舞台は宇宙へ
ある日つむぎはしきに呼ばれしきの家の前に来ていた。同じく一緒にいたのは咲夜、ミーシェルだ。
「それで用事ってなにしきちゃん?」
つむぎが言う。
「ふんふん、実はね実はね見せたいものがあるんだよー」
しきはいつもより嬉しそうに明るくテンションが高かった。しきの近くにはホックが側にいる。
しきは辺りを見渡しある程度の広さを確認するとあるアイテムを取り出した。
「いでよウチの自信作のマシィン!」
しきが出したアイテムは次第に大きくなっていき本来の姿を現す。
それは家よりも大きなロケットだった。
「しきちゃん特製宇宙船! これ作るの大変だったんだよー」
「ほんとにこれを作ったと言うのか……凄いな」
ミーシェルが腕を組み、感心していた。
その大きさとクオリティを見るに力をかけて作ったのが分かる。
しきは馬鹿だがこうしたマシンの作成については本当に上手い。
「ユノもだいぶかかったからねー。あとでユノ稼がないと新しいマシィン作れないよー」
「じゃあ売れば……あの二億の指輪」
「売らないよ! あれ売るとか怖すぎるし!」
咲夜の言うことにツッコミをいれるしき。
前にUnreallyの開発会社シンギュリアの次期社長一式まなに道案内をしてもらった指輪のことを咲夜は言っていた。
あれを売ればお金には困らないだろうがせっかくくれたものだから大事にしているのだろう。
「でさーこれ乗って宇宙を探索しようよ! きっとサイバー凄いものいっぱいあるって!」
「あっ! じゃあどうせならその様子を撮影して動画にしない?」
つむぎは両手を叩きしきに提案をする。
「ナイスアイデア! それ絶対動画にしたらバ ズーるよ!」
しきもそれに賛同し動画を撮ることとなった。
◆Unreallyの宇宙を探索してみた! │麗白つむぎ
「どうもアンリアルドリーマーの麗白つむぎです!」
「小太刀咲夜だよ」
「しゅびっと参上、しきだよー!」
「天魔竜族のミーシェル……なのだ」
それぞれが宙に浮いたまま自己紹介をする。
「えーっとわたしたちは今、無重力の中にいます! なんと舞台は宇宙です!」
つむぎが説明する。つむぎたちは既に宇宙船に乗り宇宙へと旅立っていた。
撮影画面にはここからみれる宇宙の様子を映像として流していた。
「今日はしきちゃんが作った宇宙船で宇宙旅行をするんだ。これから宇宙を巡っていくよ!」
「しかもしかも今日はウチら以外にもゲストを呼んであるよーん」
「そうなの!? でも他に誰もいないよ?」
驚くつむぎ。そんなことは聞かされていない。
あたりを見渡す。宇宙船にはつむぎと咲夜、ミーシェルにしき、そしてしきのマスコットのホックだけがいるはずだ。
「今日はガイドにこころちゃんを呼んだよー」
「こころちゃん!?」
するとモニターが現れそこにこころが映っていた。
「あなたのこころは何色? 七色こころです! 今日はこのUnreallyの宇宙について解説しようと思うよー」
まさかこころが登場するとは思ってもいなかった。相手は世界一のトップアンリアルドリーマー。しかし同時に世界一身近なアンリアルドリーマーだ。
AIなため不可能ではない。
「Unreallyの宇宙はまず最初にワンダーランドプラネットを中心に数少数の惑星と星で構成されていました。そこから徐々にAIによるUnreallyの宇宙空間の膨張で自動惑星作成により星が増大していったのです。だから今となっては無数のいろんな惑星がたくさんあるんだよ。一生かけてもすべてみることはできないくらいにね。それと大金があれば自分の惑星を作って所持することもできるんだ。まぁ一億ユノ必要だから個人で持つのは現実的じゃないけどね」
Unreallyの惑星のことについて解説するこころ。惑星が買える一億ユノはUnreallyでは大金だ。
有名どころだともふもふあにまるずがあにまるプラネットという惑星を作っている。
「ここに惑星二つ分のの指輪を持ってるやつが」
「だから売らないよ!」
しきをいじるように言う咲夜。
「まながあげた指輪だね。あの子お金に対しての価値観が曲がってるからまた買ってたし心配しなくてもだよ。その指輪はしきちゃんの好きなように使ってね。売っても別になにも悪いこと起きないから」
笑いながら言うこころ。
他の子にはちゃん付けをするこころだがまなだけは呼び捨てにしていた。
それはやはり似せた別物とはいえ、一式こころというまなの姉を元に作られたAIだからだろうか。
「そっか……でもウチ大事にしてるよ! 家に家宝として大切に管理してるし。売るつもりないから」
しきは胸を張って言う。指輪を大切にしているのは本当のようだった。
「それじゃあまわりの惑星を見てよー」
こころがそう言うと宇宙船の中の一部が透明化し宇宙がはっきりと見えるようになった。
「あのエメラルドグリーンにピンクの地形でできた惑星がみんなお馴染みのワンダーランドプラネット。そっちのリアルの地球のような惑星がアースプラネット」
こころがいろんな惑星を解説していく。
マカロンの形をしたスイーツプラネット。
もふもふあにまるずのロゴの形をしたあにまるプラネット。
つむぎたちが来たことのある惑星もみることができた。
Unreallyの宇宙にはたくさんの惑星があることを再確認する。それらがすべてひとつの世界に繋がっていて存在する。
オープンワールドにしても規模の大きすぎるゲームだ。
やはりUnreallyはゲームであり限りなく異世界に近いものだ。
いろいろな惑星をつむぎたちは見て楽しんでいた。
「こころちゃんあれは?」
しばらく宇宙旅行をしているとつむぎはあるひとつの惑星を見つけた。
「メロディープラネットだね。音楽に特化した惑星だよ。その惑星にいる住人は音楽が大好きなの」
メロディープラネットと言われた場所は比較的中規模の大きさの惑星で音符のような隕石がその惑星のまわりを土星のように回っていた。
「よし、じゃあそこに着陸するーる!」
「目的地が決まったようだね。それじゃわたしの解説はここまで。またね!」
役目を終えたこころはモニターからの通信を切り消えた。
しきは宇宙船を操作してメロディープラネットに向かった。
つむぎたちはそこでメロディープラネットにたどり着くことを待つことにする。
宇宙船は加速し、メロディープラネットにつくのにそう時間はかからなさそうだ。
「……あ……どうしよう」
するとしきは硬直してこちらを機械のように動き振り向く。
「加速しすぎて着陸できない……このままじゃ追突するんだけど」
『え……? ええぇぇ!?』
一斉に驚くつむぎたち。
「なんで加速を落とさなかったのだ!」
「だってだって! 速くつきたかったし!」
叫ぶミーシェルにしきはしょんぼりした顔で言う。
「こころちゃんは……もういないよね」
つむぎはモニターをみるがもうこころとの連絡は途絶えた。こころならこの状況をどうにかすることが出来たかもしれないがその望みも絶たれた。
「だ、大丈夫だって……ほ、ほらアンリアルだから死なないし」
「死ななければいいって問題じゃないんだけど……」
言い訳をするしきに呆れる咲夜。
「あばばばば!」
つむぎは震えていた。
カメラでみれる宇宙船は大気圏に突入し、宇宙船は隕石のように熱を放っていた。
そしてドカーン!と宇宙船はメロディープラネットに激しい勢いで追突した。