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chapter1 ゴブリンとの遭遇

オレがステータスを確認していると――前方から妙な足音が近づいてきた。

鼻を突くような強烈な異臭が漂ってくる。


思わず顔を向けると、そこには緑色の肌に赤い目を光らせ、涎を垂らした化け物がこん棒を振りかざしていた。


「ゴブリン!?」


そう叫んだ瞬間――。

ゴッと音を立てて、こん棒が振り下ろされる。

反射的に、オレは手に持っていた新型ゲーム機でガードしていた。


〖バギッ〗


耳に響く嫌な音。

ゴブリンは驚いたように飛び退き、「ギギギ…」と濁った声をあげる。


「てめぇ……!」


不要の長物になったとはいえ、必死に貯めた金でやっと買った新作ゲーム機だ。

壊すなら、自分の手で終わらせたかった。


そんな気持ちがこみ上げて怒鳴ると、ゴブリンは気迫に押されたのか一歩後ずさる。


…どうする…どうすれば、倒せる?

魔法はまだ使えない。武器もない。

魔法の使い方もわからない。

頼れるのは壊れたゲーム機と、その袋だけ。


ゴブリンのこん棒を奪うにはリスクが高すぎる――。

オレは必死に打開策を探していた。

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