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第18節7部ー銀狼様の弱い部分ー

「真ん中あたりがいいのかなぁ?」

「……ん」

「それとも付け根ー?」

「……っん」

「先っぽとか?」

「ぁふっ、んん……っ」


 あ、さきっぽだ。先っぽが弱いと見ゆる。その次に付け根のあたりで、次は真ん中かぁ。ふへへ。


「んぁ……っ。これ遊ぶでない!!」

「痛い!!」


 強烈な尻尾アタックを顎に食らってしまった。別に遊んでるつもりはなかったんだけどなぁ。

 何はともあれ、僕はそんなゆったりとした時間の中で、鬼灯さんの事を相談したのだった。  


「……ふむ。鬼灯の巫女がぬしに対してなんらかの疑問を感じておると」

「そうなんだ。僕が来てから月並神社の神様が騒がしくなったって」

「ふん、白狐のことじゃの。何を今更騒いでおるのやら」


 白狐。白い狐。銀露が言うには、かつて銀露が叩きのめし、月並神社の巫女に封印させたっていう、九尾の妖狐らしい。


「傾国の大妖狐と大層な名で呼ばれておったが。なに、わしにとってはただの女狐じゃ。今更騒ごうがどうでも良いわ」


 尻尾を撫で終わって、銀露がベッドに座っていた僕の背中にしなだれかかってきた。

 僕の肩を顎でクリクリしながら、時折首筋の匂いを嗅いでるみたい。すんすんと鼻が鳴ってる。だらしないけど可愛らしい。


「銀露がその白狐様を封印したの? あの神社の本殿に、銀狼様の爪だっていうものが刺さってたんだけど」

「ああ、うむ。おそらくそれはわしの爪じゃな。じゃが、わしが刺したものではないの。数代前の鬼灯の巫女がわしの爪を杭にして打ち込み、結界にしたものじゃ。わしが封印してから、一度あやつが封を破ろうとした時があっての。その時打ち込んだようじゃ」


 白狐についてはあんまり話したくないのう、なんて力なく言うものだから僕もそれ以上何か聞こうとは思わなかったんだけど……。


「しかし、その爪が随分と痛んでおったと?」

「うん。すごいささくれ立って、今にも裂けちゃいそうだった」

「今の鬼灯の巫女ではあの女狐を抑えることはかなわんじゃろうな……」


 代を重ねるに連れて、巫女としての力が弱まっているという鬼灯の家系。昔はそれはそれは強大な力を持っていたとされていたみたいなんだけど。


「そもそも、わしの遺物に頼っている時点で目も当てられんわ」


 と、いうところらしい。

 それにしても、銀露のあの大きな爪……神様になる前の銀露はどれだけ立派な狼だったんだろうか……。


「近々、様子でも見に行ってみるかの。今の鬼灯の巫女にも挨拶しておかんといかんしな」



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