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《10》

雪!?寒い!!

4月3日 くもり


庭の桜の木が満開になりかけている。


さて、昨日はアズールウォールの顔面が削れて大岩押しが出来ないというアクシデントと、マーヤさんの祝福がすごいということがわかった。

今日はどうしようか。

力が上げられないとなると賢さをあげるべきか?

いや、それじゃあ意味がないか。

技には力技と賢さ技の二種類があり、技そのものの威力にプラスで名前の通り力技は力のパラメーターが強ければ強いほど威力が上がり、賢さ技は賢さのパラメーターが強ければ強いほど威力が上がる。

今アズールウォールが覚えている技は力技の【たいあたり】と【とっしん】の二つだから賢さを上げても技の威力が上がらないのだ。

後々のことを考えれば賢さを上げてもいいのかもしれないけれど、とりあえずはコロシアムで稼いでファームの運営を安定させたいという思いもやっぱりある。

どうしたものかなぁ。。。


今日の天気と同じように僕の心もくもりだー。


桜を眺めながら少しぼーっと物思いにふける。


『マルタ、相談があるんだ。』


アズールウォールが僕の隣に座る。というか浮いてる。


「どうしたんだい?アズールウォール。」


『僕ね、大岩押しを成功させたいんだ。でも僕の身体はまだ脆い。だから大岩に負けない丈夫さを身に付けたんだけど、どうかな?』


あ、そっか。

本で得た知識で頭でっかちになってたな。

【まずはモンスターの力か賢さを上げなければいけない】という固定観念にとらわれていた。

僕は【貴族の長男は跡を継いで貴族にならなければいけない】という常識から脱出してブリーダーになったのに、今度はブリーダーの常識に囚われていた。


常識やセオリーなんて誰かが決めたことだ。

僕たちには僕たちにあったやり方があるし、みんなと同じである必要もないんだ。

アズールウォールにあうやり方でいこう。

幸いにもアズールウォールは丈夫さを上げるトレーニングの丸太うけが得意だし、良いかもしれないな。


「アズールウォールのお陰で僕は大切なことが分かった気がするよ。ありがとう!よし、今日は丈夫さを上げるべく丸太受けだ!」


『ふふふ。なんだかマルタがいい顔になってよかったよ。ところでマルタ受けってなんだい?マルタを受ければいいの?』


「あはは!違うよアズールウォール。丸太っていうのは木の幹のことだよ。」


『そうなんだ。おんなじ名前で面白いねー。』


2人で笑いあっていたらマーヤさんが来た。


「なんだか二人とも楽しそうですね。」


「二人で今日のトレーニングの話をしていました。」


「あら。私は仲間外れですか?さみしいなぁ。」


おおぅ。からかいの裏に本当に寂しさを含むそのなんとも言えぬ表情。今日もかわいいぞマーヤさん。


「すみません!マーヤさんも大事な仲間です。今日はアズールウォールが大岩の硬度に負けないように丈夫さを上げるべく丸太受けをするつもりです。」


「なるほどー。そういう理由のあるセオリー外れならば良いかもしれませんね。よく新人さんでそんなことが気が付けましたね。さすがマルタさんです!」


「いやいや、アズールウォールが進言してくれたおかげなんです。」


「やっぱりモンスターとお話しできるってすごいですね!」


『マルタ褒められたー!えへへ。』


「えへへ。」



そうして僕たちはトレーニング場へ。

丸太受けはその名の通り丸太を受けるそれだけのトレーニングだ。

小部屋になっていて、部屋の真ん中にモンスターが立ち、正面の穴から丸太が高速で発射されるのでそれをただ身体で受け止める。

吹き飛ばされれば失敗。その場に踏ん張って受け止められれば成功だ。

アズールウォールのパラメーターには得意トレーニングと書かれているのできっといい成果が出るだろうと期待はできる。


「よーし、アズールウォール、準備はいーい?いっくよー!」


マーヤさんの掛け声で丸太発射スイッチが押される。


『ふんぬぅ!!!!』


アズールウォール、そこ、顔面じゃないのかい?

大岩押しの時も顔面だったし、ウォール種ってみんなそうなのかな?



ん?

アズールウォールが受けた丸太がバキバキバキと音を立てて砕けた。

まさかこれは成功の更に上、大成功?


「マルタさん、これってまさか大成功では?」


「えぇ、たぶんそうですよね。」


『マルター!やったよー!受けれたよー!』


≪大成功≫

≪丈夫さ+20≫


「あ、識の神様の祝福効果でしょうか?大成功、丈夫さ+20と表示が見えました!」


『大成功?わーい!』

「+20!?!?」


アズールウォールは凄く嬉しそうだ。ほめておこう。

「アズールウォール、頑張ったね。偉いぞ。」


『わーい!』


「いやいやいやいや!マルタさん!!+20ですよ!?普通は+5とかって言われてるんですよ?成長ピークならわかりますけど、今の段階でそれはとてもすごいですよ!?」


「やっぱりそうですか。これも祝福の効果なのか。それとも得意トレーニングと大成功の相乗効果なのか。はたまたアズールウォールの力??」


「うーん。どうなんでしょうかね?マルタさんのおかげで逐一パラメーターチェックが出来るので私たちはこうやって確認できますけど、圧倒的にデータが足りませんもんね。」


「とにかく今日はアズールウォールの成長を喜びましょう!トレーニング初大成功をお祝いパーティしましょう!」


「マルタさん、すぐパーティとか貴族癖ですか?うちのファームにそんな余裕はありませんよー。」


「あはは。すみません。」



そうして僕たちは出来る範囲でのお祝いパーティをしてその日は更けていった。





―――――――――



アズールウォール(ウォール種×ウルガ種)



ランクF



0才0ヶ月



体型 普通



疲労度 20



ストレス 5



好きなもの 水



嫌いなもの 虫



得意なトレーニング 丸太受け



苦手なトレーニング 走り込み







パラメーター



体力 80



力 100



賢さ 100



素早さ 120



防御 150 昨日より+20







たいあたり(超近接力技)



とっしん(近接力技)



―――――――――

読んで下さりありがとうございました。

誤字脱字ありましたら教えてください。

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