十六話 彼女との解決法
「ご、ごめんね。なんか邪魔しちゃったみたいで……」
「おい、だから俺の話を聞け」
だが、彼女はそのまま夕日の落ちる方角へと走り去っていった。俺の止める暇もなく。
「さ、これで邪魔が入らなくなったぞ」
「おい、一体どうしてくれんだよ! 俺の順調だったリア充ライフぶっ壊したな! いいか、あいつはとっても純粋なんだよ。お前があんなこと言ったら信じちまうだろうが」
「だが、私たちが付き合っているということにした方が毎日手を綱でいる理由がわかりやすくていいだろ」
「いいか、俺が違うといってもあいつは何か事情があるんじゃないかなって思うんだろう。それに変な心配もさせる。そんなことをしてほしくないんだ」
唯はしばし俯き何かを考え始めた。
「そうか、だが、起きてしまったことは仕方がない。だとすれば私たちの関係をそのまま話すか? こうなってしまった以上」
「いや、それもまずいだろう」
「そうだな、しょうがない。今日はとりあえず帰ろう。夕食を食べた後だ考えるのは」
「……ああ、そうしよう」
そうして俺達二人は家に帰ることになった。
適当に飯を食べ始めたところで唯が提案しだす。
「なら、お前と一緒にどこかでかけるってのはどうだ?」
「……それ、お前も必然的に同伴することになるだろ」
「ああ、いわゆるダブルデートだ」
「それ意味全然違うからな! そんなことしたらあいつがどれほど苦しい思いをすると思ってるんだ」
「だったら真綿で首を絞められるような状態でこのまま居させるのか? それはいやだろ?」
確かに、このまま放っておいても……。
って。
「おい、お前何してんだ」
気が付くと唯が俺のポケットのあたりをごそごそと触っているのだ。
「どうせ私たちは同じ一人だ……っとあったぞ」
そういって俺のぽ家とから何かえを取り出すって。
「おい、落ち着け。そのスマホで何をしようっていうんだ?」
「安心しろ私が誘ってやる。それに考えてみれば彼氏が二人になっただけじゃないか。そして、浮気というわけでもない」
「いや、どう考えても無理だろ!?」
「っと、パスワードをかけてないとは不用心だな。きっと彼女のはこれだな」
そういって『葵』の名前が入ったアドレスを開く。
「答えなくても大丈夫だぞ。顔から読み取った。後はかけるだけだ」
「おい、だから話を聞けって」
そういっている間にも彼女は通話ボタンを押し込んで通話を始めてしまったのだ。
「ああ、私だ。そう、今日レイと手を繋いでた。それでなhなしがあるんだが」
どうにかして彼唯を止めなければ。だが、器用なことにこいつは話しながらも粘り強く抵抗をしている。あまり乱暴するのも気が引けるし……。
そうやっているうちに彼女との電話は終わったようで、通話を終了させると俺にスマホを投げてきたのだ。
「決まったぞ、次の休みにデートだ」
俺の胃に穴が開きそうになった瞬間であった。




