03 友との再会
遅くなりました。
いつになれば戦闘シーンへうつるのだろう・・・
楽しんでいただければ幸いです。
「弓が得意なんだ~。でも、一人旅してるとそうも言ってられないから、剣もある程度使えるし、体術も少しはできるよ。」
にこにこと答えるロディに、ケルディは呆れた顔をした。
「お前、なんでもありなんだな。」
「一人旅するならなんでもできなきゃだめだって、父さんと母さんが。」
「愛娘を冒険者にさせるには仕方ないんだろうなぁ。」
ケルディはしみじみと少年のようなロディを見た。男の子と言われたほうがしっくりくる。
「そこがギルドの銀行だ。」
二人は窓口で立ち止まる。
「すみません、お金を預けたいんですけど。」
窓口のお姉さんとロディは目を合わし、二人は叫んだ。
「ユーファちゃん!」
「ロディちゃん!」
二人は嬉しそうな顔をしてお互いに手を伸ばす。
「わあ、ユーファちゃん、ギルドに勤めてるんだね!」
「ロディちゃん、とうとう冒険者になっちゃったのね。」
ロディの嬉しそうな顔に対して、ユーファは少しがっかりしているようだ。
「なんか、ギルドのお姉さんって感じでかっこいいね!!」
「ロディちゃんはなんだか本当に冒険者になってしまって、もったいないわ。かわいいのに。でも、その姿も似合うわね。・・・うん、かっこいいわ。普通の男の子よりかっこいいわ!」
にこにこしながら話し続ける二人においていかれたケルディはどうしようかとしばらくその様子を眺めていた。
「いつからギルドに?」
ロディはユーファに楽しそうに尋ねる。
「半年前よ。」
「そっか、私より半年お姉さんだものね。」
「ええ。ロディはいつ王都に来たの?」
「今日着いたんだよ。」
「泊まるところは?」
「まだ何も。」
「今日は私の家に泊まりなさいよ。」
「いいね、楽しそう!いいの?」
「ロディが来るなら私は嬉しいわ。」
「やった!今日はいっぱい話そうね。」
にこにこと話し続ける二人にそろそろいいかとケルディが声をかける。
「ロディ。」
「あ、そうだった。ユーファちゃん、私、お金を預けたくて。」
「あ、そうね。すっかり仕事をほったらかしてたわ。口座は作ってるの?」
「ううん。何も作ってないよ。」
「わかったわ。じゃあ手続きをしなくちゃ。はい、この紙に書いて。」
「うん。」
「あ、ロディ、冒険者登録して済んでいるの?」
ふとユーファが書類を出しながらロディに尋ねると、ロディが
「・・・あっ、冒険者登録してなかった。」
「は?お前、換金カウンターで換金してたよな?」
怪訝そうな顔でケルディがロディに尋ねると、ロディもケルディを見上げて頷いた。
「うん。」
「換金カウンターは基本的に冒険者登録をしていたら高くなるんだぞ?危険手当として。」
「あっ!そうだったー。デイビッドさんとか懐かしい人に会って浮かれてた~。しまった、うっかりしてた!!」
「ロディちゃんったら。」
くすくすとユーファが笑う。
うっかりしていたとロディは気まずそうに頭をかく。
「あっちの新規カウンターに行って、冒険者登録をしてからもう一度こっちに来てね。」
ユーファに笑われながら、指差されたところへロディは向かった。
「ロディとは、知り合いなのか?」
ケルディに尋ねられ、ユーファは頷いた。
「ええ。生まれた頃から一緒に遊んだ友達です。親同士が仲がよかったんです。私の両親もギルド職員だから、ロディちゃんをうちで預かっていて、ギルドでよく一緒に遊んでいました。ロディが王都から離れてからはたまにしか会えなくなったんですけど。」
「そうなのか。あいつ、結構知り合いが多いんだな。」
「そうですね。ギルドで遊んでいたから大人達にはかわいがってもらっていました。ケルディさんが王都へ来たのは数年前ですから、ちょうど入れ違いになっていたのでしょう。」
「よく覚えていたな。俺ですら、いつ来たかなんて忘れていたぞ。」
「お得意様は覚えているものですよ、ケルディさん。」
目をぱちくりとさせて驚いているケルディに、ユーファはにっこりと微笑んだ。
設定3
冒険者であまり弓を扱うものはいない。
なぜなら飛び道具は無くなってしまうため。
魔法で遠距離攻撃をする方が楽であり、経済的。
ロディが使っているのは、もともと食材狩り(と称される魔物との修行)で使っていたから。幼少時のロディの場合、剣は力で負け、魔法だけより、矢に魔法を付随させると風魔法と物理の両方で威力が強まったから。今では剣でも、魔法だけでも倒せる。