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唯の疑問

「で、これからどうする予定なんだ?」


 唯がそういってベッドに腰かけている。


「どうするもこうするも、しばらくは静かにしているのがいいと思うんだが」


 こんな状況だ。下手に動かない方がいいだろう。


 だが。


「私は困るのだ。私がこっちの世界に来たのはとあることを調べるためだ」


「とあること?」


 唯はその言葉にうなづいた。


「気になったことはないのか? なぜ、コピーしたかのように同じような惑星が別の空間にあって二つが行き来できるか」


 唯がそういって真剣なまなざしをこちらへ向けてきたのだ。


 言われてみればその通りかもしれない。現代技術はとうとう異世界への渡航までも完璧にしてしまったか程度としか思っていなかったが、言われてみればおかしいのかもしれない。宇宙への進出も月程度しか果たしていない人類が異世界へといくことが。


 さらに唯は言葉を続けた。


「全く同じ人間がいるんだぞ。おかしいとは思わないのか。二つの世界が同じような歴史をたどって来たのならまだ話も分かるが、私たちの世界に魔法があるのに対してお前達の世界にはそんなものはない。そんな環境で同じような世界が出来上がるか?」


 まさしく唯の言う通りであった。


 この世界は少しおかしいのだ。


「私はその世界に秘密を調べに来たんだ。私たちの世界の歴史に一定以上昔に遡ることが出来ない。それでわざわざこちらに来たのだ」


 そんな理由があったのか。


 だが、記録が遡れない?


 一体なぜだ?


「こっちみたいに地質調査はできないのか?」


 放射性同位体とやらを調べればある程度年代を調べられるはずだ。


「それもやってみたさ。だが、結果は対して面白くもないものだった。古い年代の地質そのものだ。だが、おかしいのだ。私たちの星には魔力が関与しているから地層にも魔力成分が含まれているはずなのだが、それが含まれていなかったのだ。魔力の層が含まれているのは十七世紀終わりから十八世紀初めの層から始まるんだ。それ以前の層には一切痕跡がない。おかしいとは思わないか?」


「まあ、確かにおかしいな」


 そういうと、唯は目に輝きを増させた。


 やばい、変なスイッチを入れちまったか。


 そう思ったのもつかの間。


「そうだろ。私もずっとあっちで文献を漁ったり父さんの資料を漁ったりしてたんだ。だが、あっちの文献は貸出禁止や閲覧不可能なものが多くてな。それでこっちの図書館で調べたりしようと思ってたんだ。ああ、それでな。あと疑問に思ってることは……」


 それから小一時間、唯によるトークは続くのであった。


「まあ、そんなわけであれだ。今から調べに行くぞ。食べ物もないしな」


「今から!?」


「ああ、善は急げというだろ。それに買い足したいものもあるしな。お前も早く着替えろ」


 おまえも?


 その言葉を疑問に思い唯の方を見てみると、すでに着替えを終えている、


「お前いつの間に……」


「お前が二度寝している間だ。早くしろ」


「おい待て‼ 自分でやれるから。服を引っ張るな」


「大丈夫だ。お前の裸を見たところでどうも思わん。逆をしたら三途の川にモーターボート付きで送ってやるがな」


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