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第18節36部ー捕らえられた神使ー

「それにしても……鬼灯さんが蛇姫様側だったなんて」

「別段不思議なことはないがの。蛇と鬼灯の間には強い結びつきがあるのじゃからな」

「結びつき?」

「うむ。鬼灯の家系に、巫女としての力を与えたのが奴ら、蛇の神じゃ。おおよそ、弱まった力を戻すために、蛇姫のご機嫌取りでもしておるのじゃろう。それよりも……」


 銀露は言った。鬼灯の巫女のことよりも、黒狼様が蛇姫様に加担する理由がわからないと。

 そもそも、黒狼様は誰かの下について何かをするような神様じゃないんだって。

 それが、どんな報酬を出されるなんてことになっても。


「蛇姫がどんな手を使ったかは知らんが、あやつが敵に回った以上……」 

「そうだね、気をつけて慎重にいかないと」

「真正面から血祭りじゃ」

「まじでか」


 いやいやいや、なんの自信だというこってすよ。

 銀露がこんな姿になってしまった今、僕は僕ができること以上のことをするつもりではあったけどね。


 正面から殴りこんで血祭りにあげられるのは僕だからね。


「心配せずともよい。子鞠と汰鞠が来ておるのじゃろ?」

「来てたよ?」

「それならば心配いらん」

「銀露がなんでそんな自信満々なのかわからないんだけど……」

「くふふ。九尾や蛇姫、黒狼までもが多く持つ神使じゃが、わしにはあの二人しかおらんのが不思議じゃと思ったことはないかの?」


 僕は首をかしげた。

 うん、言われてみれば確かにそうだよね。九尾様や蛇姫様が一声かければ何十と姿を現す神使が、銀露には汰鞠と子鞠しかいないような……。

 ていうか、他に見たことがない。


「あの二人だけで十分だからじゃ」


 そう、銀露が従える神使は量より質。そもそも、力の強い神様ほど、多くの神使を従える必要があるんだって。


 身の回りの世話とか、そんな単純なことじゃなく。

 強大な神様が、神様であり続けるために必要な基礎。それが子鞠や汰鞠のような神使。


 そう、銀露が絶大な信頼を置く、汰鞠と子鞠は今……。



……——。


 何か、弾力のあるものが跳ねる音を響かせる、薄暗く湿っぽい檻の中、子鞠と汰鞠は捕らえられていた。


「子鞠、今はおとなしくしておきなさい」

「ぶぅー……」


 先ほどから響いていた、何かが跳ねる音。

 それは檻の中で手枷足枷をされているにもかかわらず、鞠を上手に尻尾で操って、檻に何度も叩きつけていた子鞠の出す音だった。


 捕まったことに対する悔しさか、子鞠は随分とぶすくれているようだが……。

 一方の汰鞠は一切そんな様子を見せず、冷静そのものだった。


 捕まったのは、あまりにも多勢に無勢だったからか……それとも。


「やっとおとなしくなったか……」

「ヒヤヒヤさせんでほしいものだ、まったく」


 蛇姫の神使である牢番が、ため息をつきつつそんなことを言っていた。

 もちろんのことながら、汰鞠や子鞠にもそれは聞こえているが、彼らもそんなことは御構い無しで話し込んでいた。



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