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#41~45



つまらぬ故郷成れの果て。

美しくもない湖のほとり。


水面に映った疲労と絶望、

これから私は逢いに行く。


傷んだ芝も茶けた遊具も、

全ては無情に想起すら許さず、

それでも貪り割り込んで、

存在知ら占め知らん顔。


案ずるなかれ、朽ちるは僕さ。


廃れた世界に牙を向いた。


僕は今日、終幕とする。



・・・---・・・



嗄れ声のメーデー、

私は何時から此処に居るの。


あぶくに映る虚像は誰だ、

雁字搦めの咎めは解けぬ。


地を這い海底いないいないのお遊びも尽き、

たたたとととたたた、なんて、謎の音信も不通に終わり。


私は本当に此処に要るのか、

問うたところであぶくは嗤う。


冷たい温度が沁みていくだけ。



・・・---・・・



荒れ狂う波に空は引っくり返った。

雨は涙の如く塩辛く、

漣は心音の如くなだらかに流れていく。


一歩踏み出すごとに、

くたびれたスニーカーは侵食を生んだ。


誰も居ない遥か遠くを呆然と眺めて、

僕は手の甲に口付けを落としてみせる。


何の意味もない神聖さは、

心の悪夢を取り払っていた。



・・・---・・・



全てに自堕落になる日々だった。


この世界の席はきっともう何処も埋まっていて、

私が落ち着いて腰を掛けられる場所などないのです。


蒲公英の花すら咲くだけの置き場を許されているのに、

私は今日とて空っぽな現に揺蕩って、

北風に晒され錆びて往くのです。



・・・---・・・



凪いだ海がいっとう怖かった。

波音が遠慮する海が滅法恐ろしかった。


足裏の砂を拐って重心をもぎ取って、

腰を打つ私を嘲笑うでもなくただ静かに見つめてくる。


やめてくれないか、私はその眼光が嫌いだ。


近付いてくるな、私の影に移動してくるな。


狂乱の訴えは誰にも響かず、崩落を辿る。



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