Quiet talk 救援要請
※番外編です
ジェニアスは、ケイタという青年と共に、魔物の討伐と増加の調査を頼まれていた。依頼を出したのは熟年の衛兵だ。ジェニアスが選ばれた理由は単純で、今日いるメンバーの中で最も若く、機動力があったからだろう。
この世界では十五歳で成人とみなされ、職に就くことになる。
冒険者ギルドは十歳から登録可能。
ジェニアスも十歳で冒険者になり、Gランクから地道に昇格して、今ではCランクにまで上がっていた。
七年前、十五歳のとき。
彼は安定した職を求めて衛兵となった。
冒険者稼業は危険が多く、収入にも波がある。
Cランクに上がった頃には親からの心配も強くなり、結果として衛兵の職に落ち着いた。
ただし、腕が鈍らぬよう、休みの日には冒険者として魔物討伐に出ている。
対人の揉め事もあることはあるが、衛兵として対処できる範囲だ。それより魔物との戦いの経験が役に立っていた。
そんな背景もあって、ジェニアスはケイタと共に街道へ出ると、ケイタに尋ねた。
「これからどうするんだ?」
闇雲に探しても無駄になる――それはケイタも理解しているようだった。
「探索魔法は使えませんが、風魔法で代用します」
予想外の返答に、ジェニアスは思わず目を丸くした。
「代用するだって!? どういうことだ?」
無魔法には《サーチ》がある。
しかし、風魔法にそんな応用があるとは聞いたことがない。
理解する前にケイタは魔法を発動した。
「《ウィンドウィスパー》!」
直後、彼は顔をしかめた。“うるさい”と言っているような表情だ。
しかしやがて、何かを捉えたように顔つきが変わる。
「行きましょう」
そのまま街道沿いの森林へと歩き出した。
■ ■ ■
慎重に森へ踏み入って数分。
穴の付近で騒いでいる五匹のゴブリンが見えた。
こちらにはまだ気付いていない。
絶好の先制の機会だ。
「《ウィンドバレット》!!」
五発の風弾がそれぞれゴブリンの頭を貫き、“ドサッ”と音を立てて倒れていく。
「手際がいいな」
ジェニアスが思わず漏らすと、ケイタは軽く肩を竦めた。
「無駄な戦闘は避けたいですからね。この調子で、どんどん狩りましょう」
そう言って倒したゴブリンを素早くアイテムボックスに収納し、再び《ウィンドウィスパー》を使い始めた。
■ ■ ■
再びケイタが何かを捉え、森の奥へ向かって歩き出す。
ジェニアスが後に続き、木陰に身を隠して周囲を伺うと――
そこには大きな群れがいた。
ゴブリン三十匹。
ホブゴブリン三体。
そして、ゴブリンサージェントが一体。
規模も構成も、完全に“群れ”だ。
ケイタは即座に状況を察したのだろう。
ジェニアスに小声で指示を出す。
「ジェニアスさん、衛兵の人たちに急いで伝えてください」
「わかった。そのあと冒険者ギルドにも寄って依頼してくる。兄ちゃんはどうする?」
「見張っておきます。あの群れが街道に出たら……被害が出ますから」
「わかった。無理するなよ」
短い会話のあと、ジェニアスが駆け出した――その直後だった。
「ギギギェエエエエッ!!」
空気が震えるほどの咆哮。
背筋に冷たいものが走り、ジェニアスはさらに速度を上げて走った。
数分後、息を切らしながら関所へ戻る。
「大変だ!! 街道近くの森にゴブリンの群れがいやがった!
今はケイタの兄ちゃんが一人で対応している!」
慌て具合から事態の深刻さを察した衛兵たちが、即座に動き始める。
「数は?」
中年の衛兵が冷静に問う。
「ゴブリン30、ホブゴブリン3体、ゴブリンサージェント1体だ」
報告を聞いた瞬間、中年の衛兵の顔色が変わった。
Bランク以上の討伐対象――危険度が跳ね上がる構成だ。
「わかった。案内してくれ」
だがジェニアスは食い下がった。
「ですが――ギルドにも報告を――」
「それはほかのやつに任せよう。おい、ティルス! 聞いてたな?」
近くにいた若い衛兵に声を飛ばす。
「へい。これから冒険者ギルドに向かえばいいんでやすね? 行ってきやす!」
ティルスはそのまま駆け出した。
「ジェニアス! 案内してくれ」
その呼びかけにジェニアスは無言で頷き、再びケイタの元へと走り出した。
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