#01~05
一つ、許してほしい。
今夜はどうにも夢と仲良く戯れられる気配もせず、
けれど君は微睡みの眼をしながらも布団を拒むものだから、
已む無く嘘をついたのだ。
一服を終えたなら隣に向かうと、
そうでも言わなければ君はきっと、
夜の毒を共にしようと言いかねないから。
だから一つ、嘘をついた。
・・・--・・・
何にも囚われたくなかった。
嫌いなものは言わずもがな、
好きなものでさえ自由を絡め取って拐う。
ならばもう全てを捨て置いて、
酸素と水で成り立ててしまえば
僕は僕のまま在り続けられるからと倒れ込む。
冷徹無関心のフローリングの上、鳴り響く電子端末。
駄目だ、今日も囚われ続けていた。
・・・---・・・
煙草を片手に夜明けが歩み寄る。
来てはならないと諭しても、無垢な子よろしく遊びをねだる。
今日は何して遊ぶのと、
傍にいるよと言いたげに、
朝日は差し込み塵となる。
・・・---・・・
面白味の欠片もない空だった。
一面何もない、ただの色。
小学生が作ったような、
二つの絵の具を割合も考えずにパレットで混ぜた、
無駄に練り合わせた色をべたべたと
濃淡もなく塗ったようなつまらない空だった。
味気もなければ情緒もない。
雲ひとつない、下らない晴天だった。
・・・---・・・
硝子の残骸は流星群の終幕を模して床へと散り墜ちました。
あまりにさんざめくものですから、
片付けなんて野暮は他所に独り占めしたくなって手を伸ばしたんです。
指先に噛みついた欠片は愛おしく、滴る鮮血も我が子同然。
ちゃちな台所でクスリと落とした笑みは、それらしか知り得ません。