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二十話 騒乱のテーマパーク二

「……わかった」


 彼女は静かにそう告げた。


「本当に分かってくれたのか?」


「うん、だって今のレイ君嘘ついてるように見えないもん」


 彼女が朗らかに笑う。


 ああ、神よ。


 こんなにもいい子がいたとは。


「じゃあ、今日はたっぷり楽しもう」


「ああ」


 よかった。


 本当によかった。


 だが、彼女は本当に納得してくれたのだろうか。


 少しくらいは心配や疑念を感じているはずだ。


 それでも今は話せない。


 その分、今日はしっかりと遊ぼう。


「で、あれはなんだ?」


 コーヒーカップを終えて、園内を適当に散策していた時のことだった。


 唯が指をさして聞いてきたのだ。


 そこは園内でも数ある人気アトラクションの一つであるウォータ―スライダーの見せ場。暗い洞窟から滝の様に滑り出してくる場所であった。


 ちょうど、暗闇から外に向かって丸太を模したボートが勢いよく飛び出してきたところだった。


「なぜ、みな手を両手を上げているのだ?」


「ああ、あれか」


 そういえば、考えたことは無かったが・


「まあ、スリルを味わいたいんじゃないか?」


「あんなことで、スリルが増すのか?」


「たぶんな」


 俺の言葉を聞いて唯は少しの間、顎に手を添えたのちに両手を上げる。もちろん、俺の手も同時に持ち上げられた。


 そこへ、不運にもボートが落ちてきたタイミングが重なる。


 ザッとボートの周りを囲むように配置された演出用の噴水がこちらに大量の水を吐き出したのだ。


「……」


 なんだ、この悪い予感は。


「だ、大丈夫?」


 葵が心配して話しかけてきた。


「ああ、俺はな」


「私も水がかかったのは腕だけだ。そのうち乾くだろう。ただ、包帯にかかったのは少し気持ち悪いがな」


「包帯? ああ、昨日一緒に風呂に入った時の……」


 そこまで言って、やっちまったと気が付いた。


「――お風呂? ねえ、お風呂って言ったよね」


「あ、ああ。それはだな」


「もういい!」


 唯は今にも泣きそうな顔でそう言い残し、ばっと振り返り走って行ってしまった。


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