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第18節6部ー銀狼様に意地悪をー

「いーやーでーすぅー」

「んなっ」


 思いっきり拒否してあげた。だって、今まで僕が触りたいときにだめだだめだって言われてきて、しかもその理由も教えてもらってないし……都合いいよねェ……。

 いや、実際僕も撫でたいんだけど、こんなに弱ってる銀露見るの初めてだし意地悪したくなっちゃったんだよ、本当のとこは。


 で、肝心の銀露の反応はというと……。


「ぬし……意地悪しとるじゃろ」

「え、してないよ。してないしてない」

「嘘じゃ。わしの耳が嘘じゃと言っておる」


 と、むくれっ面の銀露が頭の耳をぴこぴこと動かした。なにそれ、嘘を見抜いてるぞってアピールしてるのかな。

 僕はそれに対しても、してないよと頑なに言うと……がばりと銀露に抱きかかえられて布団に引きずり込まれた。


 僕はたまらず悲鳴をあげて……いつの間にか掛け布団の代わりに僕が抱き枕状態に……。


「ぎっ……ぎぎぎ銀露っ。は、裸っ、裸なんだからちょっと……!」


 うわあ、お酒臭いけどなんかいい匂いする……! おっぱい柔らかい……僕の足を銀露のふとももではさまれてあったかい……。

 束ねてない長い銀色の髪が、無造作にベッドに広がって、艶っぽい……。


 キリッとした、切れ長の目。赤い瞳がじとりと僕をめつけてくる……。


「……ぬしは意地悪じゃ」

「……そ、そうかもしれないね」


 そう答えた僕に対して、銀露は首筋に鼻を近づけてきて、すうすうと匂いを嗅いできた。

 で、なんだかなにかを納得したかのように、ふむと一言言った後……。


「ぬしぃ……はよぅ」

「ぐぬ……っ」


 だめだあ……声がエロい! これが大人の女の本気……! 僕にはまだ早い……このねっとりとした甘い声はまだ早いよ……!


「じっ……じゃあ何をして欲しいのか、ちゃんと自分の口で言えたらしてあげるよ」

「ぬぅ……」


 イニシアチブを取られてなるものかと、変に意地になった結果出た言葉がこれだ。選択肢間違ったかもしれない。噛まれそう。


「お、尾を撫でて欲しい……のじゃが……」


 と、ものすごくいじらしく銀露が小声でそう言った。

 僕はとんでもなく色めき立った。お、おおお! 銀露がおねだりするなんて! 


「あはは、仕方ないなあ。いくらでもしてあげよう! じゃあ離して?」

「……」

「あ、あれ、銀露?」

「……不覚じゃ」

「うん? なにが?」

「……強気なぬしも、なかなかよいものじゃの……」


 なんて、頬を赤らめながら言うものだから僕も顔を真っ赤に上気させてしまった。二日酔いの銀露は可愛い。

 離してくれないまま、銀露はさらに続けた。


「忘れておったが……」

「ふへへ……ん?」

「……おかえり、千草。ぬしがおらんと退屈じゃったぞ」

「へへ、ただいま、銀露」


 そう言ってから、銀露は僕を離して……ベッドの上に正座した僕の膝の上に尻尾を乗せた。

 まだ毛並みを整えるようなものを買ってないから、手櫛で銀露の美しい尻尾を撫で始めて、しばらくすると二日酔いの神様はくすぐったそうに体を震わせたんだ。


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