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20節ー微睡みー



舌を火傷したらしい銀露にラムネ瓶を渡して、それを飲むことで落ち着いた銀露に充分ふーふーして冷ましたたこ焼きをあげた。


「まだ熱い?」


「んむ……ほぅどいいあんばいじゃ」


口いっぱいにたこ焼きを放り込んでるから滑舌がおかしくなってるけど気に入ってもらえてよかった。


「ほれ千草、あーん」


「んぁ……」


今度は銀露から僕にたこ焼きを口に運んでもらった。外はカリカリ中はとろとろの間違いなく美味しいたこ焼きだ。


「あっふ……!」


けど、やっぱり熱かった。たこ焼きって外を冷ましても中身が熱いままだったりするんだよね。


「む、そのまま口を開けておれ」


「ふあ」


と、銀露は僕の口を開けたままにさせて直接息を吹きかけて冷ましてきた。

びっくりして口を閉じかけたけどせっかくだしとそのまま……。


「あ……ありがと銀露」


「うむ……タレがついておるぞ?」


「ほんと? なにか拭くものないかな……」


僕の口の周りにソースがついてると言われたけど拭くものが無いんだよね。

……と、銀露が不意に唇を寄せてきてペロリと僕の口の周りを舐めてきた。

一度だけじゃなく、数回……何か味わうかのように。


「……綺麗になった」


「ん……」


やばい。銀露の目が熱っぽい……というかこう、ギラギラしてるというか。

獲物を前にした獣みたいな目になってる。


「えっと……銀露、まだお腹空いてたり……?」


「くふ、飢えておる。こんな美味そうなを目の前にしてお預けを食らい続けておったしの……」


「ちょっ……銀露……んっ」



……。



「おいきさんら。いつまでやっとるのかや、いい加減離れんか」


「ん……。全く野暮な奴じゃの。邪魔をするでないわ」


「じゅーっぶん待っておったのじゃ! 長すぎじゃ、いつまで貪っておるつもりかや! ほれ、目を回してしまっていんす!」


「む」


「この年頃の男に教えて良い接吻ではありんせん! まったく、こんな愛らしい子を歪ませる気かやきさんは」


あ、あれ? 夜刀の声が……大人の姿の夜刀の声が聞こえる。

さっきまで甘い匂いと暖かさと柔らかさとぬるぬるで頭がいっぱいになって完全にいっぱいいっぱいになって意識すらおぼろげだったけどようやくはっきりしてきた……。


「これだから盛りのついた雌犬は! お前様、大丈夫かや?」


「うん……えっと、大丈夫……っていうかすごい幸福感が……」


「ああっ、完全に雌犬の淫気に当てられとるのじゃ」


「わしが責任をもって面倒をじゃの……」


「いやきさんはちょっと頭冷やしてきんす! 本気で子を作るつもりかや! もうすぐ舞踊が始まるというから呼びにきたらこれじゃ。しばらくは待ってやったことをありがたく思いんす、まったく……」



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