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唐突な

「これでしばらくはどうにかなりそうだな。私の魔法はやはり完璧だ」


 唯の偽造一万円札で買い物を終え、今はその帰り道であった。


「やばい……胃が痛い」


「どうした? 体調でも崩したか。自分の体調管理さえもできないのか。愚かだな」


「違う、自責の念で胃が痛いんだ」


 これではまるで犯罪者だ。


 いや、れっきとした犯罪者だな。


「そういえば、本来の目的はいいのか?」


 本来の目的。それは図書館での調べごととか言っていた件だ。


「ああ、もちろんするさ。だがな、このあたりの図書館では話にならないからな。できればもう少し大きな図書館がいい」


「確かにな」


 このあたりの市民図書館で調べられるようなものだったらわざわざ空間をも越えずとも調べることが出来そうだしな。


 そんな風に思っていると胸元で何かが震えた。


 スマートフォンだ。


 胸ポケットから取り出すと、そこには芹沢とできれば見たくない名が表示されていた。


 しばらく俺が電話を取らないことが気になったのか、唯がこちらを覗き込んでくる。


「出ないのか?」


「出ると面倒になりそうだから嫌だ」


 なにせ、まだ一日経っていないのだ。それなのに、検査はないだろ。


「全く、どうせ出なければならないんだろ。なら、さっさと出てしまえ」


 唯が見るに見かねたのか、ヒョイっと奪い取ったのだ。


「お前、ちょっと待て!」


 必死に止めようとするが、阻止に残された時間などないに等しかった、


「はい、もしもし」


 表示された通話マークをタッチして、唯はそのまま話し始めた。


 面倒なことでなければいいのだが。


 そう思って、通話が終わるのを待つ。


「了解した。今からそちらに行けばいいのだな」


 どうやら話は終わったらしい。


「――で、一体何の用だったんだ」


「詳しくは話してくれなかったが、とりあえず来てくれということだ。場所はすぐ近くらしい」


「電話で言えないはなしか」


 面倒事に違いない。


久しぶりの後書きとなります。

気が付けばそれなりの人数の方に読んでもらえていて、正直驚きました。

定期的に読んでいる方、今日たまたまこのページを開いていただいた方。

ありがとうございます。


ちょっとした呟き

サブタイトルを考えるがちょいきつくなってきたから、話数にしようかな

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