chapter6 破壊する風
オレが魔法を撃ちまくるも、勢いは少しずつ削がれてきた。だが、数が減る様子はなかった。
「ウィンドカッター!!」
ボスであろうホブゴブリンを狙うも、ゴブリンたちが盾となり…その手前で攻撃は弾かれる。
盾になったゴブリンは血飛沫を上げて倒れるが、ホブゴブリンは邪悪に笑っているように見えた。
オレの魔力は600程度あったから、まだ余裕はあるはずだ。確認できないのがもどかしい。
そのとき、1匹のゴブリンが攻撃をすり抜け襲いかかってきた。
「しまっ…!!」
やられる!? せっかく異世界に来たというのに、ゴブリンみたいな雑魚に…殺されてたまるか!!
オレは咄嗟に風魔法を思いつき発動させた。
「風破!!」
オレとゴブリンの間に風の防壁が立ち、襲いかかるゴブリンは切り刻まれ…血飛沫を上げて倒れていく。
――この魔法は日本にいたころ、ヒロと一緒に考えたものだ。
■ ■ ■
昼休み、オレが小説を読んでいるとヒロが声をかけてきた。
「ケイ、何読んでんだ?」
「ん?『神々に救われた人間』だよ」
「最近人気のやつだ! アニメ化もしてたよな」
どうやら、ヒロも知っていたらしい。
「そうそう。主人公は知人を守ろうとして通り魔に刺されて死ぬんだけど、異世界の神が転生させる話な」
「読み終わったら貸してくれよ。買うのは後回しにしてて」
「わかる。最近、新型ゲーム機とか出たし、出費がえぐい」
「ケイは魔法使えるようになったら、何属性を使いたい?」
「風かな。見えない攻撃で敵を切り裂くのがカッコイイ。竜巻とか破壊の象徴っぽいし」
「風魔法かぁ。いいいね。
攻撃と防壁を切り替えられたら面白そう。ウィンドブレーカーとか」
「なにそれ!?破壊する風とか面白そうじゃん!!
ヒロはどんなの使いたいんだ?」
「オレは無魔法、光魔法、空間魔法かな。無魔法は基礎、光は夜に便利、空間はアイテムボックスとかで」
「なるほど、荷物持たなくて済むし、便利だね」
■ ■ ■
戦闘中だというのに、過去のこと思い出すとか走馬灯かよ。
オレがそんなことを思いながら、魔法を撃ちまくると、ゴブリンの死体が増え、負傷者も増えたようだ。ホブゴブリンはゴブリンを盾にしてダメージを回避している。
あいつを倒さないと、この戦いは終わらない。
オレは“風破”を攻撃型に切り替えることにした。
「ウィンドブレーカー!!」
透明の刃がホブゴブリンに襲いかかる。
ホブゴブリンは近くのゴブリンに隠れようとしたが、刃はゴブリンを真っ二つにし、ホブゴブリンの右腕を斬り飛ばした。
読んでくれた方ありがとうございます
誤字、脱字などの不自然な文章があれば、指摘お願いします
他の作品も読んでくれたら、嬉しいです
面白いと感じたら、評価やブックマークお願いします




