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魔法の力

 かくして住居は手に入れたのだが……。


「では、この緊急事態ということでお前が私の横で寝ることを許可する」


 すでに寝る体制でいる唯がベッドに腰かけてそう言っているのだが……。


「あー、これはいくら何でも無理が……って、こんなんで寝られるわけないだろ!」


 端的に言うと、唯がベッドで。そして唯と手を繋いだままの俺が床で寝るということだった。


「何が無理なんだ。適度なプライベートに私の生命維持のための手を繋ぐ行為。さらに、いざという時戦う私が万全の態勢をとれるようにしっかりと睡眠をとる。どれも合理的だ」


「だからって、俺が何も掛け布団がないのは問題だろ。それになんだ。なんで座布団までお前が持っていくんだ。直で床に横たわれっていうのか」


 大体、横なのかこの位置は。段差があるぞ。なのにこいつと来たら、すまし顔で答えやがった。


「何か問題でもあるのか?」


 ああ、たっぷりあるさ。


「まず、第一に俺がこれでは寝れないだろ。第二に俺の健康はどうでもいいのか。第三にこんな態勢だといつ手がほどけてもおかしくないぞ」


 合理的などどこに存在するのだ。あったとしても微粒子レベルだぞ。


「全く、お前が少し工夫すればいいものを。言っておくが、同じ布団で寝るなどの選択肢などないからな」


「わかってる。だけど、せめてもう少し楽な姿勢で寝かせてくれよ! これじゃ、目を閉じても寝れないだろ」


「しょうがない奴だ……」


 唯がそう呟くと、こちらに手をかざしてきた。


「ちょっとどいてろ」


 唯の指示に従い、手を繋いだまま脇にどける。


「まあ、見ていろウォル。これが魔法の力だ」


 彼女はゆっくりと目を閉じると、手を蒼く輝かせ始めた。


「これが私の力だ。創造こそ全ての力!」


 彼女がそういうとともに、今まで俺がいた場所には蒼白い粒子状の何かが湧き上がり始めた。


「これは」


 なんだ、これが魔法か!


 さらに唯がすました声で言う。


「驚くのはまだ早いぞ」


 唯の言う通りであった。


 蒼白い粒子はだんだんと形を作っていき、それはやがてしっかりと認識できるものとなった。


 そして、粒子がしっかりとそれを作り上げると輝きは徐々に失われていき、代わりに豊かな彩色が表れ始めた。


 それは白い布地であったり、木の柱であったり。


「これは……ベッドか?」


 そう、そこにはベッドが出来上がっていたのだ。今現在、唯が腰を掛けているベッドとは違い木とマットレス。さらに毛布と質素な作りではあるが、しっかりとベッドが作り上げられていた。


「そうだ、私の魔力で作り上げたベッドだ」


 これが魔法か。


 恐る恐る、その魔力で作り上げられたベッドに触れる。


「驚いた、本物そっくりだな」


 その手触り、見た目。どれをとっても、実際の物と変わらないのだ。


「まあ、これを維持しておくだけなら魔力消費量は大したことはないからな。だが、あまり大きな力をかけるなよ」


「なんでだ?」


「魔力を高密度にしてないから脆いんだ。まあ、普通に寝る程度なら問題ない」


 慎重に腰かけてみるが、壊れそうな気配はない。


「まあ、過信はするなよ」


 唯が怪しげにそういって微笑んだ。


「おい、それはどういう意味だ」


「まあ、物事に絶対などということはないからな。おやすみ、レイ」


 そういって、唯は寝についたのだが。


 あんなこと言われてゆっくり眠れるかよ……。


昨日は更新が出来ずに申し訳ありません。

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