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18節15部ー九十九稲荷生徒会長ー

「つっ、九十九生徒会長さんじゃないですか! どうしてここに……っていうか、九尾様が生徒会長って……!!」

「くふふふ、思ったより良い驚き顔が見れてうれしーですねぇ。こんにちは、柊千草君」


 とても優しい笑顔でそう言われて、僕は不覚にも胸を高鳴らせてしまった。銀露の美人なお姉さんという印象より、少しかわいい方向の美人さんという印象の九十九生徒会長。


 今は、学校で見せるその顔以外に、頭には立派な狐耳と九本の尾が生えているけど、その佇まいは学校と変わらないものだった。


「銀色の狼女が旅館にいるんです。金色の狐さんが学校にいてもおかしくねーでしょう?」

「そ、それもそうか……いや、ちょっと落ち着かせてもらってもいいですか?」

「はいはいどうぞ、ゆっくり深呼吸するといーです」


 僕はしばらく沸騰しそうな頭を落ち着かせるために、部屋の隅で深呼吸してから、もう一度九十九生徒会長の前に座った。

 正座で、これ以上ないくらい姿勢を正して。


「そんなにかしこまられても困っちまいますよ?」

「いやでも生徒会長さんですし、しかもその上九尾様ですし……」

「うーん。そこまで萎縮されると思ってなかったですね。いやまあ確かにお偉い様ではあるのですが、私」


 銀狼とあれだけ仲良くしているから、普通に接してくれると思ったんですけどねぇなんて言われても、いやいや、さすがにいきなり銀露みたいな仲にはなれないよ?


「九十九会長、僕を助けてくれたんですか?」

「えへへ、可愛い子猫ちゃんがここの阿婆擦れに食べられちゃう前に連れてきてもらったんです」


 そんなことを、屈託のない笑顔で言う九十九会長。この人、いろんな笑顔ができる人なんだな。

 ずっと仮面をかぶってたからわからなかった。学校では早々会うこともないし。


「薄々気づいているとは思いますが、ここは緋禅桃源郷。死角の世の遊郭街にして、稲荷霊山であなたが会った、蛇姫の根城です。私は、校内で咲いた緋禅の桜を通して蛇姫を探すべくこちらへ来ていたのですよ。生徒会業務を全部副会長に押し付けてきたので、後でたっぷり恨み言を言われそうですが」


 蛇姫様の根城……ということは、やっぱりこれは僕を陥れるための罠だったのか……。


「と、まさか針の見えている釣り針にかかった哀れな子羊が来ちゃったではないですか!」

「ご……ごめんなさい」

「いえいえ、何事にも恐れない好奇心を持つ子は、愚かではありますが同時に勇敢です。褒められもしないですが怒りもしねーですよ」


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