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第九話

投稿が遅いのは不定期更新故と割と諦めるか、割り切るかをして下さいと今更ながらの忠告? 警告? をしてみたりします。



九話目になって本当、今更ながらですね。




遅くなってすみませんでしたぁあああああ!!!



ダイナミックスライディング土☆下☆座 <(_ _)>





それでは、茶番もほどほどに終わった所で、


いざ、本編↓








「それでどんな術を覚えてきたのかしら?」


校舎に囲まれているように存在する中庭。渚紗と沙耶の二人は、渚紗の覚えた術のお披露目の為にここに訪れたのであった。


『ああ、一番覚えやすいのはこれだったな【鬼火】』


渚紗がそう口にして人差し指を一本立てると、その先にやや紅が混じった青白い人玉のような炎が揺らめいた。


それは仄かな光を放ち、風で掻き消えそうになりながらも揺らめいている。


『幽霊っていったらやっぱり、人魂だろ? これは、想像しやすかったから覚えるのが早かった。でも、攻撃に使えるほどの威力はまだ出せない。まぁ……光源にはなるだろ』


「ふーん。微妙ね」


『ぐっ……いや、確かに俺もそう思うけど数時間だぞ? 難しいのは無理なんだって。……ま、気を取り直して次はこれだな』


両足で地面を力強く踏みしめる渚紗。目を閉じて霊力を全身に集めて巡らせる。


そして、気合の言葉と共に両手を左右に突き出した。


『――【霊撃】――』


ピキィンと甲高く何かを弾くような音を立て、霊力の奔流……塊が渚紗から全方位に放たれた。


「へぇ……」


それをみた沙耶は面白そうな表情をして小さく呟いた。


渚紗が今行った【霊撃】は、瞬間的に集めた霊力を外へ放出することで生まれる衝撃波によって、敵を迎撃する技である。


数時間の修業程度では完全に習得するには難易度が高い技であるが、もともと霊体である渚紗には相性の良い技だったのかもしれない。


「いきなり技の難易度が上がったわね……」


『そうか? これも割とやりやすいんだが、霊力を全身に集めて巡らせるのにまだ時間がかかるんだよな』


「アナタらしいわ……」


『? まぁ、いいや。……んで、次が最後の奴だ』


首を傾げつつも渚紗は最後の術技を披露する。


『【霊糸】』


一言つぶやき渚紗は人差し指を立たせると、そこから淡く光りを放つ糸が伸びてくねくねと動いた。


「これはまた……珍しい術を選んだわね」


『俺は戦闘なんかは全然できないからね。、いろいろと応用性の高そうなのを選んで、沙耶のサポートや怪異への妨害に徹したほうが良さそうだったからこれにした』


「ふーん、なかなか考えているじゃない」


『まあ、強度のほうはまだ全然なんだけどな。蓮花ちゃんが言うには、収束と圧縮、あとはそれをこなす処理速度が全然ダメだって』


「魔の手や人体模型の様な各上相手に渡り合うには、難しいわね。たぶん、そういうことでしょう」


修行の成果を見せ終えた渚紗は、今の自分に行えることを全て沙耶へ伝えた。ポルターガイストに、幽体化など幽霊が行えるものも一通り使える、と。


「戦力にはあまりならないけど、足手まといにもならないわね」


『……ああ、せめて邪魔にならない程度には頑張らないと。俺に出来る数少ない事だ。全力を尽くす』


「さてと。確認が終わったけど、時間的に何もできないわね……」


未だに日は沈んでおらず、傾いたまま世界を紅く照らしている。


そこで、不意に渚紗は自分たちがいる場所がどこなのかを思い出した。


『中庭……』


「? 見ればわかるでしょう?」


『沙耶! ここは【喰らい喰らい】の領域テリトリーだ!』


「!?」


渚紗の一言に身構える沙耶。二人の周りには異様な静けさと緊張感が漂っていた。


自然と背中合わせに当りを警戒する二人。


しかし、その警戒は無用であった。


今は夕方。逢魔が時と呼ばれる時間ではあるが、辺りの陰の気配は希薄。いつまでたっても怪異は現れる事はなかった。


そこでようやく二人は肩の力を抜き警戒を解いたのであった。


『……どうやら、まだ出てこないらしいな』


「そうね。……でも、少し気を抜き過ぎていたようね。気を引き締めていきましょう」


そういって沙耶は一人、歩き出した。それに慌ててついていく渚紗。


『ど、何処に行くんだ?』


「この時間でも回れる場所はある筈よ。そこに行くわ」


『わかった』


二人は北校舎へと足を踏み入れる。そこは文化棟でもあり技術棟でもある。


今の時間帯に使われていない教室と言えば、教材室、理科室ぐらいだろうか。と、沙耶は当たりを付けて進む。


「アナタはこの時間帯に使われていない場所を知ってるかしら?」


『あぁ~……確か、教材室、理科室……それと視聴覚室に屋上くらいか? あ、でも教材室は資料を取りに先生が来るかもしれないし、視聴覚室や屋上は演劇部が使うこともあるから絶対にとは言えない』


「流石にこの高校に在籍していたことだけはあるわね。ソレだけ聞ければ十分よ」


『でもあまり過信はしない方がいいぞ? 俺がいた時から五年は経っているからなぁ……新しい部活とかあるかもしれないし』


「わかってるわ。じゃあ、まずは理科室から」


『理科室って、人体模型があるんじゃ……』


警戒を露わにする渚紗に、沙耶は自身の推論を明かした。


「でも、さっきの中庭で【喰らい喰らい】は出てこなかった」


「つまり、この逢魔が時が終わるまで怪異は出て来れないんじゃないかしら?」


『それはオカシイだろ? じゃあ、なんであの時、……【招かれざる魔の手】は俺の前に現れたんだ?』


渚紗のもっともらしい疑問に沙耶は盲点だったと目を白黒させて驚いた。


「確かに、ね。じゃあ、やっぱり出現条件があるんでしょうね。場所、時間、状況、etc……それらが噛み合わないと怪異は現れない」


『その必要な条件が分かっていない今、敵の根城に飛び込むのは危険じゃないか?』


「危険でしょうね。でもそれは何処でも同じでしょ? もともと妖しい所、怪異を探すために探索するんだもの。危険なのは承知の上よ。それに恐らくあの人体模型はまだ・・私たちと戦うつもりは無い筈よ」


そういって沙耶は渚紗に人体模型の言葉を思い出すように促した。


『【――この勝負預ける】……か』


「ええ、そうよ。つまりあの人体模型は、しかるべき場所でしかるべき時に私たちと再び戦うために引いたのよ。だから、今はまだその時じゃないわ」


『……つまり、人体模型は俺たちの事を見て見ぬ振りするって事か?』


「恐らくね」


まだ半信半疑で疑う渚紗だが、しぶしぶ沙耶の言葉を呑みこみ納得する。


「理科室に行ったら順に、視聴覚室、教材室、屋上とまわりましょう」


『なんか、上がったり下がったりだな』


「仕方がないじゃない。他の三つは確約が無い以上、時間が経ってからの方がいいんだから」


『そだな。じゃあ! いくか』


沙耶は二階への階段に足をかけ、上っていった。その後ろを浮遊しながら渚紗が追う。


理科室と視聴覚室があるのは二階。教材室は一階にある。


とりあえず二人は、教材室を後回しにして二階にある理科室へと足を運んだ。


当然、幽霊である渚紗が先に入って中から鍵を開けて沙耶を招き入れる。


中は至って普通の理科室。中央にいくつか広めの台が置かれており、台の間に納まるように小さな水道が付けられている。窓際には大きめの流し台。壁際には実験器具を置くための棚が並べられていた。


何処にでもありふれた光景。特に違和感や、妖気などの嫌な気配を感じなかった。


その部屋には件の人体模型は置かれていなかった。


「……もう、動きだしているとでも言うの?」


『いや、多分隣にある理科準備室に仕舞ってあるんじゃないか?』


「そうね。一応、確認しておきましょうか」


『応。俺に任せろ』


そういうと渚紗は幽体化して理科室と理科準備室を隔てる壁をすり抜けた。沙耶を残して一人、準備室へと足を踏み入れた。


『失礼するぜ、と』


見渡す限り、実験道具と薬品でゴチャゴチャと片付いていない部屋。その片隅に人体模型は眠っていた。


(あれか……動く気配もないし、他に妖しい所もない。さっさと沙耶の所に戻るか)


確認だけ済ませると怱々に部屋を後にした渚紗。戻るのを待っていた沙耶に伝えて幽体化を解く。


「そう。特に収穫もないわね。あえて言うのなら、人体模型がある場所を改めて把握したぐらいかしら」


『次はこのもっと奥にある教材室だな。……俺が先に入って鍵を開ける』


「わかったわ」


廊下へ出た二人はまっすぐ進んでいき、教材室のプレートが掲げられている部屋の前で足を止めた。


幽体化して素早く中へ入ると、人差し指と親指の先だけ幽体化を解き、鍵を開ける。


沙耶は辺りに教師がいないことを確認しながら慎重に侵入した。


怪しまれるかもしれないが安全の確保と念のため、部屋の鍵は閉めない。咄嗟の判断で沙耶がいつでも逃げられるようにする配慮だ。


中はたくさんのプリントや書類、文房具などが散乱していた。部屋自体はそれなりに広いが、資料を収める棚や散乱している書類、山積みにしてある段ボールなどで狭く感じた。


沙耶はその光景を見て少し不自然さを感じたが、特筆してあげるようなものでもない為黙っていた。


『散らかってるなぁ~……先生たちも忙しいんだろうな。まぁ、片付けなんて面倒だし、好き好んでするような奴はいないか』


「あら、そうかしら? 私は結構掃除って好きよ」


『……幽霊掃除か?』


「違うわよ!! 普通の掃除よ! 箒で境内を掃いたり、神社の板目の廊下をぞうきん掛けしたりとかね」


『へぇー……変わった奴だな』


「幽霊のアナタには言われたくないわ。……まぁ、生活の一部だからかしらね? 蓮華神社を管理する身として、掃除なんて基本中の基本だしね」


『立派な奴だな沙耶は』


「当然よ」


自信満々に胸を張る沙耶。しかし、無い胸を張っても虚s――


『まそっぷ!?』


突然お札を叩きつけられ奇声を上げながら仰け反る渚紗。


「……邪な気配を感じたわ」


『酷ぇ!?』


沙耶の横暴に半泣きの渚紗。


「まあいいわ。ここも特に何もないし、次に行ってみましょうか」


『……おお、痛い痛い』


「……」


スッと懐からお札をちらつかせると、渚紗はすぐに姿勢を正して入口へと向かって歩を進めた。沙耶は舌打ちをしながら渚紗の後に続く。


沙耶が扉に手をかけ部屋を出ようとしたその時。


――それは、起こった。


【クスクス】


小さな、本当に小さな哂い声。しかし、沙耶と渚紗はその声に反応して歩を止める。


「ねぇ、今――」『なぁ、今の――』


――瞬間。悍ましい感覚が二人を包み込んだ。


ゾッとするほど冷たく、鋭い、殺気。その殺気により空気は完全に凍り付いた。


そして狂気を含む嗤い声が後ろから響く。


【ケタケタケタケタケタケタ】


二人は幻視する。


刃物で幾重にも切り刻まれる。大きな鋭い棘のようなもので何度も刺し貫かれる。紅く染まり血の海に沈む体。


一瞬にしてそのような幻覚を見てしまい、精神がすり減る。大切な何かがすり減る。


そんな喪失感。捉えようのない感覚。


今まであってきた怪異たちと同じような純粋な狂気と、明確に伝わってくる「コロス」という意思。


背筋に冷たい汗が流れた。


重圧は二人に声を発することを禁じた。指一本動かすことすらも。


(あ、……ぅ、動けないと、――死ぬ)


沙耶は気力を振り絞って体を無理やり動かそうとする。しかし、体はいう事を聞いてはくれない。


渚紗も似たように固まっており、無意識下で涙を浮かべて振るえていた。


体という保護がない渚紗には、この感覚、状況は一層厳しいものであった。


(ぐっ……ぁ……ぅぅ……)


そして、不意に二人は解放された。汗を浮かべ息を切らして膝を着く。


その部屋には先ほどまでの重圧などは一切なく何の変哲もない教材室に戻っていた。


暫くの間、二人は動けずにその場で蹲った。


(……体育館の時ほどじゃないけど、少なくとも、あの魔の手や人体模型よりも――)


「――強い」


『ぇ?』


「……なんでも、ないわ」


(やっぱり最初に入った時の違和感は、今の奴の気配かしら? でも、何かが違う。引っかかる)


『……クソ!』


考え込んでいた沙耶は渚紗の地面を叩く音で現実に引き戻された。


『なにも、できなかった』


「……」


『動く事も出来ず、ただただ……怖くて、震えてるだけだった』


渚紗は悔しそうに地面を叩く。その表情は悲しげで怒りを秘めていた。


『俺は、優奈を……守りたい。守りたいのに……』


「悲観する必要はないわ」


『でも!』


「長年携わってきた専門の私ですら、今の怪異を前に恐怖で動く事すらできなかったのよ? 油断からの不意打ちとは言え、ね。体という緩衝剤がないアナタは仕方がないわ。怪異の存在に染められやすいのだから……染められずに耐えれただけでも立派」


『でもな! それでも、それじゃあ……意味がないんだ。優奈を守れない!』


「……そう、ね。……」


『……』


二人の間に重い沈黙が降りる。


しかし、沙耶がその沈黙をすぐに破り呟き始めた。


「今の奴は人体模型や魔の手よりも確実に強い。体育館の時に感じたアレは今の奴よりもさらに強い。でも、私は……私達はそれよりも格下である筈の人体模型にすら及ばない」


『……』


「だから、私達は――」


――強くなる。いや、強くならなければならない!


『沙耶……』


「諦めたらそこですべて終わり。打つ手はきっとある筈よ。どんなに強い怪異だって……いいや、強い怪異だからこそ対処法としての弱点が存在する筈」


『……ああ。そう、だな』


「ほら、シャキっとしなさい! アナタは優奈の兄で優奈を守るんでしょ!!」


『スマン。……ちょっと、弱気になってた』


「フンッ、しっかりしてよねもう!」


沙耶は悪態をつきながらも立ち上がり、渚紗へと手を差し伸べる。それを掴み立ち上がった。


「……たとえ強くなくても、強く在る事は出来るわ」


『ありがとうな、沙耶』


「喋ってないで行くわよ」


そういいながらも、気配を感じた背後を気にしながら部屋を出ようとして、沙耶は気付いた。


「……? あれ」


『あ?』


沙耶につられて渚紗も振り返る。


そこには確かに最初に来た時よりも強く違和感を感じさせる光景であった。


あんなところに・・・・・・・文房具なんて・・・・・・あったかしら・・・・・・?」


さっきまでなかったはずの位置に文房具が移動していた。


入ってきた時との部屋の違いに強く違和感を感じる。


『文房具……?』


この教材室には教材用の文房具。所謂、黒板でも使えるような大型のコンパスや、分度器などがおいてある。他にもチョークや鉛筆、消しゴムなどといった細かい文房具も大量に置かれていた。


そう、大量・・に。少し異常と言ってもおかしくないほどの量がだ。


そこでようやく渚紗がその答えに少し近づく。


(いくら教材室だからって、この文房具の量は少し異常だ。そして、さっきとは違う位置に移動している)


『……怪異、なのか?』


「わからないわ。でも少なくともこの教材室に怪異がいるのは分かったわ。そして、それに文房具も関係しているかもしれないこともね」


『じゃあ、体育館の時のアレは体育館の怪異なのか?』


「あれほど強大な怪異だから、この学校自体に取りついているのか、それとも体育館なのか。……判断がつかない」


『手がかりは掴めたって事か。収穫はあったな』


「他の怪異たちはとりあえず後回しよ。……今は、無性に暴れたい気分」


そういって教材室から出る。渚紗が扉を閉め、鍵をかけて外へと出た。


「怪異を倒すわ。【招かれざる魔の手】をね」


『……ああ』


(強く在る事は出来る……か。俺は優奈を守る。どんなに弱くても、たとえ嫌われていようと、これだけは絶対だ!)


二人が向かうは南校舎四階トイレ。【招かれざる魔の手】が潜む場所。


日はすっかり沈み、校舎の中は夜の闇に侵食され始めていた。









相変わらず話が進んでいるのか戻っているのかよく分かりません。


自分で書いておきながらアレですけどね。





今回押さえるべきポイントはこちら!



新技を覚えた進化する幽霊。

(しかし、あまり役に立たない)


ぐだぐだしつつも謎の新しい怪異遭遇。

(しかし、正体は全く不明)


次回は本当に戦闘パート VS【招かれざる魔の手】

(しかし、予定は未定)





以上の三つです!







それとこの小説には全く関係のない話ですが、もう一つの私が書いている二次創作小説モンハンの方はもう少し後で更新です。

まだ2割書き終えたかどうかの世界ですので、もうしばらくご猶予を。






私には表現力も足りないですが、語彙も足りないのではと最近気付いたというか……改めて考えるようになったというか。

つまり、何が言いたいのかというと……。


――力が、欲しい――



カット






ここらでお別れの時間です。

また来週なのか再来週なのか一か月後なのか、それとも明日なのかは私にも全くさっぱりこれっぽちも想像すらできませんが。


気長にお待ちください(苦笑)





それでは、また次話にてお会いしましょう。





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