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魔人討伐伝  作者: あかつき
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第二話 魔人討伐隊本部

「…悪いな。俺にはそんな時間はない。」

「お願いします!どうしても強くなりたいんです。」

「それは復讐のためか?」


 友禅が問う。


「…復讐と言われればそうかもしれません。」

「ならば断る。」


 友禅は立ち去ろうとする。


「でも、それ以上に俺はみんなを守りたいんです!もう俺のような思いを誰かにしてほしくない!化け物に怯えながら生きる人を救ってあげたい!」


 俺は去っていく友禅に思いをぶつける。


「待ってください!」


 そういったのはひまりだった。


「私はあの化け物を前に何もできなかった。もし、また襲われても…目の前で誰かが襲われていても何もできないなんて嫌だ。手の届く範囲だけでもいい…私は誰かを守れる力が欲しい!」


 友禅が歩く足を止める。


「だったら、見せてみろ。お前たちの覚悟を。」


 友禅は刀を抜く。


「かかってこい。相手をしてやる。」


 友禅が刀を構えた瞬間、ものすごい気迫が伝わってくる。こうして立っているだけでやっとなほどに。


「これが俺の…。」

「これが私の…。」


 何とか足を前へと出すと、全力で駆け出していく。


「覚悟だ―――!」


(ただがむしゃらに突っ込んでくるだけか。こいつらでは魔人には勝てんな。)


「甘い!」


 友禅は二人の腰めがけて刀を振る。もちろん本気で切るつもりはなかったが、二人の取った行動に友禅は驚かされた。なんと二人ともが互いを守るようにかばいあったのだ。


「…。」

「あれ?あの、えっと…。」


 なぜ生きているのか不思議そうに見つめあう二人。


「俺が本気で斬るわけないだろう。」


 それにしても必ず死ぬ状況で自分よりも仲間の命を守ろうとしたのか。そんなこと、しようと思ってもできることではない。


「…お前たち、名を何という。」

「…俺は水無月総一朗で、」

「私は波川ひまりといいます。」

「そうか。」


 俺たちの名前を確認すると、鶴岡はその場で何かを書き始めた。


「あのー…俺たちはどうなったんでしょうか?」

「お前たちを認めてやる。今からお前たちをとある場所に連れていくが構わないか?」


 なんだかよくわからないが俺たちは認められたらしい。覚悟が伝わったのだ。


「大丈夫ですけど、一体どこへ?」

「行けばわかる。」


 言われるがままついていくと、そこは駅のホームだった。


「この紙をもって東京にある魔人討伐隊本部へと向かえ。」

「友禅さんはいかないんですか?」

「俺は今任務中だからな。でもそこに行けばきっと俺が教えるよりも強くなれるはずだ。」


 しばらくして電車が来る。


「では俺は任務に戻る。」

「はい!ありがとうございました!」

「…頑張れよ。」


 そういうと友禅は姿を消した。


「…魔人討伐隊本部か…。どんな場所なんだろう。」


 期待に胸を膨らませて俺たちは電車に乗った。






「人がいっぱいいる…。これが東京…。」

「そこら中にでかい建物があるぞ。すごいな。」


 山から出てきた俺たちにとってここは未知の世界も同然だ。


「さて、魔人討伐隊本部は…と。」


 地図を参考に進んでいく。

 

「うわーーー、なんかすごいね。」


 たどり着くと、周りに何もなく、そこにぽつんとただでかい建物があった。


「とりあえず入ってみようか。」


 入ってみると、どこもかしこも刀を振る人たちでいっぱいだった。


「ん、誰だお前ら。」


 話しかけてきたのはこの中でもひときわ目立つ派手な格好をした男だった。


「魔人…じゃないみたいだな。」

「俺たち鶴岡さんに言われてここまで来たんです。」


 紙を差し出すと、男は驚いた表情をする。


「これは…確かにあいつの字だな。ってことはお前ら入隊しに来たのか?」

「そうです。強くなりに来たんです。」

「なるほど…。」


 男はそういうと俺たちを奥の部屋まで連れていく。


「あいつが見つめるっていうことはお前ら相当センスあるんだな。」


 期待のまなざしで見てくる。


「いえ、魔人を前に何もできませんでした…。」

「お前らすでに魔人と戦ってるのか。なるほど…。よし、今からここで入隊試験までの半年間みっちり鍛えてやる。言っておくが生半可な覚悟では三日と持たんぞ。」

「はい!…って入隊試験なんてあるんですか?」

「お前ら何も聞いてねーのか。」

「はい…。」


 ついさっきまで魔人のことすら知らなかった俺たちがそんなこと知る由もない。


「仕方ねーな。」


 この男の人は親切にも一から魔人討伐隊について教えてくれた。


「…なるほど。俺たちはここで修行して魔人と戦う手段を身に付け、試験を合格すれば隊士として入隊できるんですね。」

「そういうことだ。ここにいる奴らはみんなお前らのライバルだ。全員が試験に向けて修行している。」

「…みんながライバルですか。俺たち頑張ります!」

「気合入ってるな。気に入ったぜ。」


 こうして今日から半年間の修行が始まったのだ。

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