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#26~30



ぼうっと灯るその中に、

君がいるのだと酷く安心しました。


それは寒い夜のことです。

感覚がひりつき全てを拐われながらに

目に映す橙は三途の川など比でなく耀き、

私の心を容易く連れ去りました。


嗚呼、君は何をしているのでしょう。


私のことなど露と知らぬまま、

向き合う物を知りたかった。



・・・---・・・



もう少し、もう少しと頑張っていた。


ほんの一握りの活力と、

抱えきれない意地と病の果てで。


幾度となく夜を越えては朝日を迎えた。


かじかむ手に息を吐き、

冷えたタオルで首元を冷やし、

季節を何度とふいにした。


得るものは何処にある?


得たいものは何処にある?


それはきっと、視えぬ処に。



・・・---・・・



つまらぬ日々の切れ端を、

どうか形に出来まいかと縫い合わす。


裁縫など、日溜まりの教室で聞き流していたのだが、

絆創膏だらけの指先で針を操り糸を絡ませる。


解れも多く端は合わず、

寝ずに拵えた一枚の布。


纏って寝るには頼りなく、

着て行こうにも不格好。


やるせなさばかり募っていた。



・・・---・・・



流行りものが嫌いでした。


街を行けば皆々様が一様に同じ物を持っている光景は、

あまりに存在意義を亡くしてしまう。


そこへ私も同化し往来を闊歩するなど、

考えるだけで虚無に帰すのと同等でした。


足並み揃えて安堵する心が知れません。


こぞって御手を繋ぐ理由が計り知れないのです。



・・・---・・・



どうせ眠れぬ夜だと嗤う、

きっと私は人形のよう。


人の息なき世界の果て、漸く生を弄ぶ。


下らぬ光に背を向けて、

其処彼処へと闇は散らばる。


きっと私は人ではない、

きっと我楽多寄せ集め。


冷たい黒に身を寄せる。

錆びれ尽くしたこの身でも役に立つこと夢に見て、


ざらつく影に息吹を曝そう。


 

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