騒乱のテーマパーク四
「ふっ」
唯は小さく息を吐き出して、返答をする。
「お前はとことん馬鹿だな。だが、その熱意だけは誉めてやろう。だがな、お前は自分も大切にしろよ。何せ、お前が死んだら私もいなくなるんだからな」
「……唯」
「な、なんだ。いきなり、気持ちの悪い声を出すな! それよりも、葵をさっさと助けに行くぞ」
「ああ」
唯の手をしっかりと握り、俺は逃げ惑う人の波に逆らいながら爆発音のした方へと急いだ、途中、係員に止められそうにもなったが、知ったことではない。
葵がその場にいるかさえもわからないが、とにかく急いだのだ。
もしその場に居なければ戻ってくればいいのだから。
十分ほどかけて、爆発音がした場所へとたどり着く。
そこはパークの中央部だった、名物である巨大観覧車。それを円形に取り巻く通路と装飾品の数々。
その全てが今では、見るも無残な姿へと変貌していた。舗装されているはずの歩道はいくつもの箇所に穴ぼこが出来ており、粉々に砕けた赤レンガが辺りに飛散していた。
ガス灯を模したような街灯は曲がっているものもあった。
強固な金属できているはずの街灯さえも曲げてしまうほどの何かがあったのだ。
観覧車の一部は黒く焦げ跡が付き、下部の駆動部からは煙が上がっていた。更に悪いことは続く。
目をよく凝らしてみると、観覧車内にまだ人影があるのだ。
だが、気を失っているのだろうか動き出す気配はない。
「おい、どうなってるんだ!」
「私にも分からんが、魔導の様な気がする。もっとよく調べてみない事には……」
そういって、唯が観覧車に近づこうとした時であった。
シュッン!
空気を鋭く切り裂く音が聞こえたのだ。
なんだ!
直後、唯の足元に一条の光が穿たれた。
「なんだ! おい、なんだよ今……の」
頭をそれが降ってきた方へと上げると、そこには人影があった。
ちょうど、観覧車の主軸部分。少し出っ歯ているその部分に人が二人立っていたのだ。
「あ、あれは」
唯が重い口を開ける。
「ああ、私とおなじ魔法使いだ」




