chapter13 幻の職業
しばらくすると――。
「お待たせしました。
まずはこちらの水晶に触れてから、この用紙にご記入ください」
受付のお姉さんがそう言って戻ってきた。
手渡された用紙には、こう書かれている。
■◆■◆■◆
【名前】:
【種族】:
【年齢】:
【性別】:
【職業】:
【特技】:
■◆■◆■◆
まずは水晶、だな。
オレは用意された水晶に手をかざす。
すると、淡い光とともに――文字が浮かび上がった。
■◆■◆■◆
【名前】:ケイタ・コクジョウ
【種族】:人間
【年齢】:16歳
【性別】:男
【レベル】:18
【称号】:【異世界人】【唯一職】【召喚されし者】【追放者】
【体力】:780/780
【魔力】:1100/1100
【攻撃力】:580
【防御力】:410
【俊敏性】:620
【職業】:無職
【能力】
【日常生活スキル】
記憶力Lv3/分析力Lv4/気配察知Lv2/家事Lv2/礼儀作法Lv3/楽器演奏Lv2/歌唱Lv2/計算Lv5
【戦闘系スキル】
身体操作Lv1
【魔法系スキル】
風魔法Lv3/空間魔法Lv1/魔力操作Lv4/魔力感知Lv2
【固有スキル】:変遷の器/アイテムボックス
■◆■◆■◆
……なるほど、今のオレのステータスはこんな感じか。
ギルドの水晶って、もしかして一部しか表示されないタイプなのか?
あとで確認しておこう。
そう考えていると――。
「ヴォ……無職ですって!?」
受付のお姉さんが驚愕の声を上げた。
その声に、ギルド内がざわつく。
「ハハッ、無職だってよ」
「そんな職業あったんだな」
「それって……“あの”職業なんじゃ……?」
「唯一職と呼ばれてたやつか」
「“世界を滅ぼす力”を持つとか言われてたな」
ざわ……ざわ……。
なんか、変な噂が飛び交ってるな。
“世界を滅ぼす”って、そんな力あるわけないだろ。
ただの――職業じゃないか!?
そう思った矢先、〝ガタン〟と机を叩く音が響いた。
「なに言ってるんですか!!」
受付のお姉さんが、興奮気味に立ち上がった。
「みなさん、無職の職業は“幻の職業”として有名なんですよ!」
場が静まり返る。
彼女はそのまま早口で続けた。
「いいですか?
私たちが当たり前のように使っている“職業”という概念――
その歴史は、五千年以上も前に遡るとされています!」
……五千年前?
思わず、オレは眉をひそめた。
周りの人たちも一様にざわつく。
「五千年前、ディルティーナ王国の前身――“ディルカナ帝国”が初めて“異世界召喚”を行いました。
多くの異世界人が召喚され、そこで初めて“職業”という新しい力が発見されたんです」
なるほど……そういう歴史があるのか。
「その後、召喚者たちの血がこの世界に混じり、“職業”の力は一般にも定着しました。
ですが――過去に一度も、“無職”の職業を持つ者は生まれていません。
幻の職業と呼ばれるのはそのためです。
そう、“異世界召喚”で現れた者を除いては……!」
受付のお姉さんの言葉が静まり返ったギルドに響いた。
――どうやら、話はまだ続きそうだ。
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