憧れゲーム実況
◆【罰ゲームあり】スマッシュパーティー四人で遊んでみた! |もふもふあにまるず
「良い子のみんな元気にしてるか! もふもふあにまるずのボス、ウルだぞ!」
動画が再生され、狼の少女ウルが挨拶をする。
「おなじくスゥでーすよー」
「シマリけん。よろしゅうね」
同じくうさぎのスゥ、リスのシマリが挨拶をする。
「今日はみんなでunitchのゲーム、スマッシュパーティーをプレイするぞ!」
後ろに大きなテレビ画面が現れ、スマッシュパーティーと書かれたタイトルのゲームが表示される。
スマッシュパーティーはいろんなゲームやアニメの作品がクロスオーバーされている対戦ゲームだ。
普通の対戦ゲームと違いHPのようなものはない。
ステージから落下したり吹き飛ばされたりする
とポイントが減り、相手を吹き飛ばすとポイントが増え、そのポイントで勝敗が決まるゲームだ。
「このゲームはパーティーゲームなので全員でやりまーすよー」
「ということでリズもこっち来てと~」
「ちょっと!? そんなの台本にないわよっ」
シマリが画面外から誰かを呼ぶ仕草をし、その声に前にも聞いたことのある声が反応する。
「いいから来い! 3人でやると半端だろ。お前も立派なもふあにのメンバーなんだから参加しろ」
ウルの言葉で誰かがこっちへとくる。
金髪のクマの耳をした
メイド姿の少女がそこにはいた。
「……仕方ないわね。それじゃあ改めて、もふあにの企画、アシスタント担当リズよ」
少女はリズと名乗った。
画面にはリズちゃんキター!
などのコメントがリズが現れたと
同時に多数のコメントが流れる。
Dreamtubeは動画の感想欄に
コメントする方法と
時間を決めて画面にコメントが流れる
二種類のコメント方法がある。
前者は全体の感想
後者はリアルタイムで誰かと
共感したいのに向いている。
リズはもふあにを基本裏方でサポートしている。
だが時々動画内で登場することがあり、地味に人気がある。
本人はUドリーマーでないと言っているが、大事なもふあにのメンバーだ。
「よし、これで丁度四人だしはじめるぞ!」
そういって画面が切り替わり、動画が全体がゲーム画面になりキャラ選択画面に入る。
下にはもふあにメンバーの顔がリアルタイムで表示されていた。
「あたいはライルーを使うぜ!」
「私はワルキューレを使いますよー」
「わたしはミリオよ」
「うちはキララルビーけん」
それぞれがキャラクターを選択した。
ウルは黄色い狼のライルーというモンスター。
スゥは白髪に黒いセーラー服の日本刀を持った少女ワルキューレ。
リズは黄色い帽子にMと書かれた少年ミリオ。
そしてシマリはアニメ、魔法少女キララマジカルのキララルビーだ。
「ルールは4人バトルでストック無制限。時間内にどれだけポイントを稼げるかで勝敗が決まりまーすよー。ちなみにですけど最下位だった人には罰ゲームがあるとかないとか」
「よっしゃ、じゃあゲームスタート!」
キャラ選択が終わりウルの掛け声で、バトルが開始される。
ステージは草原で画面端は床がなく、おちると落下するステージだ。
「いっけー」
はじめにシマリが仕掛ける。
キララルビーのステッキからの近接攻撃が
リズのミリオに与えられる。
アニメでは遠距離でビームを放つルビーが近接攻撃をしているのは、ゲームだから見られる光景だ。
「やられないわよ。最下位は嫌だから本気で行かせてもらうわ」
「ぐぬぬぅ!」
リズはプレイ慣れしてるのか、シマリのルビーの攻撃をガードし続けスマッシュ値が全然増えなかった。
「あたいも加勢するぞ! ライジングスマッシュ!」
「ちょっ! 2体1は卑怯でしょ!?」
「暇でーすねー」
ウルがライルーの雷をまとった体当たりをリズに当てスマッシュ値を与える。
そんな三人を横目に操作しないで寝むそうにしてるスゥ。
「これでもくらいなさい!」
するとここでリズの怒濤のコンボがウルに与えられる。
「ぐおーー」
そしてあっさりと場外に吹き飛ばされるウルのライルー。
「これは強敵けん……」
※
そんなこんなでバトルは進んでいき残り30秒。
現在ポイントは
ウル マイナス2
スゥ マイナス2
リズ 3
シマリ 0
プラスマイナスが加算された結果、こうなっていた。
リズは強くて吹き飛ばされたのは1回だけで、何回かスマッシュを成功している。
シマリはどうにか最下位は免れている状態だ。
「くっこのままじゃ最下位だっ!」
「でーすねー」
「だからお前には負けてもらう! ライジングスマッシュ!」
これを食らえばスゥはスマッシュされる。
これで勝てると自信満々のウル、本来ならトップを取ろうとしていたのが最下位を免れるのが目的になっていた。
それだけリズが強かった。
そしてとどめの一撃が
スゥの使うワルキューレに───
「あ、なんかアイテム拾いまーしたよー」
「あっ」
食らう瞬間スゥはアイテムを使用した。
ステルスドロップというアイテムで
一定時間透明になり攻撃が当たらないものだった。
ライジングスマッシュが当たらなかった
ライルーはそのまま空中に落下し──
「ああああぁ」
ウルは自滅しマイナス3ポイントになった。
「ちくしょう! こうなったら最終手段だ! ライジングスマッシュ! ライジングスマッシュ! ライジングスマッシュ!」
復活したウルはとにかく、雷の体当たりを食らわせようとする。
無我夢中で連打し、当たる当たらない関係なしに、ライジングスマッシュを連発する。
「ライジングスマッシュ!ライジングスマッシュ!ライジングスマ「うるさいわよ!」」
あまりのうるささにリズに怒られるウル。
そのついでにコンボを食らわされ、吹き飛ばされる。
そしてゲームセット
順位
1位 リズ
2位 シマリ
3位 スゥ
4位 ウル
という結果になった。
「ということで勝者はクマさんでーすよー。最下位はおおかみさんでーすー」
「思わずわたしが勝っちゃったけどいいのかしら…」
「いいとおもうとー、リズたのしそうにプレイしてたとよー」
「くっ、これで勝ったと思うなよ!」
祝福されるリズ、悔しそうに歯を食い縛るウル。
「はい、ということで最下位のおおかみさんには罰ゲームの時間でーすよー」
「は? 罰ゲーム? そんなの聞いてないぞ」
「いや最初の方に言ってたとよ……」
「それじゃほら罰ゲームの青汁」
「青汁かまぁ……青汁なら……青…汁……?」
リズが罰ゲームの青汁を取り出すと、そこにいた全員が目を見開いた。
それはまがまがしく黒い液体だった!
「いやこれ青汁じゃないだろ! 黒汁の間違いだろ! 毒か!毒なのかそれは!?」
「あのね……これあんたが作った青汁よ…」
「へ……?」
「昨日事前に作らせたじゃない。最強の青汁を作ってって」
「あーあれか……ってこのためのやつかよ!?」
昨日の動画にあった最強の青汁を作ってみた! という動画のことだろう。
ウルがいろんな具材を入れて青汁を作るという企画だったが完成したところで終わり、飲むことはしないで動画は終わった。
飲むのはしなかったのは、危険だからではなく今日のためだったらしい。
「あんたの破滅的な料理センスで罰ゲームにしようとしたけどまさか自滅になるとはねぇ」
「ぐぬぬ……でも最強の青汁だろ……! あたいが作ったものだ! きっとこれを飲んであたいはもっと強くなれるはずだ!」
「それじゃあ一気にいーきましょー」
スゥがパチパチと手を叩く。
大丈夫かとと呟き心配するシマリ。
ウルは禍々しい青汁を目をつぶり一気に飲み干す。
飲み干したあとコップを落としたウルは、そのまま硬直している。
「どうでーすかーおおかみさーん。……おおかみさーん?」
「し、死んどると……!?」
「いや死んではないわ、白目向いて気絶してるだけだわこれ」
どうにか立っているのが奇跡のように、ウルは気絶していた。
「え、えーと、今回はこれで終わりと! ご視聴ありがとーとー!」
「おおかみさんがこの後どうなるかは今後の動画に期待してくーださーいねー」
若干放送事故っぽいがこれが、よくある光景なのがもふあにだった。
そして動画が終了する。
◇
「ゲーム実況楽しそうだなぁ」
動画を見ていたのはつむぎだった。
今いる空間はUnreally
喫茶店にいる。
「つむぎもやってみたいの?」
「うん。やりたいなぁ。 ゲーム実況楽しそうだし」
ゲーム実況は動画でよくあるコンテンツだ。
多くのUドリーマーがやっており見てくれる人も多い。
「でもゲーム機とかってどうするのかな? みんなUnitchのゲームとかやってるけどUnreallyに持っていけないよね?」
「ゲーム機やソフトはダウンロードでネットで買えるよ。それでこっちの世界で遊べるんだ」
「へぇ、そういう仕組みなんだ」
「ただこっちの通貨は使えないリアルマネーが必要だから注意してね」
「あはは、やっぱりそうだよねー」
Unreallyの通貨、ユノはUnreallyだけで、使えるお金だ。
それによってみんな買い物をしたりしている。
さすがにゲーム通貨では買えないらしく、現金が必要だ。
しかしつむぎは学生。
Unreallyにお金を注いだため、ゲーム機を買うお金はもうない。
ゲーム実況はお預けかなぁと、しょんぼりしながらもつむぎは持っていたミルクティーを飲む。
そんなつむぎをじっと咲夜は見つめていた。
「ゲーム機がないなら私の家に来なよ」
咲夜はそう言った。