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VSねねこ

 翌日つむぎと咲夜はねねこに言われた通り、UDreamスタジオに来ていた。

 UDreamスタジオのロビーの受付の人に、ねねこのいる場所を教えてもらいねねこがいる方のスタジオへと移動した。



「ふん、怖じけずに来たようね。 来てくれるか不安だったけどよかっ……た、とか言わせるんじゃないわよ!」


「いきなり一人ギレ!?」



 ねねこは情緒不安定な言い方で謎の怒りを見せていた。


「えっと今日はよろしくね、ねねこちゃん」

「よ、よろしく……」


 手を差しのべたつむぎだったがねねこは頬を赤くしながら顔をそらした。



「まぁいいわ……。それじゃあ配信をはじめましょう」



 そして配信が開始される。



◆今人気の新人Uドリーマー対決よ! │水無月ねねこ



「ねねこよ。あなたたちご機嫌いかが? 今日はタイトルにある通り対決をするわ」



 髪をさっとなびかせてねねこは言った。



コメント:ごきげんよう

コメント:ねねこちゃん今日もかわいい!

コメント:対決って誰とするんだろう



 コメントが流れてくる。

 ねねこのUnitterでは昨日あるUドリーマー二人と対決する配信をするわとユニートがされていた。


 サムネにはつむぎと咲夜のシルエットが貼られており誰とまでは言ってなかった。


「対決するのはこの二人とよ!」


 そしてカメラにはつむぎと咲夜がアップして映し出される。



「えっと、麗白つむぎです。アンリアルドリーマーやってます! 知ってる人いたら嬉しいな」 

「同じくUドリーマーの小太刀咲夜。主に楽曲製作メインに活動中」



 二人は急な振りにも柔軟に対応した。

 配信は慣れてないが、動画撮影は何度もやってきた為多少対応には困らなかった。



コメント:つむぎちゃんキター!

コメント:咲夜様もいるなんて!

コメント:さくつむはいいぞ



 意外にもコメントには知っている人がいくつかあった。


 知らない人もかわいいやかっこいいと言ったコメントをしてくれる人がいる。



「それで対決って具体的にどんなことをするの?」

 


 質問をするつむぎ。

 今までずっと疑問に思ってたが対決とはいったい何をするのだろうか。



「対決は三本勝負よ。あたしと一対一で対決してもらうわ。一回戦目はつむぎさん、二回戦目は咲夜さん、三回目はそのどちらでもいいわ」



 そう言ってねねこは一つの箱を取り出す。



「対決の内容はお題ボックスに書いてある内容で勝負よ! ルールはわかった?」


「うん、なんとなくわかったよ!」



 つむぎは返事をし、咲夜はこくりとだけ頷く。



 お題ボックスでの対決は他のUドリーマーもコラボで使うためつむぎはなんとなく知っていた。


 お題ボックスの中に書いてある玉の内容で対決するもので、その内容はあらかじめ用意されているものや、各個人がいれたものをランダムに混ぜてその中からお題を決めるのだ。


 お題の内容には視聴者投票もある。



「それじゃあ一回戦目はつむぎさんが引いて」


「うん」



 つむぎは箱から一枚の玉を引く。



「えっと、早口言葉対決。次の中から順に言って多く言えた方が勝ち。だって」



 すると玉は消え、つむぎたちの正面に早口言葉が書かれた画面が現れた。


 画面にはいろいろな早口言葉が書いてあり下をいくごとに長くなり難しそうだった。



「それじゃあまず、あたしが先行でやるわ」 


 

 ねねこは一歩前に出て言った。

 カメラもねねこをアップにする。



「生麦生米生卵! 生麦生米生卵!生麦生米生卵!」



 ピンポンピンポーン!

 一つ目の早口言葉をねねこが言うとどこからか

 正解の効果音が流れる。

 AIによる判定だろうか?



「赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙! 赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙! 赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙!」



 ピンポンピンポーン!



「東京特許許可局! 東京特許許可局! 東京特許許可局」



 ピンポンピンポーン!



「この竹垣に竹立てかけたのは竹立ててたててて…ああもう無理」



 ブッブー!


 次々と正解していくねねこだったが四個目にして失敗してしまった。



「それじゃつぎはわたしの番だね。よーしがんばるぞー」



 気合いを入れるつむぎ。

 そして息を吸った後勢いよく言いはじめた。



「にゃまむぎにゃまごめにゃまにゃまご! ……あれぇ!?」



 ブッブー!


 なんとつむぎは一個目にして言えず失敗に終わった。



「あははダメだったよ咲夜ちゃん」


「まぁつむぎ、早口苦手なのはわかってたから……」



 苦笑いするつむぎに微笑み返す咲夜。

 実は以前、早口言葉言ってみた! 

 という動画を投稿したことがつむぎはあって

 それは全然言えなくてボツにしようか迷ったことがあった。

 咲夜にある意味いいんじゃないと言われ投稿し、地味に再生数が良かった。


 するとドサッとなにかが落ちるような音がする。

 ねねこが膝を落としたポーズをしてガックリとしていた。


「負けたわ……」


「ねねこちゃん……?」


「それは本来猫キャラのあたしがやるべきネタなのに……先にやられたッ!」


「論点そこ!?」

 

 試合に勝って勝負に負けたようなねねこ。


 だが一応勝敗はねねこの勝ちなのでねねこに一点入る。



「二回戦目引くよ」



 そんなねねこを置いて咲夜は箱の中の玉をとる。



「二回戦目は……Unreallyのフレンドの多い方の勝ち……」



 咲夜は言ったあと凍りつくように固まった。

 ねねこもどうやら目が死んでいるような表情をしている。


 どうしたのだろうか?



「さ、咲夜ちゃんフレンド数は?」



 放送事故にならないようにつむぎは話を進めようとする。

 


「一人……つむぎだけだよ」


「えっ」



 予想を遥かに越える咲夜の回答に、つむぎは言葉を失う。

 つむぎがはじめてフレンドになった咲夜。


 その咲夜もまたつむぎがはじめてのフレンドだったという事実が発覚する。


 確かに咲夜のいる所にフレンドが来たということはつむぎ以外いなかったから、言われてみればそういうことだったのかもしれない。

 

 咲夜は一人でいるのが好きだ

 ということもあるのだろう。


「そ、それじゃあ次、ねねこちゃんは?」


 雰囲気を変えようとねねこへ会話のバトンを流す。

 

 コメントにはこれはもうねねこちゃんの勝ちではといったコメントが多数送られてきた。



「……人よ」


「え?」



 ねねこは後ろを向いて正面を見せないように小声で言った。


 だがその声は小さすぎて聞こえない。

 もう一度尋ねる。


「えっと、なんて言ったの?」


「だから0人よっ! フレンドなんていないわ!」



 怒ったようにねねこはつむぎの方を向いて怒鳴った。

 

 ねねこの衝撃的な発言はこの場だけならず配信のコメントすらも沈黙していた。



 ねねこは顔を真っ赤にして半分涙目になっているのではないかという状態だ。

 どうにかしなければ……



「えっと……ねねこちゃん、よかったらわたしがフレンドに「この状況での同情なんて辛いだけよ!」ですよねー……」



 焼け石に水だった。 



「いいわよ。あたしのことはもう。これで1対1の同点。最後はあたしが引くわ」 



 ねねこは顔をそらしながらお題ボックスから玉を取る。



「なになに、お互いのいいところを誉める。どちらがよりよかったか視聴者アンケートで決定、ね。まあいいわ。それじゃあ二人のどちらか相手になって頂戴」



 ねねこは髪をなびかせて言った。 

 つむぎと咲夜はお互いにお互いを見る。



「私はねねこのことあまり知らないからつむぎにお願いするよ」

「うん、わかったよ!」



 つむぎは前に出てねねこの方を向いた。

 ねねこのことは前から知っている。

 動画と配信だけだがファンだった。



「それじゃあねねこちゃんのいいところを言うね」

「ど、どうぞ……」



 ねねこはちょっと声を震えさせていた。

 そんな彼女を知ってか知らずか、つむぎは元気よく話始める。

 

「ねねこちゃんはね、素直じゃなさそうでとても素直な女の子で、優しくてファンの子のことをとても大事に考えてて、そういう優しい部分がわたしは凄い見習いたいなって思ってるよ!」


 ねねこのいいところは、言おうと思えばいくらでも言えた。


 ねねこは動画のときいつもファンのことを気遣ってくれる。

 言葉では少し素直じゃなさそうに見えて心配したり応援してくれたり、そう言ったやさしさがつむぎは好きだった。



「あ、ありがと//」

 


 ねねこは顔を下に向けて照れていた。

 照れ屋なところもかわいいなとつむぎは思う。

 

 しばらくしたあとねねこは首を振り、真剣な目でこちらを見つめてきた。

 そして人指し指をビシィッと向けてくる。


「次はこっちのばんよ!」



 彼女は呼吸を整えて言った。



「あなたのいいところはなんでもやってみようと頑張る精神力いつも前向きに取り組んでて、でもちょっとドジ踏むこともあって……でもそれが可愛くて……それであはは、とかえへへとかいうのがあざとくて可愛くて……// あたしのファンだって言ってくれたとき嬉しすぎて正直気が動転しそうで……//」



 最初は自信満々に言ってたねねこだがだんだん気弱になっていき、後半はボソボソ声で話してて何を言っているのかほとんど聞こえなかった。

 

 だが自分のことをすごく誉めてくれてる事は伝わる。



「あはは、いざ誉められると照れるね//」


「そういうところが卑怯なのよっ……」



 互いに顔を赤くしていた。



「アンケート開始します。制限時間は五分、はいスタート」



 それを見ていた咲夜は冷静に進行を進めていた。


 そして五分後



「アンケート結果が出たみたいよ。結果はどうかしら」



 アンケート結果が発表される。

 

 横棒のグラフで右の赤色がつむぎ、左の青色がねねこだ。

 

 結果

 つむぎ50%ねねこ50%



「って同点!? こんなことってあるの!?」



 つむぎは思わず叫ぶ。

 まさか綺麗に別れるとは思いもよらなかった。

 これで決着がつくと思いきや引き分けだったのだ。



「ま、まぁいいわ。今回は引き分けってことで多目に見てあげる。でも忘れないでよね! あなたたちはあたしのあこ……ラ、ライバルなんだから!」

 


 ねねこはそういうとその場を逃げるように去って行った。

 そしてそのまま配信は終了を遂げた。



「終わったね」


「そうだね」


「結局ねねこちゃんの目的ってなんだったんだろう?」



 彼女が対決を言い出した理由を知らないまま今回は終わりを迎えた。


 ◇


 一人の少女が逃げるように走っている。

 スタジオ内の自販機がある休憩スペースをみつけ、誰もいないことを確認するとそこで立ち尽くした。



「もう……! なんでこういうときだけすんなり素直になれないのよっ!」



 少女の叫びが響き渡る。

 彼女は水無月ねねこだった。


 つむぎたちとの配信を終え彼女は逃げるように

 その場を去って行った。


「ほんとうは友達になりたいだけなのに……仲良くなりたかっただけなのに……あたしのバカバカバカ!」


 そうだ。

 まず最初の段階で間違っていた。


 ねねこは最初あったとき、本当は友達になろうとしていたのだ。

 しかし素直になれない性格が仇となり対決することになる。


 けれど対決のあと仲良くなれればとそう思っていた。


 だが、勇気がなかった。

 もっと素直になれれば、勇気があればと水無月ねねこは思った。


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