突撃!咲夜ちゃんの家
その建物を見たとき、つむぎは惚れ惚れしていた。
「これが咲夜ちゃんの家…」
黒い外壁のおしゃれな大きな一軒家がそこには建っていた。
周りは住宅街だが隣は空き地になっており、他の建物と比べても咲夜の家は目立っていた。
「とっても素敵なお家だね!」
「まぁゲームだからね。Unreallyで自分の家を建てるのはそこまで難しくないよ」
そういいながら咲夜は先に玄関へと向かい、ドアを開けてくれた。
おじゃましまーすと、つむぎは家の中へと入っていき、咲夜についていきながらそのまま階段へと上る。
そして二階に上がると一つのドアのを開けた。
「ここ、咲夜ちゃんが普段つかってる部屋?」
「まぁね」
そこには寝るためのベッドや、高そうなコンポなどのオーディオ機材。
机にはパソコンと、おしゃれなヘッドホンが置いてあった。
それとは別に、大画面のテレビと、まわりにはUnitchなどのゲーム機が置いてある。
「すごい色々あるんだね」
「うん、はいこれ」
「へ?」
すると咲夜はあるものを取ってつむぎに渡した。
目の前にだされたのはUnitch。
「これ貸すよ」
「ええ!? そんな事できるの!? 咲夜ちゃんの物だよね」
「それは普通に現実で貸し借りするのと一緒だよ。アイテム所有者は私だけど貸すことなら出来るんだ」
「でも、咲夜ちゃんに悪いよ……」
「私は最近Unitchのゲームはあまりやってないから大丈夫だよ。それにつむぎが動画を作ってくれるなら嬉しいし……」
そのまま言われるがままつむぎはUnitchを受けとる。
そのあと咲夜はメニュー画面を見てるのか、空中で右手の人差し指を動かしている。
「何本かゲームソフトもあるけどなにがいい?」
「流石にソフトは自分で買うよ! 自分の目で決めたいし、それくらいの余裕はあるから!」
「そっか。たしかに自分がやりたいゲームをしたいよね」
咲夜は手の操作を止め頬を緩ませながら言う。
それにほっとするつむぎ。
流石にこれ以上色々してくれるのは嬉しいが引け目を感じるし、言ったことは事実だ。
バイトで多少お小遣いは残ってるし、ゲーム一本買う余裕はある。
なにより自分でゲームを選びたい。
その後は咲夜にソフトを買う方法を教えてもらい今日のUnreallyは終了した。
◇
「ふぅ……」
Unreallyを終えてリアルでお風呂に入った後、つむぎはさっぱりした顔で自室に戻ってきた。
パジャマ姿のつむぎは机からスマホを取り、そのままベッドに向かう。
寝たりはせず、座ったままの体勢でスマホの画面を見ている。
つむぎはUnreallyダウンロードショップというサイトを見ていた。
咲夜に教えてもらったダウンロード購入の方法だ。
Unreallyで現実のお金を
必要とするアイテムを買う場合。
クレジットカード決済
ケータイ決済
コンビニ決済
の三つの中から選んで購入する必要があった。
つむぎはクレジットカードを持っておらず手軽なケータイ決済で購入することにした。
画面にはゲームソフトが並んでいた。
Unitchのゲームソフトたちだ。
いろんなゲームが揃っている。
もふあにがプレイしていた
スマッシュパーティーや
ミリオカート
スプラッシューン
など有名作品がならんでいる。
あれもいいなこれもいいなとつむぎは指を動かして見ている。
するとその中から1つ、目に止まったものがあった。
「このゲーム……!」
つむぎはそのタイトルを見て、あることを思い出す。
思い出した映像を浮かべ、ふふっと笑みを見せる。
そしてそのあとすぐに購入ボタンを押していた。