Chapter28 とある宿屋
オレは宿屋の看板を見上げて、言葉を失った。
(キノコタケノコ銭奏……?)
なんて――読むんだ?
首を傾げていると、ウィルさんが何でもないことのように言う。
「ここが、オレたちがお世話になってる宿屋。
キノコタケノコ銭奏だよ」
……奇抜すぎないか?
そういえば、この世界には過去に召喚者がたくさんいたと聞いた。
もしかして、その誰かの悪ノリだろうか。
どういう経緯でこの名前になったんだ。
キノコ派とタケノコ派、両方から怒られろ。
そんな思考の海に溺れている間にも、話は進んでいた。
「メグミさん、今晩もよろしくね」
「お客さん、連れてきたわよ」
二人はそう言って、さっさと中に入っていく。
「ちょ、ちょっと待って――」
オレも慌てて、その後を追った。
中は日本にいたとき、テレビで見た旅館みたいな内装をしていた。
すこし古めかしいというか、歴史を感じる雰囲気だ。
ロビーは、キノコ派閥とタケノコ派閥で左右に分かれていた。
その境界の中央には、タケノコ型の槍が突き立てられ、
まるで対抗するように、その隣には大きなキノコの傘を模したモニュメントが置かれている。
境界線も分かりやすく、タケノコ側は青竹を割って敷き詰めたような、硬質で涼やかな緑の床が奥へと続いている。
対するキノコ側は、湿り気を帯びた深い茶色の木材と、滑らかな曲線を描くキノコ型の装飾に彩られていた。
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