 

 咲夜は銃を構えて言う。

 その姿は映画で見るような構え方だ。



「よし、行こう!」



 つむぎたちは森の奥へと進んでいく。


 森の中は少しうす気味悪い。枝や葉が日差しを塞ぎ辺りを暗くさせている。


 森は木々ばかりで地図がなければ迷いそうだ。

 幸い聖なる雫がある最深部にはマップにチェックが入っており、そこに向けて探索する。


 魔物とは何度か会ったが今回の目的は戦闘ではない。聖なる雫の採取だ。

 

 なので戦闘は極力控えていく。



「あ、宝箱がある!」



 しばらくしてつむぎは宝箱を見つけた。

 大中小、大きさが別れてる三つの宝箱だ。

 つむぎはなんの戸惑いもなく宝箱のところへ行こうとして───



 バン! バン! バン! 



 突然、咲夜は銃声を鳴らした。

 銃弾は三つの宝箱に命中した。

 


「なにしてるの咲夜ちゃん!?」


「こんな怪しいのトラップかも知れないでしょ? 実際見てみてよほら」


「え? あ、ほんとだ!」



 宝箱の方を見てみると中くらいの大きさの宝箱は宝箱の姿をしたモンスターだった。RPGでよくみる明け口が牙で覆われた凶暴なモンスターだ。


 だが咲夜の銃弾がクリティカルヒットしたのか目を×にして倒れておりしばらくして消滅した。



 するとレベルアップの表記があらわれた。



 レベルアップしました!


 レベル13


 魔法獲得!


 クールブリザード



 レベルアップと共に新しい魔法を覚えたらしい。魔法名からするに氷属性の魔法のようだ。

 これからの冒険に使えそうである。



「それじゃ宝箱をあけよう!」



 つむぎは最初に大きい宝箱を開ける。


 しかし中身はからっぽだった。



「あはは、まぁこんなこともあるよね」



 見かけ倒しなだけだったようだ。つむぎは苦笑いをする。だがまだ希望がなくなったわけではない。


 最後に小さい宝箱がある。

 きっとこれが本命だ。

 つむぎは小さい宝箱を開けた。

 開けると宝箱から光が輝きだした。



「やった! 宝石だ!」



 つむぎは光の中にある宝石を手に取った。

 


 アイテム名:ダイヤモンド

 売買価格:50000G

 説明:貴重で売ると高く売れる。

 

 

 それはラファエルの盾と同じ価値をするダイヤモンドだった。これを売れば小金持ちに!


 

 そう思ったつむぎだが──


 パキッ……


 ダイヤモンドから嫌な音が聞こえる。

 よく見てみるとダイヤモンドには咲夜が撃った銃弾が入っており、ひびか入っていた。


 それがだんだんとまわりに広がっていき──



 パキーーーン!



「あぁぁ! ダイヤモンドが!」


 

 ダイヤモンドが粉々に砕け散った!

 ダイヤモンドはアイテムとして消滅し、ポトンと銃弾だけが落ちる。


 あまりにも儚い最後だった。



「あぁ……その、ごめん」



 悲しそうにするつむぎに、自分の行動による失敗に謝罪をした咲夜だった。


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