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無気力系召喚者、覚醒する  作者: 火川蓮
第四章

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chapter30 宿屋での出来事

ウィルさんたちのおかげで、無事に宿に泊まることができた。


少し高いと感じたが――まだ持ち金はある。

銀貨は防具とかに使うだろうし、銅貨があるうちは積極的に使っておきたい。

……かさばるからね。


マツタケの間は、“高い”と言われるだけあって豪華だった。

けど……落ち着かないなぁ。


小市民のオレにとって、この部屋はちょっとキツいかもしれない。


「早まったなぁ」


ソファーに座りながら、思わず呟いた。


「まだそんなに遅い時間じゃないし、部屋の外に出るか。風呂も入りたいし」


そう言ってオレは借りた部屋を出る。

廊下を歩き、階段を下りて、ロビーへ向かうと、女将さんに声をかけられた。


「ケイタ、ちょうどいいところに来たね。夕食ができたんだが、食べるかい?」


「いただきます」


オレはそう返した。お風呂はあとでにしよう。


「席について待ってな」


女将さんはそう言うと、奥へ消えた。

椅子に座って待っていると、女将さんがお盆にシチューとパンを乗せてやってきた。


「お待たせ。ホーンラビットのシチューだよ」


そう言って、テーブルに料理を置く。

来た……異世界定番モンスター。

角の生えた兎。序盤の雑魚枠。

……それが、今のオレの夕飯らしい。


「美味しそう」


オレはそう言い、スプーンで掬って口に運ぶ。

触れただけで柔らかく崩れる赤身。

白濁したスープに、森の香りが溶け込んでいるように感じた。

鶏肉に近い味。

初めて食べるウサギ肉、悪くない。


「うま……」


オレはそう呟き、夢中で食べ続けた。


■ ■ ■


この世界に来て2日目、ようやくご飯にありつけた気がする。


「ごちそうさまでした」


最後にパンでシチューをすくい、きれいに平らげた。


依頼のときは見かけなかったけど、ホーンラビットを見かけたら狩ってもいいかもな。

そんなことを考えていると、


「はい、お粗末さま。良い食べっぷりだったよ」


女将さんがそう言ってきた。


「はは、この世界に来て初めての食事だったもので」


オレは素直に返す。


「なんだって!?」


女将さんが叫ぶと、他のお客さんたちも振り向いた。


「ということは、あんさん召喚者だったのか」


女将さんはそう続けた。

オレは頷いて肯定する。


「なんで、召喚者様がこんなところにいるんだい?」


女将さんが尋ね、周りの人も聞き耳を立てているようだった。


「使えないって言われて追放されたんです。

おかげで死にかけました」


オレは愛想笑いを浮かべると、女将さんだけでなく、周囲からも怒りを感じた。

女将さんはタメ息を吐く。


「そうか、無事切り抜けられてよかったよ。

ディルティーナ王国は、“相変わらず”のようだね」


呆れたように言うその言葉に、オレは思わず問い返した。


「どういう意味ですか?」


ディルティーナ王国の過去の話は聞いていた。

使えない召喚者を追放し、神聖国家に攻め込もうとし、報復を受け、小国に下がった。

だが、どうやらそれは千年前の出来事だけではないらしい。


「ディルティーナ王国――いや、ティルカナ帝国は、五千年前から異世界召喚の儀式を行っていたのさ。

“異世界召喚”は莫大な魔力を消費するらしく、星を壊す魔法だと言われていたそうだ」


女将さんの言葉に、オレは息を呑む。


「詳しいんですね?」


「わたしの先祖が召喚者に助けられたらしくてね。

この宿屋を建てるのを手伝ってくれたそうなんだ。

男女二人組で、複数のアンデッドと子竜を連れていたと伝わってるよ。

この旅館の名前も一緒に考えてくれたんだと」


なるほど……だから、こんなふざけた名前なのか。


オレはそう考えつつ、お風呂の場所を教えてもらい、その場を後にした。

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