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20節ー親戚(仮)のお姉さんたちー


 何がどうなって黒くなってるのかわからないけど、黒髪の銀露もいいなあ……。何がいいって、黒髪と赤い瞳の組み合わせがすごくいい。

 落ち着いた中にとんでもなく妖艶な瞳が見えることでこう……魅入られるものがあるね。


「で、夜刀はなんで大人の姿なの?」


「ふん、有象無象共に見られるのじゃ。多少なりとも威厳を示す必要がありんす!」


「そういう言い方はやめろと言っておるじゃろうがー……!」


 銀露がぶんと拳を振り上げると夜刀はびっくぅと体を跳ねさせ……。


「ううう、痛くしないでくりゃれ……っ」


 うるうるとした瞳で銀露を見てやめてぶたないでと懇願したようにしたけれど……。


「痛ったぁ!!」


「儂に泣き真似をしても無駄じゃ。もう一発殴って縮めてやろうか」


「やっ、やめい! 本当に縮みんす!」


 銀露ってば夜刀に対しては容赦ないなあ。まあ今の言動とか聞いてるとそれも致し方なしなんだろうけど……。


「ふぅ……盛りの時期の狼は気が立っておって厄介でありんす……」


「何か言ったか?」


 銀露はものっすごい目つきを鋭くして夜刀の失言に対しバキバキと音が立つくらい手を鳴らして尖った爪を見せつけた。

 すると夜刀はものすごい勢いで僕の後ろに回って隠れて……。


「わっ……わっちゃあまだ消えとうない」


「もー、夜刀が余計なこと言うからでしょ。大人の姿なんだからしっかりしないと意味ないよ?」


「わかっておりんす……!」


 そんなこんなで話していると葉月さんがやってきて……。


「うわ、すっげぇほんと美人。モデルかなんかやってる人?」


「ううん。えっと……んー、僕の親戚で……」


僕が葉月さんに二人のことをどう紹介したものかと考えていると……。


「銀露と言う。ぬしは伊代の友達か?」


「そうそう。うちは伊代と同級生の中塚葉月っての。お姉さん古風な話し方すんね。いいとこの人?」


「まあそんなとこじゃな。こっちのは夜刀という。まあ仲良うしてやっとくれ」


「……」


 夜刀はどこか緊張した様子で銀露に紹介されるがままになっていた。

 なんだかんだで人間慣れしてないからコミュニケーション取りづらいんだろうな。


「女だてらに力仕事をしておったようじゃが……」


「あー、うちこう見えて結構鍛えてるからさ。料理とか全然できんし、力仕事手伝ってるわけ」


「わしらにも何かできることはあるかの?」


「え? マジで?」


 なにをとんでもないこと言い出すんじゃこの狼は! とでも言いたげな表情で夜刀は銀露を睨みつけているど……。


「いいっていいって! そんな綺麗な着物着てるんだから……どうしてもって言うならおばさんたちの方手伝ってきた方が……」


「これを運べば良いのじゃろ?」


「……おお、なにこのお姉さん。マジすげーし」

 僕ら二人がかりで運ぶのがやっとだった資材を片手で軽々と持ち上げた上に涼しい顔してそんなこと言うものだから葉月さんは目を丸くしてしまった。

 銀露のことだからだんじりも一人で持ち上げちゃうんじゃないかな……これ。


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