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第18節18部ー女装完了ー

「うわあ……見覚えあるなあ……」


 着付け、髪結い、お化粧と、全て九十九さんの手によって仕立て上げられ、姿見の鏡の前でため息をついた。

 その鏡に映っているのは、もう自分から見ても紛れもない女の子であって、男の面影なんて一切ない。

 

 僕は、小学生の頃まで女の子として育てられてきた。その頃は髪も今みたいに伸ばして、女の子用の服も着せられて……だったんだ。

 そう、いま鏡に映っているのは、その頃の僕の成長した姿だ。


「仕上げと行きましょうか」


 と、九十九さんは僕の頭に正面から息を吹きかけてきた。その息に持ち上げられるようにして立ち上がった、立派な獣耳。


「うわ!! なんだこれすごい!!」

「その姿なら、ここを歩き回ってもなんの問題もねーですよ。それにしても、予想をしていたとはいえ、ここまで女の子になってしまうとは……。どうですか、芙蓉」

「好みです」


 ほとんど食い気味にそう言った芙蓉さんは、九十九さんの後方でピシリと直立している。彼女は、九尾狐の九十九さんの右腕的ポジションなんだって。

 どことなく、銀露の右腕的ポジションの汰鞠と雰囲気が似てるなあとは思ってたんだ。


 ずっと狐面で顔を隠してるし、必要以上に身を晒さず、主さまの言葉に忠実なところを見ると、なんだか忍者みたいだな。


 それにしてもすごいな、この耳。感覚はほとんどないから、触っても自分の髪の毛に触れているような状態だけど。

 自分の今の感情に合わせて自然に動くし。


「ありがとうございます……?」

「うわ、随分複雑そうな顔じゃねーですか!」

「僕女の子になりたくはないですし……。でもとても丁寧に着付けてくれてうれしかったです」

「芙蓉、見ましたか今の笑顔! 天使、天使ですよ!!」

「九尾様……仮にも日の本の神である貴方様が天使などという言葉を……」


 なんて、芙蓉さんは言うけれど、すぐさま九十九さんは八百万の神の国ですのでd大丈夫ですなんて開き直っていた。


「それはそうと、九十九会長」

「はぁい?」

「尻尾とお耳、もふもふさせてください」

「仕方ないですね。芙蓉、下がって良いですよ」


 芙蓉さんは黙って2、3歩下がったかと思うと、また忍者みたいに姿を消してしまった。

 すると、九十九さんは9本の尻尾を僕に向けてきて……。


「抱き込んでもいいですが、優しくお願いしますね」

「はーい」


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