chapter5 孤立無援
「マジかよ…!!」
目の前に広がるゴブリンの群れに、思わず息を呑む。
中央にそびえる化物――ヒロが言っていたゴブリンが進化した“ホブゴブリン”というやつか。
「はは、笑えねぇ…」
異世界に召喚され、追放され、これ以上災難はないと思っていたのに。
ここまでとは…どんだけ運が、悪いんだろうなぁ?
「…災難は畳み掛けてくるのが世の常か」
と呟いた
「やって…やろうじゃねぇか!!」
逃げられるわけがない。夜道は暗く、知らない世界。
立ち向かうしかない――覚悟を決めて、オレは魔法を発動させた。
「ウィンドカッター!! ウィンドカッター!!」
鋭い風の刃がゴブリンたちを牽制する。
「ギギギギギギギギギアアアアアアア!!」
ホブゴブリンの咆哮と共に、群れが突撃してくる。
風魔法は当たったゴブリンの四肢を削ぎ、吹き飛ばす。だが、死に物狂いで突っ込んでくる連中もいる。
「クソ!! ラチがあかないな!!」
オレは掌を突き出し、新たな魔法を放つ。
「そうだ!! 風球!!」
テニスボール大の風の球を、ゴブリンたちに撃ち込む。
小さいながらも、力を一点に集中させて削り飛ばす魔法だ。
皮膚や肉を引き裂き、確実にダメージを与える。
ウィンドカッターより威力は低いが、狙った対象にピンポイントで効く。
ヒロと魔法の話をしたことを思い出す。
“魔法ってさ、工夫次第で威力も使い勝手も変わるらしい。面白いよね。”――そう言われた通り、やってみてよかった。
オレは次々とウィンドボールを放ち、ゴブリンたちの動きを削いでいく。
しかし、ホブゴブリンの眼光が鋭く、群れの動きを指揮しているのが分かる。
勝負は、まだ始まったばかりだ。
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