20節ー夜店周りー
お酒くさいけどいつものとおりしゃんとしている銀露の着物を直してあげて……。
「ほら、もう暗くなって雰囲気も出てきたし夜店行こ?」
「うむ、良い匂いがしておるところじゃな。ちょうど腹に何か入れたいと思っておったところじゃ」
僕は銀露の手を引いて人通りが多くなってきた夜店通りを歩くことに。
暖かな灯りを放つ提灯の下、銀露とあれでもないこれでもないと色々夜店を吟味しながら歩く。
たこ焼きや焼きそば、唐揚げとか定番のところからイカの姿焼きとかたい焼きとかタピオカジュースとかあんまり見かけないところまで揃ってる。
銀露は人の多さに辟易しながらもその夜店の品揃えに感動してるみたい。
ずっと僕にあれは何かこれは何かと聞いてきてる。
「一通りは見て回ったかな。母さんからお金もらってきてもらってるけど……」
「金子か? 心配いらんぞ、わしがよう持っておる」
「銀露が? なんで……ってめちゃくちゃお金持ちだね!!」
銀露が胸元に手を突っ込んで、その懐から出してきた布袋の中に諭吉さんが10人程入っていらした。
一応旅館で母さんの手伝いをしているとはいえ、ほとんどお金はもらってないはずなのに……。
「客からもらったちっぷとやらは丸々わしの懐に入れても良いとのことでの」
チップ、主に接客業をしているスタッフがもらえたりするサービスに対して客が支払うお金の事。
基本的には海外の文化だし……あ、でもたまに外国の方が来たりするからその時にもらってるのかな。それにしてももらいすぎでしょ。
「使い道もないでの。どうせならぬしのために使いたい。ぬしがもらった金はとっておくと良いじゃろ」
ここで遠慮をするのは年長者の銀露に取って申し訳ないし、僕がもらったお金もそう多くはない……。
ここは素直に甘えちゃおう。
「えへへ、じゃあお言葉に甘えて……たこ焼き食べたい!」
「うむ、では貰いに行こうかの」
「色々食べたいから分け分けして食べよ?」
と、いうことで僕と銀露は一旦、遊びよりもお腹を満たしにかかることに。
買ってる途中で学校の知り合いに会って……なんかめちゃくちゃ美人なお姉さんと一緒にいると驚かれたりした。
一応当たり障りのない回答でお茶を濁していたりしていたけど……。
たまに銀露が濃厚なスキンシップを取ってくるから変な噂が立ちそうで……。
「知り合いの前で耳噛んじゃだめでしょーっ」
「随分と仲良さげにしておったじゃろ。ついの」
「ついの、じゃないよもう。絶対変な噂立つよ……」
クラスでもあんまり話したことのない女子だったんだけど、こういう場で会うとお祭りの雰囲気の力もあって普通に話せちゃったりするじゃん。
ちょっと話し込んじゃったら銀露がかまえーって感じで……。
「まあいいけど……ほら銀露、あーん」
「んあ……」
少し息を吹きかけて冷ましたたこ焼きを銀露の口に放り込んであげた。
「熱ぅ……!!」
「あれっ、まだ熱かった? ごめんごめん!」