#21~25
いつか、僕が大人になったら。
その時はまた君と遊べるだろうか。
他愛ない話をして、下らないじゃれ合いをして、
何気ない息を交ぜ合って、
笑いも怒りも涙も全て含んだがむしゃらなパズルを、
組み立てられるだろうか。
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海辺で育った僕にとって
山というものは御伽噺の一部だった。
木々の香りに野苺の甘酸っぱさ、
険しい山肌と木漏れ日。
一つ一つを手にとっては、
まるで恋だなと静かに焦がれた。
小鳥の囀り川の音色、
朝露は眩しく瞳孔を射した。
此処はきっと夢の果て。
此処はきっと、幻の賜物。
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騒々しい朝、
世界の終焉でも迎えるのかと連想するほどに
窓の外で人々は行き交う。
生き急ぐ者、自堕落な者、
私の連想に違わず絶望に圧し掛かられた者。
行く先異なれど同じ場所目指して歩みを進める。
さながら聖者の行進だなと、傍観するはこの私。
宛ら神に成った気分で見下ろしていた。
・・・---・・・
オイルが切れたライターは小気味良く響くだけ。
懲りずに始まる朝焼けに、灯せるだけの力もなく、
かちりかちりと無駄な音。
咥えた煙草は毒を生まない、
根本と逢瀬も迎えない。
見えぬのは往生際か引き際か、
親指は僅かな重みを弾き続ける。
単純作業の途中にて、
灯った炎さえ消してしまう。
・・・---・・・
何も手につかなかった。
まるで呪いの枷じみて、
私はまともな動作を行えなかった。
誤作動ばかり起こす機械。
スクラップ寸前の廃材。
軋む身体も蚊帳の外、
乖離と共に、人から離れ逝く。