chapter21 新魔法の実験
ゴブリンたちは、残り――ホブゴブリンが3匹、ゴブリンが20匹ほどだ。
ゴブリンたちに《ウィンドカッター》を放ちながら、オレは思った。
――あれ? 大したことないぞ?
切り札の《ウィンドブレーカー》は一度だけ使ったが、あとは《ウィンドカッター》だけで対応できている。
迫り来るゴブリンたちを回避しながら、《ウィンドカッター》を放ち、確実に仕留めていく。
……もっと、試したい魔法があるんだけどなぁ。
うーむ。
ホブゴブリンの機動力を奪うには十分だし、あいつらの片足にもダメージは入っている。
逃げられると厄介だ。――完全に潰しておくか。
ゴブリンたちは逃げる様子を見せない。
だが、死に物狂いでオレに向かって来ている。
この間のときも“そうだった”。
……ホブゴブリンが関係してたりするのかな?
「《ウィンドカッター》」
オレはゴブリンたちの攻撃を避けながら、ホブゴブリンの足を狙った。
避けようとはしたが――かわしきれない。
片足がぶっ飛び、地面を転がる。
「「「ギィイイイアアアッ!」」」
叫び声が響く。
それに反応したのか、ゴブリンたちの攻撃も一段と鋭さを増した。
ゴブリンは、残り10匹。
このまま倒すのは簡単だ。
だが、せっかく思いついた魔法があるのに、それを試さずに殲滅するなんてありえない。
動けない相手をいたぶる趣味もないし、機動力のない相手では実験にもならない。
そう判断し、オレは行動を開始する。
■ ■ ■
「《エリアルシールド》」
オレは、空中に足場を作った。
これが1つ目の新魔法だ。
無魔法には、《シールド》という魔法があるらしい。
その名の通り、“膜”や“壁”を意味し、魔力で防壁を形成する魔法だ。
足場にしたり、範囲を限定することで耐久力も上がる。
似た魔法に《ウォール》があるが、こちらは純粋な“壁”としての機能しかない。
足場にすることはできても、地面と接触していないと発動できず、汎用性は低い。
……防御力は高いけどな。
オレが思いつきで作った《エリアルシールド》。
これは《シールド》を参考に、風魔法で応用したものだ。
エリアル=空中
シールド=壁、または膜
つまり――“空中に存在する壁(膜)”というわけだ。
オレは《エリアルシールド》を足場にし、空を駆ける。
ゴブリンたちから数十メートル離れた地点で宙返りし、地面が頭側になる体勢を取った。
《ウィンドシールド》があれば、逆立ちも楽にできていいな。
そして、2つ目の新魔法を発動させる。
「《トルネードバレット》」
指先を銃のような形にすると、魔法が放たれた。
《トルネードバレット》。
ウィンドボール、ウィンドカッター、トルネードカッター――それらを参考にして作った魔法だ。
30センチほどの小さな竜巻が、ゴブリンの頭部に直撃する。
吹き飛ばされたゴブリンは、そのまま地面に叩きつけられた。
何発か撃ち込んだあと、再び《ウィンドシールド》を展開。
空を駆け、地面へと着地する。
「ゴブリンは、残り5匹っと」
――にしても、アクション映画さながらの動きじゃなかろうか?
そんなことを考えつつ、オレは残ったゴブリンの討伐を続けるのだった。
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