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魔人討伐伝  作者: あかつき
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第一話 魔人出現

「おーい、総一朗。早くしないと学校遅れちゃうよー。」

「ごめん、お待たせ。じゃあ行こうか。」


 俺の名前は水無月総一朗。石神中学に通う3年生だ。


 いつも起こしに来てくれる彼女は波川ひまり。同じ村に住んでいて、小さいころからよく一緒に遊んでいる。いわゆる幼馴染である。


「今日も一日頑張ろうね。」

「そうだね。村のみんなのためにも早く一人前にならないと。」


 俺たちの住む村は街から遠く離れた山奥にあり、昔からの風習で一人前と認められたものが街へ働きに出ることになっている。一人前と認められるためには学業をおろそかにしてはならない。だから毎日2時間かけて学校に行っている。


「なんかあそこから煙出てない?」

「あれって学校のある場所じゃ!?」


 俺たちは急いで学校へと向かったが、ついたころにはすでにあたり一帯に火が燃え広がっていた。


「そんな…。一体何が。」

「あそこ、誰かいる!」


 燃え上がる校舎の中には人影があった。


「校舎の中に取り残されている人がいるかもしれない。俺見てくる。」

「ちょっと!」


 火の燃え上がり方からしてかなり時間がたっている。早く助け出さないと命が危ない。


「誰か!まだ逃げられていない人はいますか!」


 必死に炎をかき分けて進んでいく。


 すると煙ではっきりとは見えないが、そこには人影があった。


「もう大丈夫です!俺が助けます!」

「…誰を助けるだって?」


 突然ものすごい勢いで吹き飛ばされ、気が付くと外に飛ばされていた。


「何が起こったんだ!?」


 俺はそのまま地面へと落下した。


「総一朗!大丈夫!?何があったの?」

「わからない…。いきなりものすごい風が吹いてきて、外に飛ばされたんだ。」


 俺とひまりはこの状況に頭が追い付いていなかった。


「まだガキが二人生きていたとはな。」

「…何あの化け物…。」

「お前ら運がよかったな。俺は急いで山のほうへ行かなきゃならねーから見逃してやるよ。」


 そういうと化け物は山のほうへと去っていった。


「まずい!村のみんなが危ない!」






 村に着くとそこには見るに堪えない光景が広がっていた。みな殺されており、そこら中に死体が転がっていた。


「どうして…。みんなが何をしたっていうの…。なんで殺されなきゃいけないの…。」

「…母さん、父さん、次郎、こずえ。」


 俺は家族の死体を抱きかかえる。すると母さんの手には一枚の手紙が握られていた。


『この手紙を読んでいるということはあなたはまだ生きているのね。この村に突如化け物が現れたの。おそらく私たちももうすぐ殺される。けれど、もしあなたが生きてくれているのなら…お願い。ひまりちゃんを守ってあげて。

―ごめんね、何もしてあげれなくて。いつも無理ばかりさせてごめんね。愛してるよ。』


「母さん…。」

「おいおい、せっかく見逃してやったってのによー。なんでお前らここにいるんだ?」


 この声は、さっきの化け物だ。


「お前が村のみんなをやったのか。」

「ああ。そうだ。俺がやった。それがどうした。」

「…絶対に許さない。」

「許さない?がはははは。笑わせるな。お前のようなガキに何ができる。」


 どうしてこんな奴にみんなが殺されなければならないんだ。みんな楽しい日々を送っていたのに。それがたった一瞬で壊された。


 俺は足元に落ちていた木の棒を拾う。


「おいおい、そんなちんけな木の棒で何をするってんだ?」

「はあああああ!」

「馬鹿が!」

「うわああああ。」


 俺はまた突然吹いた風に吹き飛ばされた。


「総一朗!…あんた、どうしてこんなことを!」


 普段は優しいひまりが見たことのない形相で化け物をにらむ。


「別に意味なんてない。ただの暇つぶしさ。人の群れがそこにあるなら俺はそれをつぶす。」

「お前なんかに!やあああああ!」


 ひまりは化け物へと走っていく。しかしその怒りが届くはずもなくひまりは吹き飛ばされる。


「ひまり!」

「わかっただろ?人間は弱い。だから俺に殺されるしかないんだよ。」


 圧倒的な力を前に為す術がなく、ただ立ち尽くすことしかできなかった。


「安心しろ、いまからみんなのところに送ってやるからよ。」


 もうだめかと思った瞬間、倒れたのは化け物のほうだった。


「大丈夫か少年。」


 そこには手に刀を持った髪のはねた男の人が立っていた。


「魔人は処理した。もう大丈夫だ。」

「魔人?さっきの化け物のことですか?いったいあなたは何者なんですか?」


 村を壊滅させるほどの力を持った化け物をたった一瞬で倒してしまったのだ。まったく頭が追い付かない。


「俺は鶴岡友禅。魔人討伐隊だ。」

「魔人討伐隊…ですか。」


 初めて聞く名だったが、この人がただものじゃないことは誰の目にも明らかだった。


「では、俺はもう行く。殺された皆のことは気の毒だが、強く生きろ。」

「待ってください!」


 何もできずにただ殺されるのを待つのは嫌だ。もう誰も失いたくない。だから…


「俺をあなたの弟子にしてください!」

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