表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/156

Uドリーマーとはなにか

「最後の第三ステージは普通のクイズ番組らしい形式で行うよ」


 ステージは一番最初のクイズ番組でよく見る解答席が現れていた。

 回答者はそれぞれの位置につき問題が出されるのを待っていた。



「まずは書いて答える問題だよ。第一問、春の七草と呼ばれるものはなにか全部答えよ」



 それから制限時間が儲けられつむぎたちは答えを考えていく。つむぎは春の七草がなんなのかよくわかってなかった。何個かは知っているがすべては知らない。だがとりあえず書いてみる。



「それでは解答を見てみよう。ではオープン」



 解答席のパネルに書いたものが表示される。



 つむぎはナズナ、スズシロとかき他はなにもわからず制限時間が来てしまった。


 ミーシェルは潔く知らんのだと書いてあり正解することを放置している。


 しきはというとじゃがいも、たまねぎ、にんじん、カレー粉、肉、あとはお好みでウチ的にはハンバーグかなーともはや七草ではなくただのカレーの作り方だった。


 一方咲夜とねねこはナズナ、スズシロ、ゴギョウ、ハコベラ、セリ、ホトケノザと同じ回答だった。



「正解は……咲夜くんとねねこくんだ。よく知っているね」



「まぁたまたまよ」


「七草粥作ったことあるから……覚えてた」



 髪をなびかせるねねこと普通のように答える咲夜。彼女たちはこれまでも比較的正解率が高かった。この中では頭がいいほうなのかもしれない。



「次の問題。メラニン色素が少なく毛や肌が白い体質のことをなんと言う」


 

 ひそかの出題につむぎたちはパネルで書いて行った。



「正解はアルビノ! つむぎくん咲夜くんミーシェルくんが正解だよ」



 やったとつむぎは心の中で呟く。

 創作キャラなどでアルビノキャラなどを見たことがあることもありその知識は知っていた。



「ねねこどのはおしいでありんすね」


 

 ねねこはアルピノと一文字違いで不正解だった。


 ちなみにしきは老化と答えている。



「そういえばエレオノーラ君は髪もまつ毛も白いしアルビノなのかい?」


「どうなんでありんしょう? わたくしはそんなこと考えたことなかったでありんすから」



 ひそかがエレオノーラを見て言う。

 たしかにエレオノーラはアニメキャラでよく見るアルビノ体質の姿をしていた。

 だがそれについては謎のままらしい。



「じゃあここからはUnreallyに関連するクイズ問題を出すよ。はや押しで答えてね」



 それから数問パネル問題をやったあと次の問題内容にへと変わった。



「問題、Unreallyの会社シンギュリアが作った自立化型AIシステムその名前を答えよ」



 するとピンポン! とすぐにボタンが押される。



「ハーツヴィジョンよね」



 とねねこがいいピンポンピンポーンと正解の音が鳴る。



「正解でありんす!」


「まるで人の心を持ったような自律AIシステムだね。それによりAIとの高度なコミュニケーションが可能となっているよ」



 ひそかが説明する。

 UnreallyのNPC、AIは基本これが搭載されている。だから人間も動物も普通のゲームのような単純な思考で動いているのでなく人間にちかい、また動物に近い知能を持っているのだ。



「次の問題、黒薔薇の歌姫神咲レアのCD、Descreationは現在何枚売れたか答えよ」



 ピンポンとすぐにまたボタンが押された。

 押したのは咲夜だ。

 

「80万枚」


「正解! CDが売れなくなっているこの時代でこの枚数を叩き出すのはさすがでありんすね」



 それからも回答は続いていった。

 咲夜とねねこが比較的多くの回答を正解していくが他の者もまけてはおらずつむぎも奮闘していった。


 そして最後の問題。



「最後の問題に移る前にみんなのポイントを見てみよう」



 そこで回答席の上にあるポイントが見せられる。


 上から

 ねねこ    200点

 咲夜    180点

 ミーシェル 150点

 つむぎ   130点

 しき     20点


 という結果だった。



「ということで最終問題は逆転のチャンス。正解すると100点が加算されるよ」


「えー最後だから1000ポイントで大逆転確定じゃないの? 正解してもウチ負け確定じゃん!」


「現実とはそういうものだよ」


「ここアンリアルだしっ!」



 不満を言うしき。

 最下位のしきにはもう勝ち目がなかった。



「ちなみに次の問題には明確な正解はないでありんす。だから回答の中から素晴らしいと思った回答を視聴者に選んでもらってそれが正解となるよ」



 明確な回答がないとはどういうことだろうか。

 疑問に思いつつ出題される問題を聞くことにした。



「最終問題、あなたにとってアンリアルドリーマーとはなにか答えよ。これは自由に思い付きた人から順に回答していっていいよ」



 アンリアルドリーマーとはなにか。

 それはアンリアルドリーマーにとっては自分の思う確信に迫る答えだと思った。


 それぞれ悩んでいるのかすぐには手をあげるものはいない。

 

 しばらくしてまず最初に回答したのはねねこだった。


 

「あたしはファンのみんなに笑顔をあげる存在だと思うわ。それがあたしのしたいことだもの」



 ねねこらしい、ファンのことを思った答えだ。



「私は自分を表現する方法……かな。音楽を上げたくて元はなったから」


 

 次に咲夜が。それははじめて咲夜がつむぎに対して言った事と同じだった。



「ウチはねーいっぱいみんなに見てもらって人気者になる! でもってお金持ちになってうはうはになーる」


 

 テンション高くしきが言う。欲望に忠実なその姿はしきらしい。



「多くの者と交流を図るためのもの……なのだ」



 ミーシェルが腕を組み片目を閉じて言う。

 ミーシェルはつむぎたちと一緒に過ごしたい。

 アンリアルドリーマーとしていろんな人と交流したいそう言っていたのを思い出す。



 最後につむぎに目が向けられた。



 つむぎは少し迷っていた。

 アンリアルドリーマーとはなにか

 その答えなんてわからないからだ。

 だが自分にとっての……麗白つむぎとしての答えは持っている。


 つむぎは深呼吸をしてそのあと口を開いた。



「アンリアルドリーマーはみんなに夢を勇気を与えてくれる存在。辛いとき暇なときどんなときでもみんなを幸せにしてくれる。そしてなによりアンリアルドリーマー自身が成長できる。仲間とファンのおかげで……そんな存在だとわたしは思うよ」



 長くなったがそれがつむぎの答えだ。



「さて、回答が出揃いましたでありんす。それでは審議の視聴者投票がはじまるでありんすよ」



 投票時間は五分、Dreamtubeを見ている者たちがそれぞれ投票してその中から一番票の入ったものが正解となる。

 そして五分が経ち結果がわかった。



「正解のない正解……その正解者は……」



 パッと正解者にスポットライトが当たる。



「つむぎどのに決まりました!」


「へっわたし!?」



 まさか自分が選ばれるなんてつむぎは思わなかったのだろう。つむぎは一瞬嘘ではないかと疑った。



「他の回答者も素晴らしかったしもちろん外れではないさ。でもきっと視聴者にはつむぎくんの熱弁が刺さったんだろうね」


「ということで優勝は230ポイントでつむぎどの! 大逆転でありんす」



「やったぁ!」



 拍手が巻き起こる。

 途中までは全然正解せず無理かと思ったがまさかの大逆転でつむぎは喜んだ。

 アンリアルドリーマーとして楽しいことは視聴者にとっても楽しいことなんだとつむぎは実感して嬉しかった。



 ◇



『やったぁ!』


 つむぎが喜び拍手が巻き起こる生放送を見ていた少女がいた。



「…………」



 彼女が興味があるのはつむぎではない。

 だが興味のあった人物が出ていたから見ていただけだ。つむぎの笑顔を見ている少女はもうその生配信に飽きたのかスマホをスリープにしてしまう。


 そしてグランドピアノの椅子に座り無我夢中に演奏し始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ