4 冒険のはじまり
「まぁ、来てはみたがやっぱり何もないよねー」
一通り探した後、備え付けのブランコに揺られながら頬杖をついた。
「そこ。サボってないでもう一回探しましょうよ」
「えーここにはもういないって」
そんなことはとうに知ってる。
私たちは姫その者より手掛かりを見つけなくてはならない事をスーはわかっているのだろうか。
数時間が経過したと思う。
二人はヘロヘロになって一緒にブランコに腰かけていた。
「手掛かり一つもないなんて……」
私はため息交じりに呟いた。
「はぁ、なんでこんな大変な時にいなくなるんだよ」
スーも続けて呟いた。
ふと、外を見る私は街の火の事を思い出した。
「そういえばスーさん、なんで街が燃えてるんですか」
「あー、革命だよ」
「……それって大丈夫なんですか?」
「大丈夫。かれこれ50回は越えてるから」
それはそれで大丈夫なのかこの国は。
さしずめ革命の国と名乗ってもいいくらいだ。
その後結局諦めて王様に報告しに行こうと二人ふらふらと歩きだした時だった。
(※※来て……)
「姫様?」
「は? どこ、どこに?」
「わからないです、でも声がします!」
「あたしには聞こえないぞ」
(こっち※※……)
「でも、確かに声が、池の方から!」
「池…? 排水溝か」
スーは池の真ん中にある大きな石を退けた。
するとそこには大人でも軽々入れそうな大きな穴があった。
手紙も出てきた。水が無かったのは岩裏の手紙を濡らさないためか。
「スーさん手紙は」
「中身は《待ってる》だけだ、あと白い花が挟まっていた」
挟まっていたのは夢の箱庭のアイリスの花だった。
「なんでこの花が……?」
「まあいい、とにかくこの先にいるんだな待ってろ姫様!」
ひょいっと私を抱っこしてそのまま穴にジャンプした。
「え? ええええええええええ! ちょっと待って?!」
ひんやりした風が頬をかすめ、真っ暗の中に二人は消えていった。