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無気力系召喚者、覚醒する  作者: 火川蓮
三章

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chapter19 偵察と一閃

魔法を発動したオレは、周辺の音に意識を集中させた。


足元にある穴のほうから、“カリカリ”と地面を引っかく音が聞こえる。

――穴の中に“なにか”いるな。


続いて、「ギー」「キー」という小さな鳴き声も混じる。

だが、出てくる気配はない。これでは捕まえるのは無理だ。


仕方なく、その音から意識を離し、さらに魔力の範囲を広げた。


そのとき――森の奥から、


「ギギ」

「ギギギ」


という濁った声と一緒に、枝がまとめて折れる気配が届いた。


オレは木陰からそっと視線を送った。


視界に入ったのは――30匹を超えるゴブリンの群れ。

さらに数体のホブゴブリン。

そして、その中に一体だけ、ホブゴブリンより明らかに大きい“緑の巨体”がいた。


ゴブリンは140cmほど。

ホブゴブリンは160cm前後。

だが、そいつは――170cm以上はある。


(なんだ……あいつ?)


外見だけならホブゴブリンのほうが筋肉質で強そうに見える。

だが、群れの視線も動きも、その巨体を中心にまとまっていた。


――指揮しているのはアイツだ。


オレは魔法を解除し、ジェニアスさんへ小声で告げる。


「ジェニアスさん、衛兵の人たちに急いで伝えてください」


「わかった。そのあと冒険者ギルドにも寄って、依頼してくる。

あんちゃんはどうする?」


「見張っておきます。

あの群れが街道に出たら……被害が出ますから」


「わかった。無理するなよ」


ジェニアスさんは小走りで森を離れていった。


――その瞬間。


群れを率いていた巨大なゴブリンが、こちらを振り向いた。

ぎょろりとした黄色い瞳が、まっすぐオレを捉える。


そして、


「ギギギェエエエエッ!!」


と耳をつんざくような咆哮を上げた。


「……くそ! 見つかったか!」


もう隠れている暇はない。


オレは一気に魔力を練り上げ、叫ぶ。


「《ウィンドブレーカー》!!」


風の刃が奔り――

巨大ゴブリンの首が、鮮やかに舞った。


次の瞬間、周囲のゴブリンたちが一斉に襲いかかってくる。


オレは腰を落とし、風を纏わせながら迎撃態勢に入った。

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