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みんなを幸せに

 すみれとの話を終えた後、つむぎは咲夜の楽屋に入っていった。



「つむぎ……いったい何を話してたの……?」 



 心配する咲夜。

 つむぎはそれを見て笑顔を見せた。



「えへへ……ちょっとした挨拶だよ。それよりさ、今から生配信しようよ!」


「生配信? どうして?」



 首をかしげる咲夜。咲夜はいきなりのことに困惑してるようだ。



「いいからいいからじゃあ配信始めるよ!」



 つむぎは羽が映えたカメラを取り出し配信を始めた。



◆咲夜ちゃんを応援する会│麗白つむぎ



「こんにちは、麗白つむぎです。今日は咲夜ちゃんとすみれちゃんの対バン。なので咲夜ちゃんを応援するために急遽配信することにしました!」


「ど、どうも……いきなりのことで戸惑っている咲夜です」



 自然と会話を進めるつむぎに対しいきなりのことで状況をまだ理解してない咲夜が言う。



「咲夜ちゃんはね……今凄い悩んでるの。自分の音楽がみんなを幸せにできるか。だからねわたしとファンのみんなの励ましのエールを送ろうと思うの!」


「エール……?」



 それからつむぎは言う。



「わたしはね、咲夜ちゃんの音楽があったから咲夜ちゃんに出会えて今アンリアルドリーマーとしていられる……運命だと思えるくらいにわたしに幸せを咲夜ちゃんは与えてくれた。みんなも咲夜ちゃんへの気持ちを伝えてくれないかな?」



 つむぎが視聴者に向かって言う。

 するとコメント欄は咲夜に対するコメントがたくさん書かれていく。



コメント:咲夜様に出会えたことが私の幸せです

コメント:咲夜ちゃんの曲毎日リピートしてる

コメント:咲夜ちゃんの影響で作曲はじめました!

コメント:いつか咲夜ちゃんみたいな曲を作ってみたいな

コメント:つむぎちゃんから咲夜ちゃん知ったけどかっこいい曲で大好き!

紅あかね:咲夜ちゃんの曲のおかげで毎日が楽しく過ごせてます!



「みんな……」



 咲夜はファンのみんなのコメントを見ていく。

 つむぎも一緒にのせられているコメントをたくさん見ていった。



「それになんとUドリーマーの友達たちからショートビデオをもらっているよ!」



 するとつむぎは一つのモニターを表示させる。

 そこにはショートビデオとしてUドリーマー仲間たちからの応援の言葉をあらかじめもらっていた。



 *byしき



「元気がないなら美味しいもの食べなよー。不幸だったらウチの方が負けないし!」


「ホック!」



 唐揚げを食べながらマスコットのホックと共にしきが映っている。

 突っ込みどころも多いが彼女らしい励まし方だ。


 *byエレオノーラ



「咲夜どのはいつも素晴らしい演奏をしているでありんすよ。その演奏ならきっと勝負に勝てるでありんす」



 エレオノーラは笑顔で喫茶雪月花のカウンターで言った。



 *byひそか



「咲夜君はからかうのは難しいけどその分歌が上手くて面白い。クールな歌声からは想像できないびっくりさせるいたずらをきっと成功させてみせるよ」



 ひそかは秘密結社ブルローネのステージに立ち言った。なんだかんだ咲夜の歌を評価している。いたずらばかりするひそからしい考えだ。



 *byミーシェル


「音楽で幸せにできるかだと…? 貴様らしくない……もっと胸を張ってミーをいじる時みたいにいろ……それこそ貴様らしい……のだ」



 いつものようにミーシェルは腕を組み言う。

 素直じゃないがミーシェルは咲夜のことを信頼している。それはきっと咲夜も同じだ。



 *byねねこ


「咲夜ちゃんにもらった曲本当に素敵な曲よ……みんなが喜んでくれる。あなたのおかげなんだからねっ」



 自分の部屋で髪をなびかせながらねねこが言った。その顔はやはり少し赤くなっているようにも見えた。




「みんな……ありがとう。でも私にできるかな……」



 咲夜は微笑み言った。だが彼女はまだなにか不安があったようだ。



「まだ不安なんだ……つむぎとお揃いにしたミサンガもこの前突然切れちゃって……せっかくもらった大切なものなのに……」



 咲夜の悩んでいることはミサンガのことだったらしい。それが彼女にとって不安になったのだろう。大切なものが突然壊れたのが。

 そこでつむぎは言う。



「ミサンガにはなんて願いを込めたの?」


「これからも友達を大切にしたいって願ったんだ。でも切れた今、なにもかも失うんじゃないかな……」



 咲夜は弱気だった。

 だがつむぎはそれを聞いて笑顔で微笑んだ。



「なら大丈夫だよ! ミサンガは切れたとき願い事が叶うんだ」



 そして咲夜の手を両手で握る。



「咲夜ちゃんは一人じゃないよ。わたしが……わたしたちがいるから大丈夫。自分に負けないで! 咲夜ちゃんは咲夜ちゃんのままでいいんだよ!」


「つむぎ……」



 咲夜は握られた手をもう一つの手で握り返す。



「わかった……私頑張る」



 咲夜は一つの決意ができたかのように表情が変わりいつものキリッとした顔に戻っていた。


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