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さやの違和感

 Uフェスが終わった次の日。

 つむぎはリアルで夏祭りに行くこととなった。

 気分は完全に元通り。

 それも昨日の咲夜の歌を聞いたからだろう。


 そんなこんなで夏祭りの会場にへと足を運ぶつむぎ。



「おーいつむぎー」


「みんな! おまたせ!」



 夏祭りの会場には既に待ち人たちがいた。

 去年と同じくひなたとことね、そしてさやも既に一緒にいた。

 みんな去年と同じ浴衣を着ていた。



「今年は四人で集まれたね!」



 つむぎが笑顔で言う。

 さやも一緒にいるのが嬉しかった。



「ま、もうこうやって夏祭りに来れるのも今年で最後だしねぇ」


「来年はどうなるかわからないからね……」



 ひなたとことねは少し寂しそうに言う。

 確かに来年はこうやって四人で夏祭りに行けるとは思えない。

 バラバラになって忙しくてリアルで会うのは本当にわずかだろう。

 だから今を楽しまなくては。



「……」



 さやの方を見るが彼女は黙ったまま横目でつむぎから目をそらしていた。



 それからつむぎたちは屋台の食べ物を食べ歩くことにした。


 つむぎはかき氷ことねはりんご飴、ひなたはたこ焼きを食べる。さやは食欲がないからと狐のお面を買って頭に飾っていた。



「ねぇさやあたしと射撃勝負しようぜ!」



 すると射的屋を見つけたひなたがさやに勝負を挑むように言った。

 さやと射的で勝負をしてみたかったのだろう。

 さやの銃の腕前は去年射的屋の人が全部取られてしまうか不安になってたくらいだ。



「……うん」



 少し間が空いた後歯切れ悪く頷くさや。

 

 二人は銃を持ち構え射的バトルがはじまった。



 パン!



「よっしゃ! まず一個ゲット!」



 ひなたは去年の反省を活かしてか勝負だから本気なのか大物ではなく比較的落ちやすい軽いお菓子の箱を狙って見事撃ち抜き景品を手に入れた。



 対してさやはというとギリギリのところで景品に当たらず外してしまう。


 何度か挑戦するがひなたが景品を手にいれる一方でさやは一個も景品を手にいれることができなかった。



「Unreallyでは凄い射撃なのにどうしたんささや? あたしに恐れおののいた?」


「今日は不調なだけ……」



 冗談半分で煽るひなたに対してさやはいつもより大人しい反応だった。

 普段ならミーちゃんは黙ってとか言っていじり返したりしても良さそうだがなんか違和感がある。



「つむ、なんか今日のさや不自然な気がしない?」


「わたしもなんかそんな感じはするよ。どうしたのかな?」



 後ろで一緒に見守ってたことねは同じことを思ってたようだ。本当に今日のさやはどうしたのだろうか。



「あっ先輩!」



 すると聞き覚えのある声が聞こえた。

 振り向くとそこには。



「そまりちゃん!」 



 そこには浴衣を着たそまりがいた。

 浴衣姿をしたそまりは一段とかわいく見えた。



「そまりちゃんも夏祭り来てたんだね!」


「は、はい……友達と一緒に……」



 そまりは顔を赤くして照れるように言う。

 すると浴衣姿の女の子が二人そまりの後ろにいた。



「そまりちゃんこの人たちは?」



 青い長髪の少女がつむぎたちを見て言う。



「あ、紹介するね……この人たちはあたしがよくお世話になってる先輩たち」


「へぇこの人たちがそまり姫の言ってた先輩たちかぁ」



 ボーイッシュな見た目をした赤色の短髪の少女が言う。そまりはリアルでも姫と呼ばれているのか。



「うちのそまりちゃんがお世話になっててありがとうございます」


「ありがとうございます」


「ち、ちょっと二人とも//」


 

 お辞儀をするそまりの友達二人に対しそまりは顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。



「そ、それじゃああたしたちは別のところ回りますね。また学校で、あ、会いましょうね」



 そまりたちはそう言ってその場を立ち去って行った。



「そまりちゃん友達と仲良くやってるようでよかったぁ」



 つむぎはあがり症な彼女が普通に友達と一緒に仲良く過ごしている姿を見て少し安心した。

 彼女は着実に成長していっている。



 ◇


 

 ドン! ドン! と花火が打ち上がる。



 つむぎたちは以前さやが教えてくれた河川敷で花火を見ていた。



「うっわぁここ結構いいじゃん! 人少なくて映りも綺麗でほんと穴場だねぇ」


「さやはここでいつも見てるんだね」



 ひなたとことねは花火を見るのに夢中になっていた。

 


「えへへ……去年とは違うねさやちゃん」


「うん……」



 つむぎはさやに微笑みかける。

 去年は屋台を見るのはことねとひなたとだけ。

 花火はさやとだけ見たのだ。

 しかし今は全員と一緒に花火を見ることが出きる。


 それは幸せなことだった。


 これもさやが心を開いてくれたおかげた。


 そんなことを考えているとつむぎの浴衣の袖が引っ張られる感覚がした。



「さやちゃん?」



 相手はさやだった。

 今日一切まともに会話ができてないさやが自らなにかを話したがっているように感じる。


 そしてさやは切なそうな顔をして口を開く。



「つむぎ……ちょっと二人で抜け駆けしない?」


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