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20節ー和菓子屋のお姉……?ー


「詩織さん?」


「ん〜〜?」


 少し屈んで僕の頬に思いっきり頬ずりしていた詩織さんに対して伊代姉が声をかけた。

 それもとてつもなく低く冷たい声で……。


「男同士でなにやってんのよ。千草が穢れるから触らないでって言っといたわよね」


「べぇつに男同士でもいいじゃなぁい。ねぇちぃちゃんー?」


「あはは……詩織さん相変わらずだぁ……」


 そう、本来器量好しの女性しか舞台に立つことができない豊穣舞踊の舞手の一人が加賀詩織という……男性なんだ。

 見た目も声も完全に女性で全く違和感がないから本当にわかりづらいんだけどね。


 僕より背の高い伊代姉よりさらに背が高くて肩下まである茶髪をゆるくカールさせた穏和な感じのお姉……お兄さん。

 出会った頃はちゃんと男だったんだけどね。

 うろ覚えだけどかなりの美少年だった。

 でもあれだ……あの、僕女の子の格好してその頃過ごしてたから……その……変な影響与えちゃったみたいで。

 今はこの通り。


「んーふふぅ。まぁだちぃちゃんに悪い虫がつかないように護ってるわけ? ブラコンっぷりは相変わらずみたいねぇ」


「いろいろ危なっかしいのよ、この子。ちゃんと見といてあげないとふらふら悪い女についていきそうで……。あんたは間違いなく悪いなめくじだから近寄らないで」


「なめくじってなによぅ。ほんと口悪いんだからぁ〜」


「その間延びしたしゃべり方がなめくじだって言ってんのよ」


こんな感じで二人は昔っから仲が悪いのやらいいのやら。


 僕を取り返そうとした伊代姉の手を、詩織さんはひらりと避け……。


「この長いまつげに大きな目ぇ、程よい肉付きの唇……。顔の輪郭も程よく丸くてほんと可愛い造形してるわよねぇ。もう少し男の子っぽくなってるのかと思ってたら全然〜。むしろ大きくなった分色気出たんじゃない〜?」


「うあう……」


「あーほんと羨ましいわぁ〜。化粧とかで作らないでもこれだものぉ。さすがは私の憧れ〜」


 僕の顔を両手で挟んでムニムニしながらそんなことを言うものだから、僕はもう泣きそうだった。

 そんなに可愛い可愛い言わずともよいではないですか!

 大きくなっても男の子っぽくないってのが一番ショックなんだけど……。


「うにゃん……弟くん、こっちおいでー」


「美哉さん……僕そんなに女の子に見える……?」


「見えるにゃん」


 悪気はないんだろうけどこの人、言うことド直球だから!

 真顔で思ってること言っちゃう人だからさらに凹む……。


「伊代姉もうやだ……おみこし担ぐ……」


「男っぽいことやっても無駄だと思うけれど……。あんただとスパッツの上からふんどし締められるかもね。勘違いされて人騒がせても面倒だから」


「うぅ……」


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