chapter22 無自覚の功績
残っていたゴブリンたちとホブゴブリンたちの始末を終えたオレは、死体をアイテムボックスにしまおうとして、ふとあることに気が付いた。
――あれ? なんか忘れてるような?
そう考えた瞬間、背後から複数人分の足音が聞こえてきた。
「兄ちゃん!! 大丈夫…か?」
声のした方を振り向くと――そこにはジェニアスさんと、数人の衛兵、さらに数十人を超える男女の姿があった。
なぜか、全員が顔を引きつらせている。
視線は、倒れたゴブリンたちとオレの間を忙しなく行き来していた。
「……ちょっといいかな?」
しばらくの沈黙のあと、一人の男性が恐る恐る声を上げた。
衛兵の装備ではない。冒険者だろう。
「はい、なんでしょう?」
「このゴブリンの群れは……君が一人で討伐したのかい?」
「そうですよ」
素直に答えたつもりだったのだが――周囲は一斉に、言葉を失ったような表情を浮かべていた。
「なんでそんな無茶をしたの!?」
女性の一人が、思わずといった様子で声を荒げる。
あれ? この流れ、前にもあったような……デジャヴ?
まあいいか。正直に答えておこう。
「隙を見て、逃げるつもりでしたよ。
でも――倒せそうだったので」
そう返すと、今度は呆れたようなため息が聞こえた。
「はぁ……。流石ね。
Aランクパーティに勧誘されるだけのことはあるわ」
鎧を着た女性が、ゴブリンの死体を見回しながら続ける。
「この数だと、討伐ランクは低く見積もってもBランク。
ゴブリンサージェントにホブゴブリンが複数……状況次第ではAランク依頼になってもおかしくないわ」
……あれ?
なんだか呆れられているような?
「ゴブリンサージェントって、そんなに強いんですか?」
素直な疑問を口にすると、彼女は首を振った。
「単体なら、そこまででもないわ。Dランクの魔物だもの。
でも――数十匹のゴブリンを率いる指揮官よ。
それだけで危険度は跳ね上がるの。
しかもホブゴブリンまでいたら、なおさらね」
なるほど……。
思わず感心してしまう。勉強になるな。
「そのゴブリンサージェントって、どれなんです?」
そう尋ねると、なぜか周囲の全員がそろって頭を抱えた。
……え?
「あそこだよ。首を切られて倒れてるやつ」
先ほどの男性が指さす。
あー……。
叫び声がうるさかったから、最初に風魔法を叩き込んだやつか。
あいつ、指揮官だったんだ。
一人で納得していると、今度は衛兵の一人が口を開いた。
「これだけの群れだ。
もし未然に防げていなければ、この国に被害が出ていた可能性も高いな」
「だな。これだけの騒ぎだ。
ギルドにも正式に報告する必要があるだろう」
冒険者らしき別の男性が、そう締めくくるのだった。
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