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無気力系召喚者、覚醒する  作者: 火川蓮
三章

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Quiet talk 救援要請

※番外編です

ジェニアスは、ケイタという青年と共に、魔物の討伐と増加の調査を頼まれていた。依頼を出したのは熟年の衛兵だ。ジェニアスが選ばれた理由は単純で、今日いるメンバーの中で最も若く、機動力があったからだろう。


この世界では十五歳で成人とみなされ、職に就くことになる。

冒険者ギルドは十歳から登録可能。

ジェニアスも十歳で冒険者になり、Gランクから地道に昇格して、今ではCランクにまで上がっていた。


七年前、十五歳のとき。

彼は安定した職を求めて衛兵となった。

冒険者稼業は危険が多く、収入にも波がある。

Cランクに上がった頃には親からの心配も強くなり、結果として衛兵の職に落ち着いた。


ただし、腕が鈍らぬよう、休みの日には冒険者として魔物討伐に出ている。

対人の揉め事もあることはあるが、衛兵として対処できる範囲だ。それより魔物との戦いの経験が役に立っていた。


そんな背景もあって、ジェニアスはケイタと共に街道へ出ると、ケイタに尋ねた。


「これからどうするんだ?」


闇雲に探しても無駄になる――それはケイタも理解しているようだった。


「探索魔法は使えませんが、風魔法で代用します」


予想外の返答に、ジェニアスは思わず目を丸くした。


「代用するだって!? どういうことだ?」


無魔法には《サーチ》がある。

しかし、風魔法にそんな応用があるとは聞いたことがない。

理解する前にケイタは魔法を発動した。


「《ウィンドウィスパー》!」


直後、彼は顔をしかめた。“うるさい”と言っているような表情だ。

しかしやがて、何かを捉えたように顔つきが変わる。


「行きましょう」


そのまま街道沿いの森林へと歩き出した。


■ ■ ■


慎重に森へ踏み入って数分。

穴の付近で騒いでいる五匹のゴブリンが見えた。


こちらにはまだ気付いていない。

絶好の先制の機会だ。


「《ウィンドバレット》!!」


五発の風弾がそれぞれゴブリンの頭を貫き、“ドサッ”と音を立てて倒れていく。


「手際がいいな」


ジェニアスが思わず漏らすと、ケイタは軽く肩を竦めた。


「無駄な戦闘は避けたいですからね。この調子で、どんどん狩りましょう」


そう言って倒したゴブリンを素早くアイテムボックスに収納し、再び《ウィンドウィスパー》を使い始めた。


■ ■ ■


再びケイタが何かを捉え、森の奥へ向かって歩き出す。

ジェニアスが後に続き、木陰に身を隠して周囲を伺うと――


そこには大きな群れがいた。


ゴブリン三十匹。

ホブゴブリン三体。

そして、ゴブリンサージェントが一体。


規模も構成も、完全に“群れ”だ。


ケイタは即座に状況を察したのだろう。

ジェニアスに小声で指示を出す。


「ジェニアスさん、衛兵の人たちに急いで伝えてください」


「わかった。そのあと冒険者ギルドにも寄って依頼してくる。あんちゃんはどうする?」


「見張っておきます。あの群れが街道に出たら……被害が出ますから」


「わかった。無理するなよ」


短い会話のあと、ジェニアスが駆け出した――その直後だった。


「ギギギェエエエエッ!!」


空気が震えるほどの咆哮。

背筋に冷たいものが走り、ジェニアスはさらに速度を上げて走った。


数分後、息を切らしながら関所へ戻る。


「大変だ!! 街道近くの森にゴブリンの群れがいやがった!

今はケイタのあんちゃんが一人で対応している!」


慌て具合から事態の深刻さを察した衛兵たちが、即座に動き始める。


「数は?」


中年の衛兵が冷静に問う。


「ゴブリン30、ホブゴブリン3体、ゴブリンサージェント1体だ」


報告を聞いた瞬間、中年の衛兵の顔色が変わった。

Bランク以上の討伐対象――危険度が跳ね上がる構成だ。


「わかった。案内してくれ」


だがジェニアスは食い下がった。


「ですが――ギルドにも報告を――」


「それはほかのやつに任せよう。おい、ティルス! 聞いてたな?」


近くにいた若い衛兵に声を飛ばす。


「へい。これから冒険者ギルドに向かえばいいんでやすね? 行ってきやす!」


ティルスはそのまま駆け出した。


「ジェニアス! 案内してくれ」


その呼びかけにジェニアスは無言で頷き、再びケイタの元へと走り出した。

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