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箱庭のピアニスト  作者: テトラ・カノン
2 機械仕掛けの国
7/12

3 還れない声

 時計塔は正門が堂々と空いていたからすんなりとは入れた。

 しかし、そこにはどこもかしこもロボ、ロボ、ロボ、しかも攻撃してくるタイプの……。

 追いかけられてるうちに逃げ場を失った私達は階段で上に上るしか他なかった。

 足の遅い私は最終的にスーさんに担がれた。

 右手で担ぎ左手で銃を乱射、さながらどこかのスパイ映画みたいでハラハラした。


 ようやく追手が来なくなった時には時計塔の最上階に着いた。

 天井はガラスででき、文字盤の裏側が見れる。


「綺麗……」

「ああ確かに綺麗だな、だがこの煙が無ければもっと綺麗だっただろうな」

「そうですねぇ……残念です」


 周りには奥に一つ部屋があった。


「あの部屋なんですかね」

「あ? 見て来なあたしは疲れたからここで倒れてるわ」

 そう言うとスーさんは大の字になって横になってしまった。


「そんなところで寝ても腰痛めるだけですよー」

 スーさんは無言で手を振った。



 部屋の中は至って綺麗だった。並べられた本棚、シングルベッド。

 大きな机の上には飲みかけのコーヒーとロボットの設計図が挟まった本があった。

「他には何かないかな」

 引き出しを探すとたくさんの書類と一つのカギとスイッチがあった。


「スーさんちょっと来てください!」

 少し大きめの声で呼んだその時、

 突然天井のガラスが割れて一台の黒いロボットがスーさんの真上から落ちてきた。


「スーさん!!」

「ったく、人が気持ちよく寝てるのになんで邪魔してくるんですかね!」

 素早く銃を取り出し落ちてくるロボットに向けて乱射する。

 しかしこれまでとは違い貫通しなかった。


「は?しまっ!」


 ガシャンと大きな音を立て床にロボットは激突した。


「スーさん……? スーさん!」

「あー、はいはい生きてますよー!」

 パッパと土埃を掃いながら煙の中から出てきた。


「ああ、よかった。ロボットは?」

「そこで伸びちゃってる」

 そこには真っ黒だが今までと形がまるで違うロボットが沈黙していた。


「で、さっきは何の用だったんだ?」

「全く呑気な、さっき死にそうになった人の発言とは思えませんよ。昔に何があったか知りませんが命は大切にしてください」

「そうだな、今死んだらメイドちゃん一人だもんな」

「そうですよ。ってそれもありますけど、私がいなくても大切にしてください!」

「にゃははは」

「んもー。で、ですねさっき色々見つけたんですけど使えますかね?」

「どれどれ、これはロボット図鑑で……、おっここの地図あんじゃん。……どんな構造になっているんだ」

 そこにはどう見ても時計塔だけには収まらない量の部屋があった。


「あと、スイッチ見つけたんですけど。もしかして……」

「もしかするかもな。押してみて」

「はい」(ポチッ)


 すると部屋が大きく揺れ始め時計塔の姿が変わってゆく。

 部屋は更に上に伸び、文字盤の針がぐるぐる回る。今までの階段は消え新たに別の階段が現れた。


「もしかしたな」

「ですね」

「取り合えず降りるか。このままここに残っても意味なさそうだし」

「地図の地下に赤丸がついてるのでここに行きますか」

「だな。よし!邪魔は入ったが休憩はできたから行くぞメイドちゃん」

「再び気合を入れて行きましょう!」


 ――でも、やっぱり私は担がれるのか。

 二人は再び時計塔を降り始めた。


                   ♰


 黒いロボットは見えない月を見て云う

「これが最期」

 静けさの中だと機械音は良く響く。

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