【現在】『虐殺器官』(伊藤計劃)
2007年発行。
全く前知識なく読了。
死を目前にした作者がわずか10日で書き上げたというから凄い……何とも底知れぬ重力と圧力、そこから生じる超新星のごとく。
実はラノベだとばかり思ってました。スミマセン。『虐殺器官』は、まごうことなき文学でありました。
「一人の死は悲劇、百万人の死は統計上の数字…」作中でも使われたアイヒマンの言葉。
ならば百万人を殺したラスコーリニコフは罪の意識をどう背負えばよいのか?
暗殺者である主人公とその標的である「虐殺の王」。廃墟意識という奇妙な共通概念を抱えた二人……面白かったです。アニメの方も気になります。
ちなみに作中に出てきた映画はこんなにありました。
『キャリー』『2001年宇宙の旅』『エンゼルハート』『プライベートライアン』『パルプフィクション』『エクソシスト』『初体験リッジモンド・ハイ』『モンティパイソン&ホーリーグレイル』『太陽の帝国』『マッドマックス』『地獄の黙示録』『ガントレット』……
作者はホントに映画好きだったんだろーな~。
主人公の相方がモンティパイソン好きだというのがまたたまらん。
「殺人ジョーク」「バカ歩き」「まさかの時にスペイン宗教裁判」
こんな台詞が出てきた日にゃ思わずのけぞりましたわ。
(;゜∇゜)