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手遅れ

作者: 夏凪

「ごめん、もう気持ちがなくなった」


とてもすまなそうな顔で、彼は告げた。

「俺みたいな奴のことなんか忘れてさ、もっと良いやつを見つけるといいよ」


自分勝手だ、とても。

簡単に忘れろなんて、よく言える

身勝手な言葉に声も出せずにいると、さよなら、の一言で彼は去っていった。


唐突な別れに、へなへなとその場にへたり込んで…と言うのがありがちだが、そういうタイプではない

(ここで追いかけて縋るなり、泣きわめくなりすれば、まだ可愛げがあるのだろな…)

と思いながら、いつも通り過ごしていた

いや、過ごせていたはずだった。


自宅に帰り、彼に関わる品を片付け、小さなダンボール箱へ閉じ込めて。

携帯からアドレスを消して、メールを消して、写真を消して…


ぽつ…ぽつ…

(あれ…?)

涙が手のひらに落ちて初めて、自分が泣いていることに気づいた。

私は、こんなことで泣くような女だったっけ?

忙しくて会えなくても

デートをドタキャンされても

他の女の子と二人で会っているのを知っても

しょうがないよ、気にしないでと返す、そんな所が可愛くないと言われていた私が。


やがて涙は止まり気づく

ああ、それほどまでに好きになってたんだ、と。

今更気付いても、仕様のないことだけど。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  大切な人ほど、いられる時間は短いです。 [一言] いなくなってから気づいたりします。
2016/03/02 16:24 退会済み
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